Vol.22 -深刻なオゾン層の状況-
2008/10/03 (Fri) 18:00
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○○○ パデセアメールマガジンVol.22 ○○○
9月はオゾン層保護対策推進月間でした
―南極域のオゾン層は依然として深刻な状況―
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は巻末をご覧ください。今回のテーマは「深刻なオゾン層の状況」です。
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国連環境計画(UNEP)では、「モントリオール議定書」が採択された9月16日を
「国際オゾン層保護デー」と定めています。また、日本では9月をオゾン層保護
対策推進月間と定め、環境省はオゾン層保護やフロン対策に関する様々な普及
啓発活動を毎年行っています。今回は、オゾン層に関する話題を取り上げました。
1.オゾン層の現状
地球上のオゾンの大部分は、地表25kmを中心に約10~50km上空の成層圏でオ
ゾン層を形成し、太陽光に含まれている有害な紫外線の大部分を吸収し地球上
の生物を守っています。ところが、このオゾン層が、フロンなどの人工の化学物
質によって破壊され、特に高緯度地域ではオゾン濃度が著しく薄くなっているこ
とが明らかになっています。南極上空では、周辺の濃度に比べてオゾン量が極端
に減少するオゾンホールと呼ばれる現象が1980年頃から観測されました。
南極上空では毎年9~10月にオゾンホールが観測されています。日本でも札幌上
空におけるオゾン層の減少傾向が確認されています。
今年の8月29日に「平成19年度オゾン層等の監視結果に関する年次報告」が公表さ
れましたので、以下にそのポイントをまとめました。
・地球全体のオゾン全量は、1980年代から1990年代前半にかけて大きく減少した
が、現在も減少した状態が続いている。1979年を基準とすると、2007年のオゾ
ン全量は地球全体規模では約2.8±0.2%減少している。
・南極のオゾンホールの規模は1980年代から1990年代にかけて急激に拡大し、
その後もほぼ毎年大規模に形成されている。2007年に南極上空に発生したオゾ
ンホールの面積は南極大陸面積の約1.8倍であり、過去10年間では3番目に小さ
い規模だったが、年々変動が大きいために現時点でオゾンホールに縮小の兆し
があるとは判断できず、南極域のオゾン層は依然として深刻な状況にある。
・札幌・つくば・那覇及び南鳥島で観測された日本上空のオゾン全量は、札幌に
おいて主に1980年代に減少傾向がはっきり出ている。一方、1990年代後半以降
には各地点とも増加傾向が見られる。
・モントリオール議定書の科学評価パネル報告書での数値モデル予測によると、
結果に幅があるものの、多数のモデルではモントリオール議定書の規制が遵守
されることを前提として、今世紀中頃にはオゾン全量が1980年以前の状態まで
回復すると予測している。
2.オゾン層破壊物質の大気中濃度の状況
・北半球中緯度域の平均的な状況を代表する北海道の観測地点では、それまで
増加し続けてきた特定フロン(生産等が規制されているフロン等)のうち、
CFC-12(冷蔵機器や空調機器の冷媒、断熱材の発泡剤等に使用)は1990年代
後半以降ほぼ横ばい、CFC-11(断熱材の発泡剤等に使用)、CFC-113(洗浄剤
等に使用)、四塩化炭素は年1%の割合で減少している。
・一方、特定フロンの代替物質(代替フロン)であるHCFC-22(冷蔵機器や空調
機器の冷媒、断熱材の発泡剤等に使用)、HCFC-141b及びHCFC-142b(断熱材の
発泡剤等に使用)、HFC134a(冷蔵機器や空調機器の冷媒、断熱材の発泡剤等
に使用)は急速に増加している。特にHFC134aの増加率は、毎年10%前後で極
めて大きい。
・特定フロンの大気中寿命は非常に長いため、今後、大気中濃度はきわめて緩
やかに減少すると予測されている。代替フロンの大気中濃度は今後も引き続
き増加し、今度20~30年でピークに達し、その後減少すると考えられている。
・現在のオゾン層破壊物質の大気中濃度は、オゾンホールが観測され始めた1980
年頃に比べてかなり高い状況にあるため、オゾン層の状況を改善するためには、
これらの物質の濃度が更に低下することが必要である。
3.オゾン層破壊物質と地球温暖化の関係
オゾン層の破壊の主な原因とされているフロンは、安価で扱い易く、人体へも
無害であるため、冷蔵庫やエアコンの冷媒やスプレーの噴射剤などに使用されて
きました。しかし、オゾン層の破壊が確認されてからは、フロンなどのオゾン層
破壊物質は世界的に生産が規制されるようになりました。規制を受けて、特定
フロンの代わりにオゾン層を破壊が少ない代替フロンと呼ばれる物質が開発され、
様々な用途に使われています。
しかし、代替フロンの中には強力な温室効果ガスがあります。例えば前述した
HFC134aは二酸化炭素の1,300倍、またHFC-143aという代替フロンは3,800倍の温
室効果があります。これらの代替フロンは京都議定書の削減対象物質となって
おり、京都議定書の削減約束を達成するためにも、排出抑制が必要です。
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★エコ検定対策セミナー公開コース開催決定
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今月から第5回の試験に向けて【e-1】「eco検定対策セミナー」と演習問題を中
心とした試験直前の確認用に【e-2】「eco検定模擬テスト&解説セミナー」を
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【e-1】対策セミナー:10月25日(土)、12月7日(日)
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http://www.pdca.co.jp/ecoken/index.html
なお「エコ検定対策通信教育」は随時受付中です。
http://www.pdca.co.jp/ecoken/correspondence.html
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日建学院との共同開発です。詳細は下記ををご参照ください。
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★10/6から下記に事務所を移転します。
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(新TEL)03-5226-6721 (新FAX)03-5226-6723
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ン全量は地球全体規模では約2.8±0.2%減少している。
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があるとは判断できず、南極域のオゾン層は依然として深刻な状況にある。
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