パデセアメールマガジンVol.32-日本の温室効果ガス削減中期目標-
2009/07/02 (Thu) 11:00
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○○○ パデセアメールマガジンVol.32 ○○○
2020年迄に05年比15%減
―日本の温室効果ガス削減中期目標―
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は巻末をご覧ください。今回のテーマは「日本の温室効果ガス削減中期目標」です。
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6月10日、麻生首相は2020年時点の温室効果ガス中期目標を「05年比15%削減」
とすると発表しました。京都議定書の基準年1990年比では8%減になります。
麻生首相は中期目標を発表した記者会見で、「国民負担を下げるため、政府は
あらゆる努力を払わなければならないが、地球をまもるためのコストであり、
生活者、産業界、労働界、国、地方が一致協力して行動を起こさなければな
らない」と国民に協力を呼びかけました。
一方、国際的にはポスト京都議定書の中期目標等が各国で検討が進んでいます。
1.日本の中期目標
中期目標の検討に当たって、専門家で構成された政府の「中期目標検討委員会」
が、90年比4%増(05年比4%減)から90年比25%減(05年比30%減)まで、6つの
選択肢を公表。パブリックコメントの募集、世論調査、各界代表からのヒヤリング
等の意見を参考に中期目標が決定されました。中期目標を巡っては、経済界が
緩やかな目標を求め、環境相や環境NGOが大きな削減幅を主張する中、中間的な
水準が選択されました。首相は記者会見で「この目標はオイルショック時の
エネルギー効率の改善を上回る野心的な目標。これ以上大きくすると国民の負担も
あまりに重たいものになってしまう」と説明しました。
中期目標「05年比15%減」は、国内の削減による純減分(真水)で、外国への技術・
資金協力の見返りに取得する排出枠や植林等による森林吸収分は含んでいません。
これらの取り扱いをどうするかは、今後の国際交渉を見極めた上で判断することに
なっています。京都議定書での日本の削減目標6%は、森林吸収分3.8%、京都メカ
ニズム1.6%を含んでおり、純減分(真水)は0.6%に相当します。今回の中期目標 は、
1990年比では真水ベースの京都議定書の削減目標(0.6%減)を7.4%上回ることに
なります。
一方、2020年までの中期目標を国際的に見ると、EUは05年比13%減(90年比20%減)、
アメリカは05年比14%減を掲げています。これらの目標は自らの削減分(真水)に
加えて排出枠購入などを加算した数字です。
2.中期目標達成に必要な対策・政策と家計への負担増
政府は、中期目標達成に必要な主な対策を次の通り提示しました。
[家庭での対策]
(a)太陽光発電:現状の20倍(約2,800万kW)。2005年142万kW。
<主な政策>固定価格買取制度、住宅太陽光補助金制度 等
(b)エコカー:新車販売の50%(2005年1%程度)、保有台数の20%(同0.3%程度)。
<主な政策>エコカー購入支援補助、取得税等の減税 等
(c)省エネ(断熱)住宅:新築住宅の80%(2005年30%)
<主な政策>省エネ住宅の基準強化、対象拡大 等
[産業界での対応]
(a)電力:原発9期新設。稼働率80%以上。自然エネルギー導入。
電源構成:火力43%(2005年度61%)、原子力44%(同31%)、水力8%(同8%)、
新エネルギー4%(同1%)
(b)自動車・電機:エコカー、省エネ家電など「低炭素型」商品の拡充。次世代技術
の開発
(c)素材産業:生産工程での一段の省エネ努力
また、政府の試算では、2020年時点で成長鈍化による世帯当たりの可処分所得の
減少は4万3,000円、電気代などの負担増は年3万3,000円、合計7万6,000円(世帯当たり)
の家計の負担増になるとの試算を示しました。目標達成のコストについて「国民の
皆さんに相応のご負担をお願いせざるを得ない」としています。
3.長期目標への道筋
「低炭素社会づくり行動計画」(平成20年7月)では、2008年の洞爺湖サミットでの
合意「世界全体の温室効果ガス排出量を現状に比して2050年までに半減する」という
長期目標を実現するには、日本は、「2050年迄に長期目標として現状より60~80%を
削減する」ことを掲げています。
麻生首相の記者会見では、「長期目標を達成するために必要な革新的技術の開発と普及
に全力を挙げる。今回の中期目標を達成することにより、2030年には05年比約25%減、
2050年には05年比約70%減につながる」と表明しています。
4.今後の国際交渉
日本の中期目標は、今後のポスト京都議定書の枠組み交渉の中で日本の基本的な立場と
なります。国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は気温上昇を2~3度に抑える
には先進国が20年までに排出量を90年比で25~40%削減する必要があると指摘しています。
また、途上国や新興国の一部は先進国に対し、90年比40%以上の削減を求めています。
このような背景の中で、日本の中期目標は、国際的にはどのように評価されるのでしょうか。
7月にイタリアで開催の主要国首脳会議(ラクイラ・サミット)、12月にコペンハーゲンで
開催の国連気候変動枠組条約締約国会議(COP15)を経て、正式に決まることになっていま
すが、この過程のなかで日本の削減目標は上積みされる可能性も考えられます。
今後の国際交渉の動向に目を離せません。
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一方、国際的にはポスト京都議定書の中期目標等が各国で検討が進んでいます。
1.日本の中期目標
中期目標の検討に当たって、専門家で構成された政府の「中期目標検討委員会」
が、90年比4%増(05年比4%減)から90年比25%減(05年比30%減)まで、6つの
選択肢を公表。パブリックコメントの募集、世論調査、各界代表からのヒヤリング
等の意見を参考に中期目標が決定されました。中期目標を巡っては、経済界が
緩やかな目標を求め、環境相や環境NGOが大きな削減幅を主張する中、中間的な
水準が選択されました。首相は記者会見で「この目標はオイルショック時の
エネルギー効率の改善を上回る野心的な目標。これ以上大きくすると国民の負担も
あまりに重たいものになってしまう」と説明しました。
中期目標「05年比15%減」は、国内の削減による純減分(真水)で、外国への技術・
資金協力の見返りに取得する排出枠や植林等による森林吸収分は含んでいません。
これらの取り扱いをどうするかは、今後の国際交渉を見極めた上で判断することに
なっています。京都議定書での日本の削減目標6%は、森林吸収分3.8%、京都メカ
ニズム1.6%を含んでおり、純減分(真水)は0.6%に相当します。今回の中期目標 は、
1990年比では真水ベースの京都議定書の削減目標(0.6%減)を7.4%上回ることに
なります。
一方、2020年までの中期目標を国際的に見ると、EUは05年比13%減(90年比20%減)、
アメリカは05年比14%減を掲げています。これらの目標は自らの削減分(真水)に
加えて排出枠購入などを加算した数字です。
2.中期目標達成に必要な対策・政策と家計への負担増
政府は、中期目標達成に必要な主な対策を次の通り提示しました。
[家庭での対策]
(a)太陽光発電:現状の20倍(約2,800万kW)。2005年142万kW。
<主な政策>固定価格買取制度、住宅太陽光補助金制度 等
(b)エコカー:新車販売の50%(2005年1%程度)、保有台数の20%(同0.3%程度)。
<主な政策>エコカー購入支援補助、取得税等の減税 等
(c)省エネ(断熱)住宅:新築住宅の80%(2005年30%)
<主な政策>省エネ住宅の基準強化、対象拡大 等
[産業界での対応]
(a)電力:原発9期新設。稼働率80%以上。自然エネルギー導入。
電源構成:火力43%(2005年度61%)、原子力44%(同31%)、水力8%(同8%)、
新エネルギー4%(同1%)
(b)自動車・電機:エコカー、省エネ家電など「低炭素型」商品の拡充。次世代技術
の開発
(c)素材産業:生産工程での一段の省エネ努力
また、政府の試算では、2020年時点で成長鈍化による世帯当たりの可処分所得の
減少は4万3,000円、電気代などの負担増は年3万3,000円、合計7万6,000円(世帯当たり)
の家計の負担増になるとの試算を示しました。目標達成のコストについて「国民の
皆さんに相応のご負担をお願いせざるを得ない」としています。
3.長期目標への道筋
「低炭素社会づくり行動計画」(平成20年7月)では、2008年の洞爺湖サミットでの
合意「世界全体の温室効果ガス排出量を現状に比して2050年までに半減する」という
長期目標を実現するには、日本は、「2050年迄に長期目標として現状より60~80%を
削減する」ことを掲げています。
麻生首相の記者会見では、「長期目標を達成するために必要な革新的技術の開発と普及
に全力を挙げる。今回の中期目標を達成することにより、2030年には05年比約25%減、
2050年には05年比約70%減につながる」と表明しています。
4.今後の国際交渉
日本の中期目標は、今後のポスト京都議定書の枠組み交渉の中で日本の基本的な立場と
なります。国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は気温上昇を2~3度に抑える
には先進国が20年までに排出量を90年比で25~40%削減する必要があると指摘しています。
また、途上国や新興国の一部は先進国に対し、90年比40%以上の削減を求めています。
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