パデセアメールマガジンVol.40- COP15「コペンハーゲン合意」に留意する
2010/01/08 (Fri) 12:00
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○○○ パデセアメールマガジンVol.40 ○○○
COP15「コペンハーゲン合意」に留意する
-温室効果ガス削減の義務付けなどの合意は先送り-
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明けましておめでとうございます。今年も読者の皆様にお役に立てるような
情報をタイムリーにお届けできるよう努力したいと思っています。
よろしくお願いします。
今回のテーマは“ COP15「コペンハーゲン合意」に留意する”です。
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第15回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP15)がデンマークのコペン
ハーゲンで開催されました。2013年以降の地球温暖化対策の国際枠組みの骨格を
示した政治合意文書「コペンハーゲン合意」は採択できず「留意する」ことで
承認され、締約国会議は閉幕しました。会議では先進国と途上国の対立が顕著と
なり、焦点だった各国の温室効果ガス排出の削減義務づけをはじめ重要事項の
合意は2010年以降に先送りとなりました。
1.COP15までの経緯
京都議定書は2012年で約束期間が切れます。2007年に発表された国連の気候
変動に関する政府間パネル(IPCC)の第4次評価報告書により、「温暖化は人
為的なものであり、その被害が極めて深刻である」との危機感が世界で強まり、
2007年12月にインドネシアのバリ島で開かれたCOP13でポスト京都議定書の枠組
みをCOP15までに決めようと交渉が始まりました。京都議定書では、途中離脱した
アメリカや経済成長が著しく排出量が急増している中国やインドなど新興国は
途上国扱いで削減義務を負っていません。
このため、COP15では、世界の排出量の約40%を占めるアメリカと中国を含めた
主要排出国に排出削減の義務づけする新しい枠組みづくりが期待されました。
2.コペンハーゲン合意の概要
議長国デンマークはCOP15に先立ち、中国など温室効果ガスの排出が急増中の
途上国にも一定の削減を求める先進国と、温暖化の深刻な被害を防ぐのに必要な
削減を先進国に求める途上国との対立が激しく歩み寄りが難航することを見越
して、法的拘束力のある新たな議定書の採択は断念し、その代わりにCOP史上初の
首脳級会合を開き、「拘束力のある政治合意」文書の採択を目指しました。
しかし、最後まで先進国と途上国の対立はとけず、また、途上国の中でも、
温暖化の悪影響が著しい小さな島嶼国(ツバル、フィジー、グレナダなど)や
後発途上国と、温室効果ガス排出が急増している中国やインドなど新興国との
間で考え方に隔たりがあることも表面化し、全会一致が原則である合意そのものの
採択は見送られました。 数少ない途上国の反対に配慮して「合意に留意する」
との文書を承認して決着しました。
交渉の決裂回避を優先し、最大の焦点であった各国の2020年までの排削減目標は
義務づけられず温暖化を食い止めるには不十分な内容となりました。
以下は、コペンハーゲン合意の概要です。
【長期目標】気温上昇は2度を超えるべきではないという科学的な見地を認識。
温室効果ガスの大幅な削減に合意する。できるだけ早く排出量を減少に転じ
させるために協力する。ただし、途上国が減少に転じる時期は先進国より遅くなる。
【先進国の削減目標】先進国は2020年の排出目標を2010年1月31日までに提示し
実行する。京都議定書の締約国である先進国は、議定書で始まった排出量削減を
さらに強化する。先進国の削減や資金支援の取り組み状況は検証される。
【途上国の削減計画】途上国は、今後実施する削減行動を2010年1月31日までに
提示する。削減計画の取り組み状況は、2年ごとに国連に報告する。
国際的な支援を受けた取り組みは、国際的に検証される。
【森林対策】森林減少の防止や森林吸収源の対策に資金が回る仕組みをつくる。
【途上国への資金支援】先進国は、2010~2012年の間に300億ドルの支援を共同で
行なう。温暖化被害対策への支援は後発途上国や小さな島嶼国、アフリカ諸国など
最も被害にさらされた国が優先される。
先進国は2020年を目標に年間1,000億ドルを拠出する仕組みを作る。
【協定の見直し】この協定の取り組み状況を2015年までに検証する。その際には
長期目標の強化の検討を含む。ポスト京都議定書の枠組みづくりを話し合う
国連作業部会は2010年も存続することになりました。
2010年末のCOP16に向けて、法的拘束力のある文書の採択をめざすことは明示できません
でしたが、各国の削減義務や途上国支援の仕組みを具体化するための交渉が続きます。
3.今後の日本の対応
12月24日付けの新聞は、日本政府はCOP15で承認された「コペンハーゲン合意」
に基づく2020年の温室効果ガス排出量の国連への提示について、他の主要国が
意欲的な目標を掲げることを条件に「1990年比25%減」という数値は原則的に
変えない方針である、と報道しています。
京都議定書の約束期間が終わるまであと3年。COP15では世界の首脳たちが討議しても
思うように進まないほど各国の利害がかかる温暖化問題の複雑さが浮き彫りになりましたが、
ここで立ち止まるわけにはいきません。
法的拘束力のある合意に向けた国連作業部会での今後の協議に期待したいと思います。
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★書籍「eco検定ポイント集中レッスン」「ポケット問題集」他改訂予定
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2010年以降の試験に対応するeco検定公式テキストは、2月の発売を予定され
ています。これに伴い、弊社執筆の「eco検定ポイント集中レッスン」
「ポケット問題集」「通信教育」「Eラーニング」を改訂します。
詳細は、HPでご案内しますが4月以降リリース予定です。
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株式会社 パデセア 代表取締役 黒柳要次
東京都千代田区麹町2-12-13 LYNX麹町4F
TEL 03-5226-6721/FAX 03-5226-6723 email:info@pdca.co.jp
http://www.pdca.co.jp
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ハーゲンで開催されました。2013年以降の地球温暖化対策の国際枠組みの骨格を
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アメリカや経済成長が著しく排出量が急増している中国やインドなど新興国は
途上国扱いで削減義務を負っていません。
このため、COP15では、世界の排出量の約40%を占めるアメリカと中国を含めた
主要排出国に排出削減の義務づけする新しい枠組みづくりが期待されました。
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議長国デンマークはCOP15に先立ち、中国など温室効果ガスの排出が急増中の
途上国にも一定の削減を求める先進国と、温暖化の深刻な被害を防ぐのに必要な
削減を先進国に求める途上国との対立が激しく歩み寄りが難航することを見越
して、法的拘束力のある新たな議定書の採択は断念し、その代わりにCOP史上初の
首脳級会合を開き、「拘束力のある政治合意」文書の採択を目指しました。
しかし、最後まで先進国と途上国の対立はとけず、また、途上国の中でも、
温暖化の悪影響が著しい小さな島嶼国(ツバル、フィジー、グレナダなど)や
後発途上国と、温室効果ガス排出が急増している中国やインドなど新興国との
間で考え方に隔たりがあることも表面化し、全会一致が原則である合意そのものの
採択は見送られました。 数少ない途上国の反対に配慮して「合意に留意する」
との文書を承認して決着しました。
交渉の決裂回避を優先し、最大の焦点であった各国の2020年までの排削減目標は
義務づけられず温暖化を食い止めるには不十分な内容となりました。
以下は、コペンハーゲン合意の概要です。
【長期目標】気温上昇は2度を超えるべきではないという科学的な見地を認識。
温室効果ガスの大幅な削減に合意する。できるだけ早く排出量を減少に転じ
させるために協力する。ただし、途上国が減少に転じる時期は先進国より遅くなる。
【先進国の削減目標】先進国は2020年の排出目標を2010年1月31日までに提示し
実行する。京都議定書の締約国である先進国は、議定書で始まった排出量削減を
さらに強化する。先進国の削減や資金支援の取り組み状況は検証される。
【途上国の削減計画】途上国は、今後実施する削減行動を2010年1月31日までに
提示する。削減計画の取り組み状況は、2年ごとに国連に報告する。
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【途上国への資金支援】先進国は、2010~2012年の間に300億ドルの支援を共同で
行なう。温暖化被害対策への支援は後発途上国や小さな島嶼国、アフリカ諸国など
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【協定の見直し】この協定の取り組み状況を2015年までに検証する。その際には
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3.今後の日本の対応
12月24日付けの新聞は、日本政府はCOP15で承認された「コペンハーゲン合意」
に基づく2020年の温室効果ガス排出量の国連への提示について、他の主要国が
意欲的な目標を掲げることを条件に「1990年比25%減」という数値は原則的に
変えない方針である、と報道しています。
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2010年以降の試験に対応するeco検定公式テキストは、2月の発売を予定され
ています。これに伴い、弊社執筆の「eco検定ポイント集中レッスン」
「ポケット問題集」「通信教育」「Eラーニング」を改訂します。
詳細は、HPでご案内しますが4月以降リリース予定です。
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