パデセアメールマガジンVol.50―今年の日本の夏―
2010/10/12 (Tue) 12:30
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○○○ パデセアメールマガジンVol.50 ○○○
平均気温、113年間で最高
―今年の日本の夏―
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今年はパキスタンや中朝国境の大洪水、ロシアの熱波など世界の各地で異常気象があり
ました。日本でもこの夏は記録的な猛暑に見舞われました。
気象庁は、今年の夏(6月~8月)の日本の平均気温は平年より1.64℃高く、統計を取
り始めた1898年以降で最も高かったと発表しました。9月に入ってからも猛烈な暑さが
続き、9月5日には京都府京田辺市で国内の9月の観測史上最高気温となる39.9℃を記録
しました。
気象庁は今年の夏(6月~8月)の極端な高温もたらした要因を分析し、以下の見解を
まとめました。
1.天候の特徴
2010年夏(6月~8月)の日本の平均気温の平年差は+1.64℃と、夏の気温としては
統計を開始した1898年以降で第1位の高い記録となりました。これまでの第1位は
1994年の+1.36℃でした。
今夏の各月の月平均気温の平年差は、6月が+1.24℃で第5位、7月が+1.42℃で
第11位だったものの、8月は第1位で+2.25℃の高温となりました。
全国154地点のデータを集計した地域別では、北海道+2.3℃、東北+2.3℃、
関東甲信越+1.9℃、北陸+1.8℃、東海1.6℃、近畿1.2℃、中国1.5℃、四国1.0℃、
九州北部1.1℃、九州南部・奄美0.4℃でした。東海北陸以東での+幅が大きいようです。
また、最高気温が35℃以上となる猛暑日の日数は、富山、福井、熊谷など11地点で最
多を更新し、最低気温が25℃以上の熱帯夜も48日の東京、43日の横浜など計48地点で
新記録となりました。
2.記録的な高温の要因
このように、2010年夏の日本が記録的な高温になったのは、期間を通して冷涼なオホー
ツク海高気圧や寒気の影響をほとんど受けなかったこと、梅雨明け後、上空の偏西風が
日本付近で平年よりも北に偏って流れ、勢力の強い太平洋高気圧に覆われたこと、今春まで
継続したエルニーニョ現象(*)及び夏に発生したラニーニャ現象(*)の影響が合わさり、
北半球中緯度の対流圏全体で気温が上昇したこと等の要因が重なったためと考えられ、
また、背景としてCO2などの温室効果ガスの増加に伴う地球温暖化の影響が現れていると
見られています。
(*)エルニーニョ現象とは、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米のペルー沿岸に
かけて海面水温が平年に比べて高くなり、半年から1年半程度続く現象のことで、
数年に1度発生する。これと逆に、同じ海域で海面水温が平年より低い状態が続く現象を
ラニーニャ現象と呼んでいる。
(参考)対流圏の気温は、エルニーニョ現象終了後に全球的に上昇し、高い状態が続く
ことがわかっています。また、ラニーニャ現象が発生している夏は、北半球中緯度の
気温が高くなる傾向があります。
3.平年差2℃の意味
以上が気象庁見解のまとめです。6月~8月の平均気温の平年差(*)が+1.64℃、8月が
+2.25℃という数字は、今年の夏を経験した体感にくらべ低いような気がしますが、
平均気温の比較の尺度は「平年差」です。平年差とは平均気温から平年値を差し引いた
値です。平年値としては、1971年~2000年の30年平均値を使用しています。平年差で
2℃の差が実は大変なことであることを実感しました。
長年にわたって治水行政に携わってきた或る識者は「気候の世界で、平均気温が2℃
上がるというのは大変なこと。冬でも東北に雪は降らず、降雨が洪水を招くおそれがある。
海面が上昇すれば全国で河川の氾濫も増える」といっています。
(*)日本の平均気温の平年差の算出にあたっては、長期間にわたる気温観測データが
存在し、都市化による影響が少ない網走、根室、山形、長野、水戸、銚子、境、浜田、
彦根、宮崎、石垣島などの17地点の気象観測所を平均気温算出地点として採用されて
います。
CO2などの温室効果ガスによる地球温暖化が大きな問題となっています。現在のところ
地球温暖化対策の長期目標は、産業革命前に比べ平均気温の上昇を2℃以内に抑えること
になっています。今年の日本の夏はいろいろな要因が重なって記録的な高温になったとい
われていますが、平均気温約2℃上昇という数値の「大変さ」を実感しました。
国際的に地球温暖化対策を協議する第16回気候変動枠組み条約締約国会議(COP16)が
今年12月に開催されます。昨年のCOP15では先送りとなりましたが、2013年以降の新しい
国際的な枠組み(ポスト京都議定書)について国際的な合意が実現できることを期待します。
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株式会社 パデセア 代表取締役 黒柳要次
東京都千代田区麹町2-12-13 LYNX麹町4F
TEL 03-5226-6721/FAX 03-5226-6723 email:info@pdca.co.jp
http://www.pdca.co.jp
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今年はパキスタンや中朝国境の大洪水、ロシアの熱波など世界の各地で異常気象があり
ました。日本でもこの夏は記録的な猛暑に見舞われました。
気象庁は、今年の夏(6月~8月)の日本の平均気温は平年より1.64℃高く、統計を取
り始めた1898年以降で最も高かったと発表しました。9月に入ってからも猛烈な暑さが
続き、9月5日には京都府京田辺市で国内の9月の観測史上最高気温となる39.9℃を記録
しました。
気象庁は今年の夏(6月~8月)の極端な高温もたらした要因を分析し、以下の見解を
まとめました。
1.天候の特徴
2010年夏(6月~8月)の日本の平均気温の平年差は+1.64℃と、夏の気温としては
統計を開始した1898年以降で第1位の高い記録となりました。これまでの第1位は
1994年の+1.36℃でした。
今夏の各月の月平均気温の平年差は、6月が+1.24℃で第5位、7月が+1.42℃で
第11位だったものの、8月は第1位で+2.25℃の高温となりました。
全国154地点のデータを集計した地域別では、北海道+2.3℃、東北+2.3℃、
関東甲信越+1.9℃、北陸+1.8℃、東海1.6℃、近畿1.2℃、中国1.5℃、四国1.0℃、
九州北部1.1℃、九州南部・奄美0.4℃でした。東海北陸以東での+幅が大きいようです。
また、最高気温が35℃以上となる猛暑日の日数は、富山、福井、熊谷など11地点で最
多を更新し、最低気温が25℃以上の熱帯夜も48日の東京、43日の横浜など計48地点で
新記録となりました。
2.記録的な高温の要因
このように、2010年夏の日本が記録的な高温になったのは、期間を通して冷涼なオホー
ツク海高気圧や寒気の影響をほとんど受けなかったこと、梅雨明け後、上空の偏西風が
日本付近で平年よりも北に偏って流れ、勢力の強い太平洋高気圧に覆われたこと、今春まで
継続したエルニーニョ現象(*)及び夏に発生したラニーニャ現象(*)の影響が合わさり、
北半球中緯度の対流圏全体で気温が上昇したこと等の要因が重なったためと考えられ、
また、背景としてCO2などの温室効果ガスの増加に伴う地球温暖化の影響が現れていると
見られています。
(*)エルニーニョ現象とは、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米のペルー沿岸に
かけて海面水温が平年に比べて高くなり、半年から1年半程度続く現象のことで、
数年に1度発生する。これと逆に、同じ海域で海面水温が平年より低い状態が続く現象を
ラニーニャ現象と呼んでいる。
(参考)対流圏の気温は、エルニーニョ現象終了後に全球的に上昇し、高い状態が続く
ことがわかっています。また、ラニーニャ現象が発生している夏は、北半球中緯度の
気温が高くなる傾向があります。
3.平年差2℃の意味
以上が気象庁見解のまとめです。6月~8月の平均気温の平年差(*)が+1.64℃、8月が
+2.25℃という数字は、今年の夏を経験した体感にくらべ低いような気がしますが、
平均気温の比較の尺度は「平年差」です。平年差とは平均気温から平年値を差し引いた
値です。平年値としては、1971年~2000年の30年平均値を使用しています。平年差で
2℃の差が実は大変なことであることを実感しました。
長年にわたって治水行政に携わってきた或る識者は「気候の世界で、平均気温が2℃
上がるというのは大変なこと。冬でも東北に雪は降らず、降雨が洪水を招くおそれがある。
海面が上昇すれば全国で河川の氾濫も増える」といっています。
(*)日本の平均気温の平年差の算出にあたっては、長期間にわたる気温観測データが
存在し、都市化による影響が少ない網走、根室、山形、長野、水戸、銚子、境、浜田、
彦根、宮崎、石垣島などの17地点の気象観測所を平均気温算出地点として採用されて
います。
CO2などの温室効果ガスによる地球温暖化が大きな問題となっています。現在のところ
地球温暖化対策の長期目標は、産業革命前に比べ平均気温の上昇を2℃以内に抑えること
になっています。今年の日本の夏はいろいろな要因が重なって記録的な高温になったとい
われていますが、平均気温約2℃上昇という数値の「大変さ」を実感しました。
国際的に地球温暖化対策を協議する第16回気候変動枠組み条約締約国会議(COP16)が
今年12月に開催されます。昨年のCOP15では先送りとなりましたが、2013年以降の新しい
国際的な枠組み(ポスト京都議定書)について国際的な合意が実現できることを期待します。
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