パデセアメールマガジンVol.55―2009年度の温室効果ガス総排出実績(速報値)―
2011/02/04 (Fri) 12:00
○○○ パデセアメールマガジンVol.55 ○○○
温室効果ガス総排出量 基準年比4.1%減、前年度比5.7%減
― 2009年度の排出実績(速報値)―
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★今回のテーマは「温室効果ガス総排出量:2009年度の排出実績(速報値)」です。
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環境省は昨年12月末に、2009年度の日本の温室効果ガスの総排出量(*1)は、
12億900万トン(速報値)で、京都議定書の基準年(*2)の総排出量(12億6,100万トン)
を4.1%下回ったと発表しました。基準年比でマイナスになったのは、1990年以降で
初めてのことです。
(*1)総排出量:各温室効果ガスの排出量に地球温暖化係数(温室効果ガスの温室効果を
もたらす程度を、二酸化炭素を基準にして示す数値)を乗じ、それらを合算した量
(*2)基準年:1990年度。ただし、代替フロン等3ガス(HFCs、PFCs、六フッ化硫黄)
は1995年
日本は、京都議定書で2008年度~2012年度の5年間の総排出量を、平均で1990年の
総排出量より6%削減するよう義務付けられています。
6%削減の内訳をみると、森林の吸収分で3.8%、京都メカニズムによる海外からの
排出枠購入分で1.6%の計画になっており、実際の排出量は0.6%減でも目標が達成
できることになっています。2009年度の総排出量4.1%減という数値は、森林吸収分や
京都メカニズムによる海外からの排出枠購入分を含んでいませんので、2009年度
においては計算上目標をクリアしたことになります。
1.2009年度の総排出量の内訳
2009年度の総排出量を排出ガス別比率で見ると、エネルギー起源二酸化炭素の
比率が89%、非エネルギー起源二酸化炭素が6%、残り5%がメタン等その他ガス
となっており、エネルギー起源二酸化炭素の占める割合が非常に大きいことが
分かります。
エネルギー起源二酸化炭素を排出部門別で見てみますと、工場等の産業部門は
36%、運輸及びオフィス等が夫々21%、家庭部門が15%、発電所等は7%となって
います。基準年度の工場等の産業部門の比率は46%でした。工場等の産業部門の
比率は下がり、運輸、オフィス等や家庭部門の比率は高まってきています。
このことは工場等の産業部門以外の部門(運輸、オフィス等や家庭部門)における
排出削減も重要になってきたことを意味しています。
2.2008年度対比
2009年度と2008年度の総排出量を比べると5.7%減少しています。
その原因は、2008年10月に発生した金融危機の影響による景気後退に伴う
産業部門をはじめとする各部門のエネルギー需要の減少が2009年度も続いたこと、
原子力発電所の設備利用率の上昇に伴い電力排出原単位が改善したことなどが
挙げられています。
各部門での燃料・電力使用によるエネルギー起源の二酸化炭素排出量が前年度比
5.6% 減。とりわけ工場等の産業部門が前年度比7.9%減と急減し、またオフィス
等は前年度比6.6%減、家庭部門も5.5%減となりました。しかし、2010年度は
生産活動の回復や記録的猛暑による冷房需要増加により、エネルギー起源の
二酸化炭素排出量は増加に転じ、2009年度を上回る排出量となるだろうとの予測が
あります。
3.基準年対比
2009年度総排出量は上述のように基準年比4.1%減でしたが、エネルギー起源の
二酸化炭素排出では次のようになっています。工場等の産業部門は19.9%減ですが、
運輸は5.4%増、オフィス等は33.6%増、家庭部門は26.9%増、発電所等では16.2%増
となっています。2009年度は景気後退等による影響で前年度比減となりましたが、
今後景気回復などで産業部門、運輸や家庭部門での増加が予想されていますので、
基準年比で増加率が大きい運輸、オフィスや家庭などでの更なる省エネの推進が
必要な状況です。また、発電所等の基準年比増は、2007年7月発生の新潟県中越地震等
により原子力発電所の設備利用率が低下したことによります。電力の発電電力量
構成比を見ると、2009年度では原子力が29.3%で設備利用率は66%。これまで電力の
原子力比率は35%~37%の実績があり、設備利用率は80%を超えていました。
2007年度以降設備利用率は60%が続きましたが、2009年度では66%まで上昇してきました。
京都議定書に続く地球温暖化防止の枠組みづくりが今年末のCOP17を目指して国際交渉が
正念場を迎えます。日本の国内対策にとっても重要な年です。1月24日から平成23年
通常国会が始まりました。昨年の国会では審議未了で廃案となりましたが、今国会では
国内対策の柱である「地球温暖化対策基本法案」が熟議され、機運が高まることを期待
します。
(注)上記の速報値を算出するにあたり、各種統計の年報値のうち未だ公表されていない
ものについては2008年度の年報値を使用しているものがあります。このため2011年4月に
報告予定の確定値との間には誤差が生じる可能性があります。
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株式会社 パデセア 代表取締役 黒柳要次
東京都千代田区麹町2-12-1 グレンパーク半蔵門303
TEL 03-5226-6721/FAX 03-5226-6723 email:info@pdca.co.jp
http://www.pdca.co.jp
e-mail info@pdca.co.jp
※1月31日より上記住所に移転ました(TEL、FAXの変更はありません)
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温室効果ガス総排出量 基準年比4.1%減、前年度比5.7%減
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12億900万トン(速報値)で、京都議定書の基準年(*2)の総排出量(12億6,100万トン)
を4.1%下回ったと発表しました。基準年比でマイナスになったのは、1990年以降で
初めてのことです。
(*1)総排出量:各温室効果ガスの排出量に地球温暖化係数(温室効果ガスの温室効果を
もたらす程度を、二酸化炭素を基準にして示す数値)を乗じ、それらを合算した量
(*2)基準年:1990年度。ただし、代替フロン等3ガス(HFCs、PFCs、六フッ化硫黄)
は1995年
日本は、京都議定書で2008年度~2012年度の5年間の総排出量を、平均で1990年の
総排出量より6%削減するよう義務付けられています。
6%削減の内訳をみると、森林の吸収分で3.8%、京都メカニズムによる海外からの
排出枠購入分で1.6%の計画になっており、実際の排出量は0.6%減でも目標が達成
できることになっています。2009年度の総排出量4.1%減という数値は、森林吸収分や
京都メカニズムによる海外からの排出枠購入分を含んでいませんので、2009年度
においては計算上目標をクリアしたことになります。
1.2009年度の総排出量の内訳
2009年度の総排出量を排出ガス別比率で見ると、エネルギー起源二酸化炭素の
比率が89%、非エネルギー起源二酸化炭素が6%、残り5%がメタン等その他ガス
となっており、エネルギー起源二酸化炭素の占める割合が非常に大きいことが
分かります。
エネルギー起源二酸化炭素を排出部門別で見てみますと、工場等の産業部門は
36%、運輸及びオフィス等が夫々21%、家庭部門が15%、発電所等は7%となって
います。基準年度の工場等の産業部門の比率は46%でした。工場等の産業部門の
比率は下がり、運輸、オフィス等や家庭部門の比率は高まってきています。
このことは工場等の産業部門以外の部門(運輸、オフィス等や家庭部門)における
排出削減も重要になってきたことを意味しています。
2.2008年度対比
2009年度と2008年度の総排出量を比べると5.7%減少しています。
その原因は、2008年10月に発生した金融危機の影響による景気後退に伴う
産業部門をはじめとする各部門のエネルギー需要の減少が2009年度も続いたこと、
原子力発電所の設備利用率の上昇に伴い電力排出原単位が改善したことなどが
挙げられています。
各部門での燃料・電力使用によるエネルギー起源の二酸化炭素排出量が前年度比
5.6% 減。とりわけ工場等の産業部門が前年度比7.9%減と急減し、またオフィス
等は前年度比6.6%減、家庭部門も5.5%減となりました。しかし、2010年度は
生産活動の回復や記録的猛暑による冷房需要増加により、エネルギー起源の
二酸化炭素排出量は増加に転じ、2009年度を上回る排出量となるだろうとの予測が
あります。
3.基準年対比
2009年度総排出量は上述のように基準年比4.1%減でしたが、エネルギー起源の
二酸化炭素排出では次のようになっています。工場等の産業部門は19.9%減ですが、
運輸は5.4%増、オフィス等は33.6%増、家庭部門は26.9%増、発電所等では16.2%増
となっています。2009年度は景気後退等による影響で前年度比減となりましたが、
今後景気回復などで産業部門、運輸や家庭部門での増加が予想されていますので、
基準年比で増加率が大きい運輸、オフィスや家庭などでの更なる省エネの推進が
必要な状況です。また、発電所等の基準年比増は、2007年7月発生の新潟県中越地震等
により原子力発電所の設備利用率が低下したことによります。電力の発電電力量
構成比を見ると、2009年度では原子力が29.3%で設備利用率は66%。これまで電力の
原子力比率は35%~37%の実績があり、設備利用率は80%を超えていました。
2007年度以降設備利用率は60%が続きましたが、2009年度では66%まで上昇してきました。
京都議定書に続く地球温暖化防止の枠組みづくりが今年末のCOP17を目指して国際交渉が
正念場を迎えます。日本の国内対策にとっても重要な年です。1月24日から平成23年
通常国会が始まりました。昨年の国会では審議未了で廃案となりましたが、今国会では
国内対策の柱である「地球温暖化対策基本法案」が熟議され、機運が高まることを期待
します。
(注)上記の速報値を算出するにあたり、各種統計の年報値のうち未だ公表されていない
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