パデセアメールマガジンVol.62 -エネルギーに関する話題-
2011/08/03 (Wed) 12:30
○○○ パデセアメールマガジンVol.62 ○○○
エネルギーに関する話題
―新エネルギー発電、全量買取制度、エネルギー政策見直しなど―
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★今回のテーマは「エネルギーに関する話題」です。
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東日本大震災や福島第一原発における事故は、私たちの生活や産業活動に深刻な
影響を及ぼしています。今年の夏は原発停止により電力供給力が低下し、節電に
よって電力不足を避けています。原発の問題を含めて、今後の日本におけるエネ
ルギー確保が重要な課題となっています。このような中で、まだ進行中のテーマ
もありますが、エネルギーに関連する最近の話題を紹介します。
1.RPS法による新エネルギー電気の利用の状況
新エネルギーの普及を図るため、電力会社に対して、新エネルギーから発電
される電気を販売量に応じて、一定割合以上の利用を義務付けた「電気事業者
による新エネルギー等の利用に関する特別措置法(RPS法※)」が2003(平成15)
年4月より施行されています。電力会社は、自ら新エネルギーにより発電する、
若しくは、他から新エネルギーによる電気を購入するなどして、義務を履行する
ことになっています。対象としている新エネルギーは、風力、太陽光、地熱、
1000kW以下の水力及びバイオマスです。
7月上旬に発表された新エネルギー利用による電気の総量は、2010(平成22)
年度は102.5億kWhでした。前年度は88.7億kWhで15%増となっています。RPS法が
施行された2003(平成15)年度は40.7億kWhでしたので、約2.5倍に増加しています。
しかし、日本の発電総量約9,500億kWhの未だ約1%に過ぎない状況です。なお、
2010(平成22)年度の新エネルギー電気の内訳は、風力がトップで41%、以下
バイオマス37%、太陽光13%、水力10%、地熱は0.1%未満となっています。
(※)RPS・・・Renewables Portfolio Standard
2.再生可能エネルギーの全量固定価格買取制度
再生可能エネルギーを利用した電力の「全量固定価格買取制度」の実現を目指
す法案(再生可能エネルギー特別措置法)が今国会(第177回通常国会)で審議に
入りました。
太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスで発電した電気を一定期間、固定価格
で買い取ることを電力会社に義務付ける内容です。買取りに要した費用は需要家
が使用電力量に比例した賦課金(サーチャージ)を支払うことで賄うことになって
います。電力の買取り自体は、家庭などの太陽光パネルで発電し、余った電気を
買い取る制度が2009(平成21)年11月から始まりましたが、今回の全量買取り制度
はその拡大版で、発電事業者が再生可能エネルギーで発電した電気も全量買い取る
制度です。この法律の成立により上記1.で述べたRPS法は廃止されます。
昨年決めた国のエネルギー基本計画では、再生可能エネルギーが発電量に占める
割合は2030年には20%を目指す計画です。この法案により、再生可能エネルギーに
よる電気が一定額で売れることが保証されれば発電事業に参入するリスクが減り、
再生可能エネルギー利用の拡大が期待されます。
3.エネルギー政策の見直し
3月11日の事故により、「エネルギーの安定供給」や「原子力の安全確保」と
いう日本のこれまでのエネルギー政策の根幹が揺らいだ事実を受け止め、新成長
戦略実現会議(議長:菅首相)の下の「エネルギー・環境会議」においてエネルギー
政策の見直しの議論が始まりました。
省エネルギー、再生可能エネルギー、資源・燃料、原子力、電力システム、
エネルギー・環境産業の6つの論点で議論を進める方針で、年内に基本方針を決め、
来年には「革新的エネルギー・環境戦略」を決定するスケジュールになっています。
省エネルギーと実用段階の再生可能エネルギー強化に全力をあげ、原子力については
原子力事故・安全の徹底検証から始めることになっています。
新成長戦略実現会議がまとめた基本方針は、経済産業省が策定するエネルギー
基本計画や原子力安全委員会がつくる原子力政策大綱に反映されることになって
います。
4.再生可能エネルギー導入ポテンシャル調査の結果
環境省では、再生可能エネルギーの大規模な導入について検討を進めるために、
再生可能エネルギー導入ポテンシャル調査を実施し、太陽光発電(非住宅)、
風力発電(陸上及び洋上)、中小水力発電及び地熱発電(温泉発電を含む)に
ついて日本における導入ポテンシャル、シナリオ別導入可能量を推計しました。
シナリオ別導入可能量は再生可能エネルギーの全量買取制度の導入や技術開発に
よるコストダウンを想定したシナリオを設定し、そのシナリオの下で事業性の
観点から実現化が見込まれる量です。
これによると、導入ポテンシャルは風力が最大で19億kW、次いで太陽光が1.5
億kW、中小水力が1,400万kW、地熱が同じく1,400万kWと推計されています。
シナリオ別導入可能量では、現状のコストレベルを前提とし、買取価格kWh当り
15円・20円、買取期間15年・20年のケースで、風力が2,400万~1.4億kWと突出
して高く、中小水力100万~300万kW、地熱が100万~500万kWと推計されています。
このケースでは太陽光発電の導入可能量は0としています。発電コストが高く
発電事業としての採算がとれないからです。太陽光発電は技術開発でコストを
下げて採算性を高める必要があります。
これらの値だけをみますと、風力発電の大きな可能量が目立ちますが、その
ポテンシャルは北海道、東北、九州エリアに集中しており、特別高圧送電線の
新増設などが課題となります。太陽光は、現状のコストレベルでは事業用発電
事業として普及していく可能性は高いとはいいにくいとしています。地熱については、
中小水力と同程度のポテンシャルが期待されますが、事業初期の投資リスクが
大きく民間事業としては難しいのではないかとしています。
参考:2009年度末の発電設備容量(2010年エネルギー白書より)
LNG火力:6,161万kW,原子力:4,885万kW,水力:4,638万kW,石油等火力:4,617万kW,
石炭火力:3,795万kW
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株式会社 パデセア 代表取締役 黒柳要次
東京都千代田区麹町2-12-1 グレンパーク半蔵門303
TEL 03-5226-6721/FAX 03-5226-6723 email:info@pdca.co.jp
http://www.pdca.co.jp
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よって電力不足を避けています。原発の問題を含めて、今後の日本におけるエネ
ルギー確保が重要な課題となっています。このような中で、まだ進行中のテーマ
もありますが、エネルギーに関連する最近の話題を紹介します。
1.RPS法による新エネルギー電気の利用の状況
新エネルギーの普及を図るため、電力会社に対して、新エネルギーから発電
される電気を販売量に応じて、一定割合以上の利用を義務付けた「電気事業者
による新エネルギー等の利用に関する特別措置法(RPS法※)」が2003(平成15)
年4月より施行されています。電力会社は、自ら新エネルギーにより発電する、
若しくは、他から新エネルギーによる電気を購入するなどして、義務を履行する
ことになっています。対象としている新エネルギーは、風力、太陽光、地熱、
1000kW以下の水力及びバイオマスです。
7月上旬に発表された新エネルギー利用による電気の総量は、2010(平成22)
年度は102.5億kWhでした。前年度は88.7億kWhで15%増となっています。RPS法が
施行された2003(平成15)年度は40.7億kWhでしたので、約2.5倍に増加しています。
しかし、日本の発電総量約9,500億kWhの未だ約1%に過ぎない状況です。なお、
2010(平成22)年度の新エネルギー電気の内訳は、風力がトップで41%、以下
バイオマス37%、太陽光13%、水力10%、地熱は0.1%未満となっています。
(※)RPS・・・Renewables Portfolio Standard
2.再生可能エネルギーの全量固定価格買取制度
再生可能エネルギーを利用した電力の「全量固定価格買取制度」の実現を目指
す法案(再生可能エネルギー特別措置法)が今国会(第177回通常国会)で審議に
入りました。
太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスで発電した電気を一定期間、固定価格
で買い取ることを電力会社に義務付ける内容です。買取りに要した費用は需要家
が使用電力量に比例した賦課金(サーチャージ)を支払うことで賄うことになって
います。電力の買取り自体は、家庭などの太陽光パネルで発電し、余った電気を
買い取る制度が2009(平成21)年11月から始まりましたが、今回の全量買取り制度
はその拡大版で、発電事業者が再生可能エネルギーで発電した電気も全量買い取る
制度です。この法律の成立により上記1.で述べたRPS法は廃止されます。
昨年決めた国のエネルギー基本計画では、再生可能エネルギーが発電量に占める
割合は2030年には20%を目指す計画です。この法案により、再生可能エネルギーに
よる電気が一定額で売れることが保証されれば発電事業に参入するリスクが減り、
再生可能エネルギー利用の拡大が期待されます。
3.エネルギー政策の見直し
3月11日の事故により、「エネルギーの安定供給」や「原子力の安全確保」と
いう日本のこれまでのエネルギー政策の根幹が揺らいだ事実を受け止め、新成長
戦略実現会議(議長:菅首相)の下の「エネルギー・環境会議」においてエネルギー
政策の見直しの議論が始まりました。
省エネルギー、再生可能エネルギー、資源・燃料、原子力、電力システム、
エネルギー・環境産業の6つの論点で議論を進める方針で、年内に基本方針を決め、
来年には「革新的エネルギー・環境戦略」を決定するスケジュールになっています。
省エネルギーと実用段階の再生可能エネルギー強化に全力をあげ、原子力については
原子力事故・安全の徹底検証から始めることになっています。
新成長戦略実現会議がまとめた基本方針は、経済産業省が策定するエネルギー
基本計画や原子力安全委員会がつくる原子力政策大綱に反映されることになって
います。
4.再生可能エネルギー導入ポテンシャル調査の結果
環境省では、再生可能エネルギーの大規模な導入について検討を進めるために、
再生可能エネルギー導入ポテンシャル調査を実施し、太陽光発電(非住宅)、
風力発電(陸上及び洋上)、中小水力発電及び地熱発電(温泉発電を含む)に
ついて日本における導入ポテンシャル、シナリオ別導入可能量を推計しました。
シナリオ別導入可能量は再生可能エネルギーの全量買取制度の導入や技術開発に
よるコストダウンを想定したシナリオを設定し、そのシナリオの下で事業性の
観点から実現化が見込まれる量です。
これによると、導入ポテンシャルは風力が最大で19億kW、次いで太陽光が1.5
億kW、中小水力が1,400万kW、地熱が同じく1,400万kWと推計されています。
シナリオ別導入可能量では、現状のコストレベルを前提とし、買取価格kWh当り
15円・20円、買取期間15年・20年のケースで、風力が2,400万~1.4億kWと突出
して高く、中小水力100万~300万kW、地熱が100万~500万kWと推計されています。
このケースでは太陽光発電の導入可能量は0としています。発電コストが高く
発電事業としての採算がとれないからです。太陽光発電は技術開発でコストを
下げて採算性を高める必要があります。
これらの値だけをみますと、風力発電の大きな可能量が目立ちますが、その
ポテンシャルは北海道、東北、九州エリアに集中しており、特別高圧送電線の
新増設などが課題となります。太陽光は、現状のコストレベルでは事業用発電
事業として普及していく可能性は高いとはいいにくいとしています。地熱については、
中小水力と同程度のポテンシャルが期待されますが、事業初期の投資リスクが
大きく民間事業としては難しいのではないかとしています。
参考:2009年度末の発電設備容量(2010年エネルギー白書より)
LNG火力:6,161万kW,原子力:4,885万kW,水力:4,638万kW,石油等火力:4,617万kW,
石炭火力:3,795万kW
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TEL 03-5226-6721/FAX 03-5226-6723 email:info@pdca.co.jp
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