パデセアメールマガジンVol.66-エネルギー白書2011-
2011/12/05 (Mon) 14:00
○○○ パデセアメールマガジンVol.66 ○○○
原子力発電は、中長期的に依存度の引き下げを目指す
-エネルギー白書2011-
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エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書)は、日本のエネルギー政策の
取組と方向性をまとめたもので、エネルギー政策基本法により毎年発行が義務付
けられています。経済産業省が作成し毎年5,6月ごろに公表されていますが、
今年は東日本大震災と原発事故の発生で約4カ月遅れ、10月28日に閣議決定・国会
に報告されました。
今年度の「エネルギー白書2011」では、「東日本大震災によるエネルギーを巡る
課題と対応」と題して1章分が割かれており、原発事故の被害、計画停電や節電
など電力供給への影響などがまとめられています。また、「今後のわが国のエネ
ルギー政策の検討の方向性」と題した章には、原子力の今後について、“現行の
エネルギー基本計画は白紙から見直す、原子力の今後については、中長期的に、
原子力発電の依存度を可能な限り引き下げていく方向性をめざす”との方針が
明示されました。一方、太陽光や風力など再生可能エネルギーについては、
“今後創設される固定価格買取制度の活用などにより開発・普及の強力な推進が
重要である”と触れています。
1.現行の「エネルギー基本計画」中の原子力発電
エネルギー基本計画は、エネルギー政策基本法に基づき政府が策定するもので、
エネルギー政策の基本的な方向性を示すものです。平成15年10月の策定後、平成
19年3月に第一次改定が行われました。その後のエネルギーを取り巻く環境変化を
踏まえ、平成22年6月に第二次改定されたものが現行の計画です。
現行のエネルギー基本計画では、原子力を供給安定性と経済性に優れた準国産
エネルギーであり、また、発電過程においてCO2を排出しない低炭素電源として、
“供給安定性、環境適合性、経済効率性の3Eを同時に満たす中長期的な基幹エネ
ルギー”と位置づけ、安全の確保を大前提に、国民の理解・信頼を得つつ、原子力
発電を積極的に推進する計画となっています。
具体的には、現状54基稼動のところ、2020年までに、9基の原子力発電所の新増設、
2030年までに、少なくとも14基以上の原子力発電所の新増設を行い、電力供給の
53%を原子力に依存する計画となっています。(参考:2009年度の依存率29%)
現状54基と記しましたが、この中には今回の原子力発電事故が発生した4基は廃炉、
2基の新増設は白紙撤廃となった原子炉が入っています。
また、これまで原子力発電のコストは最も安く見積もられてきましたが、今回の
事故を受けて、重大事故が起こった際の賠償費用、除染費用、追加的安全対策費、
放射性廃棄物の処理費用など新たなコストを、どこまで含めるのか、政府の
エネルギー・環境会議(コスト等検証委員会)で検討が始まっています。中間的な
試算結果が報道されていますが、これによると従来の試算より約4割高という結果
も出ており、事故の危なさに加えて経済面での優位性も崩れてきています。検証
委員会は12月中に火力など他の発電コストも含めて試算をまとめる予定となって
います。
2.今後のエネルギー政策の検討の方向性
「エネルギー白書2011」では、原発を積極的に推進する現在のエネルギー基本
計画を白紙で見直す方針を明らかにし、今後のエネルギー政策の検討の方向性を
次のように述べています。
“東日本大震災、原子力発電所事故により、原子力の安全性について国民の
信頼が大きく損なわれました。また、電力・石油・ガスといったエネルギーの供給に
混乱が生じ、わが国のエネルギーシステムが抱える脆弱性が明らかになりました。
これらを踏まえ、これまでのエネルギー政策を反省し、聖域なく見直すことと
します。
現行のエネルギー基本計画(2010年6月閣議決定)は白紙から見直し、来年の夏を
目処に新しい戦略と計画を打ち出すこととします。
その際には、原子力発電については、中長期的に、依存度を可能な限り引き下げて
いくという方向性を目指すとともに、省エネルギーの徹底的な推進、今後創設
する固定価格買い取り制度の活用など再生エネルギーの開発・普及の強力な推進が
重要です。”
また、定期検査後の原子力発電所の再稼動については、
“欧州諸国で導入されているストレステストを参考に新たな安全評価の実施、事故
の検証結果や教訓を踏まえて安全規制の強化などによる安全確保と地元自治体との
信頼関係の構築が大前提であり、政府が地元自治体の理解を得るべく努力する”
と述べており、中長期的に減原発を目指しつつも、再稼動には柔軟な姿勢をとって
います。
日本は2020年までに温室効果ガスの25%削減を国際公約としています。原発9基
を新増設して達成することになっています。この9基と今回事故の6基が廃炉とな
った分を火力で補う場合には、25%の削減が見込めなくなります。原発を減らした
分を再生可能エネルギーの利用拡大、排出量取引制度、環境税の導入、省エネ推進、
節電などの組み合わせにより、相殺できるかどうか、重要な課題です。一方、
国際的には11月28日から南アフリカで気候変動枠組み条約締約公会議(COP17)が
開催され、ポスト京都議定書の枠組みの議論が始まりました。
日本のエネルギー政策の方向と併せてCOP17の動向も注視していかなければなり
ません。
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株式会社 パデセア 代表取締役 黒柳要次
東京都千代田区麹町2-12-1 グレンパーク半蔵門303
TEL 03-5226-6721/FAX 03-5226-6723 email:info@pdca.co.jp
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今年は東日本大震災と原発事故の発生で約4カ月遅れ、10月28日に閣議決定・国会
に報告されました。
今年度の「エネルギー白書2011」では、「東日本大震災によるエネルギーを巡る
課題と対応」と題して1章分が割かれており、原発事故の被害、計画停電や節電
など電力供給への影響などがまとめられています。また、「今後のわが国のエネ
ルギー政策の検討の方向性」と題した章には、原子力の今後について、“現行の
エネルギー基本計画は白紙から見直す、原子力の今後については、中長期的に、
原子力発電の依存度を可能な限り引き下げていく方向性をめざす”との方針が
明示されました。一方、太陽光や風力など再生可能エネルギーについては、
“今後創設される固定価格買取制度の活用などにより開発・普及の強力な推進が
重要である”と触れています。
1.現行の「エネルギー基本計画」中の原子力発電
エネルギー基本計画は、エネルギー政策基本法に基づき政府が策定するもので、
エネルギー政策の基本的な方向性を示すものです。平成15年10月の策定後、平成
19年3月に第一次改定が行われました。その後のエネルギーを取り巻く環境変化を
踏まえ、平成22年6月に第二次改定されたものが現行の計画です。
現行のエネルギー基本計画では、原子力を供給安定性と経済性に優れた準国産
エネルギーであり、また、発電過程においてCO2を排出しない低炭素電源として、
“供給安定性、環境適合性、経済効率性の3Eを同時に満たす中長期的な基幹エネ
ルギー”と位置づけ、安全の確保を大前提に、国民の理解・信頼を得つつ、原子力
発電を積極的に推進する計画となっています。
具体的には、現状54基稼動のところ、2020年までに、9基の原子力発電所の新増設、
2030年までに、少なくとも14基以上の原子力発電所の新増設を行い、電力供給の
53%を原子力に依存する計画となっています。(参考:2009年度の依存率29%)
現状54基と記しましたが、この中には今回の原子力発電事故が発生した4基は廃炉、
2基の新増設は白紙撤廃となった原子炉が入っています。
また、これまで原子力発電のコストは最も安く見積もられてきましたが、今回の
事故を受けて、重大事故が起こった際の賠償費用、除染費用、追加的安全対策費、
放射性廃棄物の処理費用など新たなコストを、どこまで含めるのか、政府の
エネルギー・環境会議(コスト等検証委員会)で検討が始まっています。中間的な
試算結果が報道されていますが、これによると従来の試算より約4割高という結果
も出ており、事故の危なさに加えて経済面での優位性も崩れてきています。検証
委員会は12月中に火力など他の発電コストも含めて試算をまとめる予定となって
います。
2.今後のエネルギー政策の検討の方向性
「エネルギー白書2011」では、原発を積極的に推進する現在のエネルギー基本
計画を白紙で見直す方針を明らかにし、今後のエネルギー政策の検討の方向性を
次のように述べています。
“東日本大震災、原子力発電所事故により、原子力の安全性について国民の
信頼が大きく損なわれました。また、電力・石油・ガスといったエネルギーの供給に
混乱が生じ、わが国のエネルギーシステムが抱える脆弱性が明らかになりました。
これらを踏まえ、これまでのエネルギー政策を反省し、聖域なく見直すことと
します。
現行のエネルギー基本計画(2010年6月閣議決定)は白紙から見直し、来年の夏を
目処に新しい戦略と計画を打ち出すこととします。
その際には、原子力発電については、中長期的に、依存度を可能な限り引き下げて
いくという方向性を目指すとともに、省エネルギーの徹底的な推進、今後創設
する固定価格買い取り制度の活用など再生エネルギーの開発・普及の強力な推進が
重要です。”
また、定期検査後の原子力発電所の再稼動については、
“欧州諸国で導入されているストレステストを参考に新たな安全評価の実施、事故
の検証結果や教訓を踏まえて安全規制の強化などによる安全確保と地元自治体との
信頼関係の構築が大前提であり、政府が地元自治体の理解を得るべく努力する”
と述べており、中長期的に減原発を目指しつつも、再稼動には柔軟な姿勢をとって
います。
日本は2020年までに温室効果ガスの25%削減を国際公約としています。原発9基
を新増設して達成することになっています。この9基と今回事故の6基が廃炉とな
った分を火力で補う場合には、25%の削減が見込めなくなります。原発を減らした
分を再生可能エネルギーの利用拡大、排出量取引制度、環境税の導入、省エネ推進、
節電などの組み合わせにより、相殺できるかどうか、重要な課題です。一方、
国際的には11月28日から南アフリカで気候変動枠組み条約締約公会議(COP17)が
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