パデセアメールマガジンVol.69-地熱発電の現状と将来」
2012/02/07 (Tue) 12:00
○○○ パデセアメールマガジンVol.69 ○○○
地熱発電の現状と将来
―総発電量は低いが、貴重な国産エネルギーとして期待―
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★今回のテーマは「地熱発電の現状と将来」です。
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“経済産業省は地熱発電の開発を促進するため、傘下の独立行政法人が開発会社
に資金支援することを決めた”との報道がありました。
今年の7月から太陽光、風力、地熱など再生可能エネルギーによる電気の全量買取
制度も始まります。
今月は「地熱発電」の現状と課題について紹介します。
1.地熱発電
地熱発電は、地表から地下深部に浸透した雨水などが地熱によって加熱され、
高温の熱水として貯えられた地熱貯留層から、坑井により地上に熱水・蒸気を取り
出し、熱水は地下に戻して蒸気だけを発電タービンの動力に利用する蒸気発電
方式です。
地熱発電の方式には、そのほか熱水を有効利用するバイナリー発電があります。
バイナリー方式は、アンモニア、ペンタンなど沸点の低い物質(媒体)を加熱し、
その蒸気でタービンを回して発電する方式です。従来の蒸気発電方式では利用出来
ない低温の地熱流体(蒸気・熱水)による発電を可能にする方式です。
2.日本の地熱発電の現状
1966(昭和41)年、日本で始めての地熱発電所の運転が開始されました。現在では
東北や九州を中心として18ヶ所に発電設備が立地しています。設備容量は、平成
になってから約31万kWの開発が行われ、それまでの22万kWの開発を合わせて合計
53万kWとなっています。発電設備の容量は、小さなもので2,000kW、一番大きい
ものでも65,000kW。原子力発電と比べると小規模設備が多いのが特徴です。このうち
バイナリー式は2,000kWの大分県八丁原バイナリー発電設備です。また、東北・九州
以外の地域では、東京都の八丈島に東京電力八丈島発電所(3,300kW)があります。
また、年間の発電電力量は約30億kWh(2009年度)となっています。この発電電力量は
日本国内の総発電電力量の約0.3%と、非常に小さいシェアにとどまっているのが現状
です。
世界の地熱発電設備容量を見ると、アメリカが250万kWでトップ、続いてフィリピン、
イタリア、インドネシア、メキシコ、日本の順となっており、日本は設備容量では
世界第6位にとどまっています。
3.地熱発電の利点
地熱発電の利点として次が挙げられています。
(1)化石燃料による発電に比較してCO2排出量が相対的に小さく、地球温暖化の防止
対策として効果的なクリーンエネルギーである。
参考:ライフサイクルのCO2排出量(単位はg・CO2/kWh)
石炭火力975、石油火力742、LNG火力608、地熱発電15、水力11
(2)地熱発電は、風力、太陽光などと違って天候に左右されず出力の変動はなく、
また、昼夜を問わず年中稼動することが出来るので設備利用率は約70%と高い。
参考:風力約20%、太陽光約12%
(3)火山国である日本は地熱エネルギーが豊富にある。地熱は数少ない貴重な国産エネルギー。
(4)発電に使用した高温の蒸気や熱水は、温室や暖房などに再利用することが出来る。
4.地熱発電の課題
地熱発電は、火山帯に位置する日本の国土を最大限活用し得る発電方法として、
戦後早い時期からその可能性が注目され研究開発が進められてきました。日本の
地熱発電は第2次石油危機を契機に増加しましたが、1999(平成11)年東京都の八丈島
地熱発電所が操業して以降は、新規立地はありません。
その背景として、<1>地下深部の調査を要することから、開発のリードタイムが
通常10年以上と長いことや調査・開発段階で多数の坑井掘削が必要なこと等から
コストが高い、<2>地熱資源の多くが自然公園法に基づく国立、国定公園内や温泉
地域近傍の存在しており、地元温泉事業者等との調整が必要。また坑井を掘削して
地下の熱水を取得する行為を伴うので、自然公園法、温泉法などの規制を受ける、
等が要因として挙げられています。
そのため、国が先導的に地熱資源の調査を行い開発リスクの低減を図ると共に、
調査、建設、運転の各段階において、コスト低減、環境保全、立地促進など各種
開発支援を実施してきています。
日本における地熱発電のポテンシャルは、温度が150℃以上の資源量は約2,347万kW程度
(原発20基相当)と試算されています。そのうち国立、国定公園の特別保護地域以外の
開発可能な地域の資源量は約425万kWと見られており、現在の設備容量合計53万kWと
比較すると今後の開発可能性は大きく残されているといわれています。
今後、地熱発電の開発及び導入を促進するためには、政策的な支援が不可欠です。
このため、石油・天然ガスの開発と同じように、開発の準備段階の会社に出資したり、
開発資金を借りる際に債務保証したりできるよう、改正法案が今通常国会で審議される
予定です。経済産業省は先ず資金面からの開発への支援体制を整えることにしています。
今年7月1日からスタートする再生可能エネルギー源による電気の全量買取制度とあわせて
地熱発電導入の促進が期待されます。
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株式会社 パデセア 代表取締役 黒柳要次
東京都千代田区麹町2-12-1 グレンパーク半蔵門303
TEL 03-5226-6721/FAX 03-5226-6723 email:info@pdca.co.jp
http://www.pdca.co.jp
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に資金支援することを決めた”との報道がありました。
今年の7月から太陽光、風力、地熱など再生可能エネルギーによる電気の全量買取
制度も始まります。
今月は「地熱発電」の現状と課題について紹介します。
1.地熱発電
地熱発電は、地表から地下深部に浸透した雨水などが地熱によって加熱され、
高温の熱水として貯えられた地熱貯留層から、坑井により地上に熱水・蒸気を取り
出し、熱水は地下に戻して蒸気だけを発電タービンの動力に利用する蒸気発電
方式です。
地熱発電の方式には、そのほか熱水を有効利用するバイナリー発電があります。
バイナリー方式は、アンモニア、ペンタンなど沸点の低い物質(媒体)を加熱し、
その蒸気でタービンを回して発電する方式です。従来の蒸気発電方式では利用出来
ない低温の地熱流体(蒸気・熱水)による発電を可能にする方式です。
2.日本の地熱発電の現状
1966(昭和41)年、日本で始めての地熱発電所の運転が開始されました。現在では
東北や九州を中心として18ヶ所に発電設備が立地しています。設備容量は、平成
になってから約31万kWの開発が行われ、それまでの22万kWの開発を合わせて合計
53万kWとなっています。発電設備の容量は、小さなもので2,000kW、一番大きい
ものでも65,000kW。原子力発電と比べると小規模設備が多いのが特徴です。このうち
バイナリー式は2,000kWの大分県八丁原バイナリー発電設備です。また、東北・九州
以外の地域では、東京都の八丈島に東京電力八丈島発電所(3,300kW)があります。
また、年間の発電電力量は約30億kWh(2009年度)となっています。この発電電力量は
日本国内の総発電電力量の約0.3%と、非常に小さいシェアにとどまっているのが現状
です。
世界の地熱発電設備容量を見ると、アメリカが250万kWでトップ、続いてフィリピン、
イタリア、インドネシア、メキシコ、日本の順となっており、日本は設備容量では
世界第6位にとどまっています。
3.地熱発電の利点
地熱発電の利点として次が挙げられています。
(1)化石燃料による発電に比較してCO2排出量が相対的に小さく、地球温暖化の防止
対策として効果的なクリーンエネルギーである。
参考:ライフサイクルのCO2排出量(単位はg・CO2/kWh)
石炭火力975、石油火力742、LNG火力608、地熱発電15、水力11
(2)地熱発電は、風力、太陽光などと違って天候に左右されず出力の変動はなく、
また、昼夜を問わず年中稼動することが出来るので設備利用率は約70%と高い。
参考:風力約20%、太陽光約12%
(3)火山国である日本は地熱エネルギーが豊富にある。地熱は数少ない貴重な国産エネルギー。
(4)発電に使用した高温の蒸気や熱水は、温室や暖房などに再利用することが出来る。
4.地熱発電の課題
地熱発電は、火山帯に位置する日本の国土を最大限活用し得る発電方法として、
戦後早い時期からその可能性が注目され研究開発が進められてきました。日本の
地熱発電は第2次石油危機を契機に増加しましたが、1999(平成11)年東京都の八丈島
地熱発電所が操業して以降は、新規立地はありません。
その背景として、<1>地下深部の調査を要することから、開発のリードタイムが
通常10年以上と長いことや調査・開発段階で多数の坑井掘削が必要なこと等から
コストが高い、<2>地熱資源の多くが自然公園法に基づく国立、国定公園内や温泉
地域近傍の存在しており、地元温泉事業者等との調整が必要。また坑井を掘削して
地下の熱水を取得する行為を伴うので、自然公園法、温泉法などの規制を受ける、
等が要因として挙げられています。
そのため、国が先導的に地熱資源の調査を行い開発リスクの低減を図ると共に、
調査、建設、運転の各段階において、コスト低減、環境保全、立地促進など各種
開発支援を実施してきています。
日本における地熱発電のポテンシャルは、温度が150℃以上の資源量は約2,347万kW程度
(原発20基相当)と試算されています。そのうち国立、国定公園の特別保護地域以外の
開発可能な地域の資源量は約425万kWと見られており、現在の設備容量合計53万kWと
比較すると今後の開発可能性は大きく残されているといわれています。
今後、地熱発電の開発及び導入を促進するためには、政策的な支援が不可欠です。
このため、石油・天然ガスの開発と同じように、開発の準備段階の会社に出資したり、
開発資金を借りる際に債務保証したりできるよう、改正法案が今通常国会で審議される
予定です。経済産業省は先ず資金面からの開発への支援体制を整えることにしています。
今年7月1日からスタートする再生可能エネルギー源による電気の全量買取制度とあわせて
地熱発電導入の促進が期待されます。
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