パデセアメールマガジンVol.70-初のメタンハイドレート海底掘削開始
2012/03/07 (Wed) 12:30
○○○ パデセアメールマガジンVol.70 ○○○
初のメタンハイドレート海底掘削開始
―次世代エネルギー資源の技術確立を目指す―
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は巻末をご覧ください。
★今回のテーマは「メタンハイドレート」です。
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独立行政法人「石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)」は、2月15日に
愛知県渥美半島沖で、次世代エネルギー資源と期待される「メタンハイドレート」
の世界初となる海洋産出試験に向けた海底掘削を始めました。海洋研究開発機構
の地球深部探査船「ちきゅう」を使って、深さ約1,000mの海底下の地層を掘る
ことになっています。来年1月には実際にガスを取り出す予定で、政府は2018年度
までに商業生産のための基盤づくりを目指しています。メタンハイドレートは、
日本近海に日本の天然ガス需要の100年分以上埋蔵しているとの試算もあり、
将来の天然ガス資源として有望視されています。
1.メタンハイドレートとは
メタンハイドレートは、「燃える氷」と呼ばれていますが、低温高圧の条件下
で、水分子の結晶構造の中にメタン分子が取り込まれた氷状の固体物質です。
メタンハイドレートは、温度を上げるか、圧力を下げるなどの変化を与えると
水分子と気体のメタン分子に分離します。分離されたメタン分子は天然ガスの
主成分と同じもので新たなエネルギー資源と期待されているものです。
このメタンハイドレートは、世界でも水深の深い海底面下や極地の凍土地帯
の地層に広く分布しており、日本国海域でも、南海トラフ(*)海域を中心に
相当量の存在が見込まれています。経済産業省の資料では、有望海域の一つで
ある静岡県から和歌山県の沖合海域(東部南海トラフ海域)におけるメタン
ハイドレートの埋蔵量は、国内の天然ガス消費量の約14年分にあたる約1兆m3
と推計しています。
(*)トラフ:細長い溝状の海底盆地のうち、最深6kmを超えないもの
2.メタンハイドレート生産技術開発の重要性
メタンハイドレートは、地層中に固体の状態で存在しており、石油や天然
ガス資源のように、井戸を掘るだけでは自噴しません。メタンハイドレート層
からメタンを安定的・経済的に生産するためには、在来の石油・天然ガス資源
の生産技術のみでは不可能なので新たな技術開発を行うことが必要です。エネ
ルギー自給率が4%程度の日本にとっては、メタンハイドレートの生産技術が
確立され、商業化が実現すれば、日本のエネルギー安定供給に貢献する国産
エネルギー資源になるものと期待されています。
3.日本におけるメタンハイドレート開発計画
メタンハイドレートを資源として開発するため、2001年に経済産業省によって
「我が国におけるメタンハイドレート開発計画」が策定されました。開発計画は
2001年度から2018年度の18年間に及ぶ長期計画となっています。
2001年度以来、有望海域の一つの東部南海トラフでの音波を使用した物理探査
や掘削調査などが実施され、その結果、2007年にはこの海域でのメタンハイド
レートの埋蔵量は、日本の天然ガス消費量の約14年分に相当すると推計されました。
今後はメタンハイドレートからメタンガスを取り出す技術開発を目指しており、
今回の試験は海洋における世界初のメタンハイドレートからのメタンガスの産出
試験となりました。作業期間は2年にわたる予定で、来年1月から3月の期間内に
実際にガスを取り出す計画となっています。今回の産出試験は商業生産ではあり
ませんが、将来の商業生産に向けた貴重なデータが得られるものと期待され、
2018年度までに商業的産出のための技術基盤の整備を行う予定となっています。
4.メタンハイドレートと環境問題
メタンは燃焼させた時の二酸化炭素の排出量は石油や石炭よりも少ないクリーン
エネルギーですが、その一方、メタンは温室効果ガスで二酸化炭素の21倍の温室効果
を持っています。採掘中に漏れ出せば地球環境に大きな負荷をかけることになります。
地球温暖化への影響のほか、メタンハイドレートを取り出した海底の地盤が崩れやす
くなって陥没や地すべりを誘発する可能性があり、津波などの災害を引き起こすこと
も考えられています。これらの可能性に対する十分な検討が必要です。今回の海洋産
出試験を通じてメタンハイドレート開発に伴う環境影響評価手法の確立も目指してい
ます。
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★書籍「eco検定ポイント集中レッスン」「ポケット問題集」「eco検定通信教育」改訂中
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2012年以降の試験に対応するeco検定公式テキスト(改訂3版)が発売されましたが
これに伴い、弊社執筆の「eco検定ポイント集中レッスン」、「ポケット問題集」
「通信教育」「Eラーニング」を改訂中です。
詳細は、HPでご案内しますが4月下旬~5月初旬にリリース予定です。
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株式会社 パデセア 代表取締役 黒柳要次
東京都千代田区麹町2-12-1 グレンパーク半蔵門303
TEL 03-5226-6721/FAX 03-5226-6723 email:info@pdca.co.jp
http://www.pdca.co.jp
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―次世代エネルギー資源の技術確立を目指す―
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愛知県渥美半島沖で、次世代エネルギー資源と期待される「メタンハイドレート」
の世界初となる海洋産出試験に向けた海底掘削を始めました。海洋研究開発機構
の地球深部探査船「ちきゅう」を使って、深さ約1,000mの海底下の地層を掘る
ことになっています。来年1月には実際にガスを取り出す予定で、政府は2018年度
までに商業生産のための基盤づくりを目指しています。メタンハイドレートは、
日本近海に日本の天然ガス需要の100年分以上埋蔵しているとの試算もあり、
将来の天然ガス資源として有望視されています。
1.メタンハイドレートとは
メタンハイドレートは、「燃える氷」と呼ばれていますが、低温高圧の条件下
で、水分子の結晶構造の中にメタン分子が取り込まれた氷状の固体物質です。
メタンハイドレートは、温度を上げるか、圧力を下げるなどの変化を与えると
水分子と気体のメタン分子に分離します。分離されたメタン分子は天然ガスの
主成分と同じもので新たなエネルギー資源と期待されているものです。
このメタンハイドレートは、世界でも水深の深い海底面下や極地の凍土地帯
の地層に広く分布しており、日本国海域でも、南海トラフ(*)海域を中心に
相当量の存在が見込まれています。経済産業省の資料では、有望海域の一つで
ある静岡県から和歌山県の沖合海域(東部南海トラフ海域)におけるメタン
ハイドレートの埋蔵量は、国内の天然ガス消費量の約14年分にあたる約1兆m3
と推計しています。
(*)トラフ:細長い溝状の海底盆地のうち、最深6kmを超えないもの
2.メタンハイドレート生産技術開発の重要性
メタンハイドレートは、地層中に固体の状態で存在しており、石油や天然
ガス資源のように、井戸を掘るだけでは自噴しません。メタンハイドレート層
からメタンを安定的・経済的に生産するためには、在来の石油・天然ガス資源
の生産技術のみでは不可能なので新たな技術開発を行うことが必要です。エネ
ルギー自給率が4%程度の日本にとっては、メタンハイドレートの生産技術が
確立され、商業化が実現すれば、日本のエネルギー安定供給に貢献する国産
エネルギー資源になるものと期待されています。
3.日本におけるメタンハイドレート開発計画
メタンハイドレートを資源として開発するため、2001年に経済産業省によって
「我が国におけるメタンハイドレート開発計画」が策定されました。開発計画は
2001年度から2018年度の18年間に及ぶ長期計画となっています。
2001年度以来、有望海域の一つの東部南海トラフでの音波を使用した物理探査
や掘削調査などが実施され、その結果、2007年にはこの海域でのメタンハイド
レートの埋蔵量は、日本の天然ガス消費量の約14年分に相当すると推計されました。
今後はメタンハイドレートからメタンガスを取り出す技術開発を目指しており、
今回の試験は海洋における世界初のメタンハイドレートからのメタンガスの産出
試験となりました。作業期間は2年にわたる予定で、来年1月から3月の期間内に
実際にガスを取り出す計画となっています。今回の産出試験は商業生産ではあり
ませんが、将来の商業生産に向けた貴重なデータが得られるものと期待され、
2018年度までに商業的産出のための技術基盤の整備を行う予定となっています。
4.メタンハイドレートと環境問題
メタンは燃焼させた時の二酸化炭素の排出量は石油や石炭よりも少ないクリーン
エネルギーですが、その一方、メタンは温室効果ガスで二酸化炭素の21倍の温室効果
を持っています。採掘中に漏れ出せば地球環境に大きな負荷をかけることになります。
地球温暖化への影響のほか、メタンハイドレートを取り出した海底の地盤が崩れやす
くなって陥没や地すべりを誘発する可能性があり、津波などの災害を引き起こすこと
も考えられています。これらの可能性に対する十分な検討が必要です。今回の海洋産
出試験を通じてメタンハイドレート開発に伴う環境影響評価手法の確立も目指してい
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2012年以降の試験に対応するeco検定公式テキスト(改訂3版)が発売されましたが
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