パデセアメールマガジンVol.72-2010年度国内温室効果ガス排出量
2012/05/07 (Mon) 12:30
○○○ パデセアメールマガジンVol.72 ○○○
2010年度国内温室効果ガス排出量、09年度比で増加
―京都議定書削減目標は3年連続達成―
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★今回のテーマは「2010年度国内温室効果ガス排出量」です。
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環境省は4月13日、2010年度の国内の温室効果ガスの総排出量
(確定値)は、CO2換算で12億5,800万トンとなり、京都議定書の
規定による基準年比(*)0.3%の減少、前年度からは4.2%増加
したと発表しました。前年度からの増加は3年ぶりとなります。
また、京都議定書の削減義務がスタートした08年以降、森林吸収、
排出枠購入を加えると3年連続で日本の6%削減義務を達成して
いることになっています。
(*)基準年:1990年度。但し代替フロン等3ガスは1995年度
1.2010年度温室効果ガスの総排出量(確定値)の内訳
2010年度の温室効果ガス総排出量のガス別シェア(二酸化炭素
換算)は、エネルギー起源CO2が最も多く89.3%を占め、次いで
非エネルギー起源CO25.5%、代替フロン等3ガス1.9%、一酸化二
窒素1.8%、メタン1.6%の順となっています。このように温室効果
ガスの約90%をエネルギー起源のCO2が占めていますので、エネ
ルギー政策は地球温暖化対策と密接な関係にあります。
以下に、シェアが最も大きいエネルギー起源CO2の動向を見て
みましょう。
2010年度のエネルギー起源CO2排出量は11億2,300万トンで、前年
度と比べると4.5%増加しています。その原因は、主にリーマン
ショック後の景気後退からの回復による製造業等における生産
活動の増加、猛暑・厳冬による電力消費量が増加したためと環境省
は分析しています。
部門別の排出量のシェアは、「産業部門(工場等)」38%、「運輸
部門」21%、「業務その他部門(商業・サービス・事業所等)」
19%、「家庭部門」15%、「発電所等」7%で、「産業部門(工場等)」
がトップとなっています。
一方、京都議定書の基準年比で増加が大きい順に眺めてみると、
トップは「家庭部門」の34.8%増、次いで「業務その他部門」31.9%
増、「発電所等」19.3%増、「運輸部門」6.7%増の順となっており、
排出量シェアが最も大きい「産業部門(工場等)」は12.5%減と
なっています。
基準年からの増加が大きい部門における増加理由は、「家庭部門」
では家電製品の大型化・多様化等や世帯数の増加等によるエネルギー
消費量が増加したこと、「業務その他部門」では事務所や小売等の
延べ床面積の増加、これに伴う空調・照明設備の増加やOA化の進展
による電力エネルギー消費が大きく増加したこと等のためと環境省は
報告しています。
併せて他のガスの排出量の対基準年比増減を見てみると、非エネ
ルギー起源CO219.4%減、メタン38.8%減、一酸化二窒素32.4%減、
代替フロン等3ガス54.0%減となっており、全てのガスが減少となっ
ています。
2.京都議定書の削減目標の達成状況
日本は京都議定書により08~12年度の年平均温室効果ガス排出量を、
基準年比6%削減を義務付けられています。2010年度の総排出量
(12億5,800万トン)は、基準年度の総排出量(12億6,100万トン)と
比べると、0.3%の減少となっています。京都議定書では、国内での
削減に加えて森林吸収分や京都メカニズムによる海外から購入する
排出枠を削減量として算入できることになっています。
このルールを活用して森林吸収分と海外から購入した排出枠を削減量
として計算すると、2010年度の総排出量は基準年比10.1%減となります。
同様の計算をすると、京都議定書の削減義務がスタートした08年度は
8.8%減、09年度は13.7%減となり、3年連続で京都議定書の目標を
達成したことになります。また、08~10年度の3ヵ年平均では10.9%の
減となります。
しかし、2011年度以降は、福島第一原発の事故の影響で原発が停止、
火力発電所の稼動が増えたことが反映され排出量は大幅に増加する
可能性があります。福島第一原発の事故以前では54基の商業用原発が
稼動していました。このうち福島第一原発の4基の廃炉が決定しています。
また5月5日には北海道電力泊原発3号機が定期点検のため停止し、
定期点検が終了した関西電力大飯原発3,4号機は運転開始にメドが
立っておらず、国内50基の原発がすべて停止することが確実な状況と
なっています。日本のエネルギー供給のあり方が問われています。
そのような中で、政府はエネルギー基本計画の見直しを急いでいます。
現行計画では、電源比率で50%以上に高めるとしていた原子力の割合を
将来的にどうするのか、その減少分を何で補うのか、が焦点となります。
代替エネルギー源として、太陽光、風力などの再生可能エネルギーの導入
を増やす目的で7月から全量買取り制度が始まり、買取り価格も発表
されました。
新しいエネルギー基本計画の策定は今年の夏をメドとして進められて
います。京都議定書の6%削減、さらに2020年までの中期目標25%削減の
達成が可能か、日本のエネルギー政策の方向を示す計画として注目したいと
思います。
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☆「eco検定ポイント集中レッスン」「eco検定ポケット問題集」発売
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2012年度のec検定試験用の弊社執筆の参考書「eco検定ポイント集中レッスン」、
問題集「ポケット問題集」の改訂版が4月27日に発売されました。
・「改訂第6版eco検定ポイント集中レッスン」
http://www.pdca.co.jp/ecoken/mondai.html
・「改訂第4版eco検定ポケット問題集」
http://www.pdca.co.jp/ecoken/pocket.html
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☆通信教育「eco検定通信教育」受付中
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2012年度のeco検定試験に対応する「eco検定通信教育」を受付け中です。
http://www.pdca.co.jp/ecoken/correspondence.html
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☆eラーニング「eco検定bb講座」受付開始
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2012年度のeco検定試験に対応する「eco検定bb講座」(日建学院共同開催)
の受付が始まりました。
http://www.ksknet.co.jp/nikken/guidance/eco/
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株式会社 パデセア 代表取締役 黒柳要次
東京都千代田区麹町2-12-1 グレンパーク半蔵門303
TEL 03-5226-6721/FAX 03-5226-6723 email:info@pdca.co.jp
http://www.pdca.co.jp
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したと発表しました。前年度からの増加は3年ぶりとなります。
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(*)基準年:1990年度。但し代替フロン等3ガスは1995年度
1.2010年度温室効果ガスの総排出量(確定値)の内訳
2010年度の温室効果ガス総排出量のガス別シェア(二酸化炭素
換算)は、エネルギー起源CO2が最も多く89.3%を占め、次いで
非エネルギー起源CO25.5%、代替フロン等3ガス1.9%、一酸化二
窒素1.8%、メタン1.6%の順となっています。このように温室効果
ガスの約90%をエネルギー起源のCO2が占めていますので、エネ
ルギー政策は地球温暖化対策と密接な関係にあります。
以下に、シェアが最も大きいエネルギー起源CO2の動向を見て
みましょう。
2010年度のエネルギー起源CO2排出量は11億2,300万トンで、前年
度と比べると4.5%増加しています。その原因は、主にリーマン
ショック後の景気後退からの回復による製造業等における生産
活動の増加、猛暑・厳冬による電力消費量が増加したためと環境省
は分析しています。
部門別の排出量のシェアは、「産業部門(工場等)」38%、「運輸
部門」21%、「業務その他部門(商業・サービス・事業所等)」
19%、「家庭部門」15%、「発電所等」7%で、「産業部門(工場等)」
がトップとなっています。
一方、京都議定書の基準年比で増加が大きい順に眺めてみると、
トップは「家庭部門」の34.8%増、次いで「業務その他部門」31.9%
増、「発電所等」19.3%増、「運輸部門」6.7%増の順となっており、
排出量シェアが最も大きい「産業部門(工場等)」は12.5%減と
なっています。
基準年からの増加が大きい部門における増加理由は、「家庭部門」
では家電製品の大型化・多様化等や世帯数の増加等によるエネルギー
消費量が増加したこと、「業務その他部門」では事務所や小売等の
延べ床面積の増加、これに伴う空調・照明設備の増加やOA化の進展
による電力エネルギー消費が大きく増加したこと等のためと環境省は
報告しています。
併せて他のガスの排出量の対基準年比増減を見てみると、非エネ
ルギー起源CO219.4%減、メタン38.8%減、一酸化二窒素32.4%減、
代替フロン等3ガス54.0%減となっており、全てのガスが減少となっ
ています。
2.京都議定書の削減目標の達成状況
日本は京都議定書により08~12年度の年平均温室効果ガス排出量を、
基準年比6%削減を義務付けられています。2010年度の総排出量
(12億5,800万トン)は、基準年度の総排出量(12億6,100万トン)と
比べると、0.3%の減少となっています。京都議定書では、国内での
削減に加えて森林吸収分や京都メカニズムによる海外から購入する
排出枠を削減量として算入できることになっています。
このルールを活用して森林吸収分と海外から購入した排出枠を削減量
として計算すると、2010年度の総排出量は基準年比10.1%減となります。
同様の計算をすると、京都議定書の削減義務がスタートした08年度は
8.8%減、09年度は13.7%減となり、3年連続で京都議定書の目標を
達成したことになります。また、08~10年度の3ヵ年平均では10.9%の
減となります。
しかし、2011年度以降は、福島第一原発の事故の影響で原発が停止、
火力発電所の稼動が増えたことが反映され排出量は大幅に増加する
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稼動していました。このうち福島第一原発の4基の廃炉が決定しています。
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を増やす目的で7月から全量買取り制度が始まり、買取り価格も発表
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株式会社 パデセア 代表取締役 黒柳要次
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