パデセアメールマガジンVol.78-新たなエネルギー政策-
2012/10/03 (Wed) 12:30
○○○ パデセアメールマガジンVol.78 ○○○
新たなエネルギー政策「2030年代に原発稼動ゼロ」を目指す
―しかし、閣議決定は見送り―
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★今回のテーマは「新たなエネルギー政策」です。
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9月14日に開催された政府のエネルギー・環境会議は、「2030年代
に原発稼動ゼロ」を目指す方針を盛り込んだ新たなエネルギー政策
「革新的エネルギー・環境戦略」をまとめました。原発事故を受けて
高まった「脱原発」の世論を踏まえ、原発政策を大きく転換した内容
です。
しかし、原発がある自治体や経済界などの反発を受けて、「2030年
代に原発稼動ゼロ」という目標を柱とする「革新的エネルギー・環境
戦略」そのものの閣議決定は見送られました。
1.「革新的エネルギー・環境戦略」の概要
政府は、この夏新しいエネルギー政策を決めるための国民的議論
として「討論型世論調査」を行ってきましたが、「少なくとも過半の
国民は原発に依存しない社会の実現を望んでいる」との結果が得られ
ました。これを受けて「革新的エネルギー・環境戦略」がまとめられました。
この戦略は、省エネルギー・再生可能エネルギーといったグリーン
エネルギーを最大限に引き上げることを通じて、原発依存度を減らし、
化石燃料依存度を抑制することを基本方針として
・原発に依存しない社会の1日も早い実現
・グリーンエネルギー革命の実現
・エネルギーの安定供給
を3本柱としています。その骨子は次のとおりです。
・2030年代に原発稼動ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を
投入する。
・原発運転は40年に制限し、原子力規制委員会の安全確認を得た原発のみ
再稼動する。
・原発の新設・増設はしない。
・核燃料サイクル政策は、青森県の協力は重く受け止め、引き続き
再処理事業に取り組む。
・高速増殖原型炉「もんじゅ」は、年限を区切った研究計画を策定し、
成果を確認の上研究を終了する。
・省エネは、省エネ機器の導入加速、家庭用燃料電池の導入などにより
最終エネルギー消費量ベースで、2010年比で、2030年までに約18%
以上の削減を実現する。
・再生可能エネルギーによる発電量は2030年に10年の約3倍以上の開発を
実現する。
・コジェネ(熱電併給)の最大限普及、メタンハイドレート・CCS(二酸化炭素
回収)などの次世代エネルギー関連技術の実用化研究開発を促進
する。
上記の三本柱を実現するには、エネルギーを巡る仕組みを抜本的に改める
必要がある、
具体的には、「発電部門と送配電部門を分離し、送配電網を中立・公平に開放」
等を内容とする電力システム改革を断行することを謳っています。
また、地球温暖化対策については、
・再生可能エネルギーの大量導入と省エネルギーの展開などにより、国内
における2030年時点の温室効果ガス排出量を概ね2割削減(1990年比)する
ことを目指す。
・2020年時点の温室効果ガス排出量は、原発の稼動が不確実なので、一定
の前提で計算すると、1990年比5~9%削減となる。
・国内における削減に加えて、森林などの吸収源対策や国際的な取組を
積極的に進める。
これらの内容を踏まえ、本年度末までに、2013年以降の「地球温暖化対策の
計画」を策定し、国民や国際社会に対して示していくとしています。
2.今後のエネルギー・環境政策について
2030年代の原発稼動ゼロを目指す「革新的エネルギー・環境政策」の閣議
決定は、原発がある自治体や経済界などの反発に配慮して見送られました。
「戦略を踏まえ、柔軟性を持って不断の検証と見直しを行う」とする短い
文章だけが9月19日に閣議決定されました。日本のエネルギー戦略の議論は
事実上振り出しに戻った感じです。政府は革新戦略を踏まえて、年末までに
「地球温暖化対策」、原発依存度などを定めた「エネルギー基本計画」、
省エネや節電目標を盛り込んだ「グリーン政策大綱」などをまとめる方針に
なっています。
一方、近いうちに政権交代の可能性が取りざたされています。交代後の
政権は「原発容認」を政策にしており、2030年代の原発稼動ゼロ戦略は白紙
となる可能性も予測されます。今後の政治の動きと国の将来を左右するエネ
ルギー政策の動向に注目していきたいと思います。
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11月3日(土)に東京商工会議所荒川支部主催の「eco検定受験対策講座」
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詳細はこちらをご覧ください。
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2012年12月の第13回eco検定試験に対応する「eco検定通信教育」です。
時事問題テキスト付き。詳細はこちらから。
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株式会社 パデセア 代表取締役 黒柳要次
東京都千代田区麹町2-12-1 グレンパーク半蔵門303
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に原発稼動ゼロ」を目指す方針を盛り込んだ新たなエネルギー政策
「革新的エネルギー・環境戦略」をまとめました。原発事故を受けて
高まった「脱原発」の世論を踏まえ、原発政策を大きく転換した内容
です。
しかし、原発がある自治体や経済界などの反発を受けて、「2030年
代に原発稼動ゼロ」という目標を柱とする「革新的エネルギー・環境
戦略」そのものの閣議決定は見送られました。
1.「革新的エネルギー・環境戦略」の概要
政府は、この夏新しいエネルギー政策を決めるための国民的議論
として「討論型世論調査」を行ってきましたが、「少なくとも過半の
国民は原発に依存しない社会の実現を望んでいる」との結果が得られ
ました。これを受けて「革新的エネルギー・環境戦略」がまとめられました。
この戦略は、省エネルギー・再生可能エネルギーといったグリーン
エネルギーを最大限に引き上げることを通じて、原発依存度を減らし、
化石燃料依存度を抑制することを基本方針として
・原発に依存しない社会の1日も早い実現
・グリーンエネルギー革命の実現
・エネルギーの安定供給
を3本柱としています。その骨子は次のとおりです。
・2030年代に原発稼動ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を
投入する。
・原発運転は40年に制限し、原子力規制委員会の安全確認を得た原発のみ
再稼動する。
・原発の新設・増設はしない。
・核燃料サイクル政策は、青森県の協力は重く受け止め、引き続き
再処理事業に取り組む。
・高速増殖原型炉「もんじゅ」は、年限を区切った研究計画を策定し、
成果を確認の上研究を終了する。
・省エネは、省エネ機器の導入加速、家庭用燃料電池の導入などにより
最終エネルギー消費量ベースで、2010年比で、2030年までに約18%
以上の削減を実現する。
・再生可能エネルギーによる発電量は2030年に10年の約3倍以上の開発を
実現する。
・コジェネ(熱電併給)の最大限普及、メタンハイドレート・CCS(二酸化炭素
回収)などの次世代エネルギー関連技術の実用化研究開発を促進
する。
上記の三本柱を実現するには、エネルギーを巡る仕組みを抜本的に改める
必要がある、
具体的には、「発電部門と送配電部門を分離し、送配電網を中立・公平に開放」
等を内容とする電力システム改革を断行することを謳っています。
また、地球温暖化対策については、
・再生可能エネルギーの大量導入と省エネルギーの展開などにより、国内
における2030年時点の温室効果ガス排出量を概ね2割削減(1990年比)する
ことを目指す。
・2020年時点の温室効果ガス排出量は、原発の稼動が不確実なので、一定
の前提で計算すると、1990年比5~9%削減となる。
・国内における削減に加えて、森林などの吸収源対策や国際的な取組を
積極的に進める。
これらの内容を踏まえ、本年度末までに、2013年以降の「地球温暖化対策の
計画」を策定し、国民や国際社会に対して示していくとしています。
2.今後のエネルギー・環境政策について
2030年代の原発稼動ゼロを目指す「革新的エネルギー・環境政策」の閣議
決定は、原発がある自治体や経済界などの反発に配慮して見送られました。
「戦略を踏まえ、柔軟性を持って不断の検証と見直しを行う」とする短い
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事実上振り出しに戻った感じです。政府は革新戦略を踏まえて、年末までに
「地球温暖化対策」、原発依存度などを定めた「エネルギー基本計画」、
省エネや節電目標を盛り込んだ「グリーン政策大綱」などをまとめる方針に
なっています。
一方、近いうちに政権交代の可能性が取りざたされています。交代後の
政権は「原発容認」を政策にしており、2030年代の原発稼動ゼロ戦略は白紙
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