パデセアメールマガジンVol.82 ―気候変動枠組条約第18回締約国会議で採択 ―
2013/01/09 (Wed) 15:30
○○○ パデセアメールマガジンVol.82 ○○○
京都議定書の8年延長(2020年まで)
―気候変動枠組条約第18回締約国会議(COP18)で採択 ―
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★今回のテーマは「気候変動枠組条約第18回締約国会議(COP18)」です。
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地球温暖化対策を話し合う気候変動枠組条約第18回締約国会議(COP18)
が、昨年の11月26日からカタール・ドーハで開催されました。
当初は12月7日までの予定だった会期を8日まで延長し、京都議定書の8
年延長(2020年まで)の外、2020年に発足させる新体制に向けた作業計画
や途上国への資金支援などを柱にした「ドーハ気候ゲートウェイ(ドーハ
合意)」を採択しました。
1.これまでの経緯
1992年に、大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させることを究極の
目標とする「気候変動に関する国際連合枠組条約(気候変動枠組条約)」
が採択され、1995年から毎年、気候変動枠組条約締約国会議(COP)が開催
されています。
1997年に京都で開催された第3回締約国会議(COP3)では、日本が議長を
務め、先進国の拘束力のある削減目標(2008~2012年の5年間で1990年に
比べて日本-6%、アメリカ-7%、EU-8%など)を規定した「京都議定書」
が合意され、温室効果ガス排出削減の大きな一歩を踏み出しました。
しかし京都議定書の下で削減義務があるのは先進国(但し、アメリカは
批准していない)のみで、著しい経済成長により二酸化炭素の排出量が
急増している中国、インドなどの新興国は削減義務を持っていません。
2010年実績では世界のエネルギー起源二酸化炭素排出量に占める削減
義務国の割合は、25.6%に過ぎません。
ここ数年の締約国会議(COP)の主要議題は、京都議定書の第一約束期間が
終了した後(2013年以降)の枠組みづくりでした。世界全体に占める排出量
が大きく、現行では削減義務を負っていないアメリカ、中国等をはじめと
する全ての主要国が参加する実効性のある枠組みです。
前回の第17回締約国会議(COP17)では、「温暖化対策に空白を作らない
ために京都議定書を2013年以降も継続すること」、「全ての主要国が参加
する新枠組みは2015年までに交渉を終わらせて2020年から開始すること」
等を柱とした「ダーバン合意」が採択されていました。
2.第18回締約国会議(COP18)の概要
カタール・ドーハでのCOP18では、前回のCOP17で合意された「ダーバン
合意」を着実に前に進めることが重要であり、
・京都議定書を継続する期間の長さ
・2020年からの新枠組みづくりに向けた作業計画
・開発途上国への資金支援の大きさ
を決めることが主な焦点でした。
新聞報道によると、会議では途上国への資金支援の増額等をめぐり、
先進国と途上国・新興国が激論を繰り広げました。12月7日に終える予定を
8日まで延長した議論の末、「ドーハ気候ゲートウェイ(ドーハ合意)」を
採択しました。但し、先進国と途上国・新興国の激しい対立から詳細を
詰めることが出来ず、今年から本格化する交渉は難航が予想されます。
<ドーハ気候ゲートウェイ(ドーハ合意)の概要>
・京都議定書の延長期間(第二約束期間)は2013年~2020年と決まり、
国際的な枠組みの「空白期間」が生じることは避けられました。ただし、
第二約束期間に参加するのは、EU、スイス、ノルウェー、オーストラ
リアなど。参加国の二酸化炭素排出量は世界全体の10数%程度に落ち込
みます。
日本はロシア等と共に「全ての国が参加する実効性のある枠組みではない」、
「経済などへの影響が大きい」等として参加しません。
・2020年から発足させる新枠組みに向けた作業計画は、2013年はあるべき姿
などを意見交換し、2014年末までに交渉文書の素案を固め、2015年5月まで
に文書を作成、2015年末のCOP21での採択を目指すとしています。
・懸案であった途上国への資金援助では、「2015年までの3年間で少なくとも
過去3年間の水準を先進国が拠出する努力をする」となりました。
日本は2013年以降、延長した京都議定書には参加せず、自主的な目標を掲げて
排出削減を継続することになります。日本は全ての主要排出国が参加する法的
枠組みの構築を前提に、「2020年の温室効果ガス排出量を1990年比25%削減する」
と国際的に公約しています。
排出削減目標は今後のエネルギー政策に左右される側面は否めません。
昨年末に発足した新政権の原発政策を含めたエネルギー政策に注目したいと思い
ます。
───────────────────────────────────
★2013年度環境社会検定試験催日程が決定しました
───────────────────────────────────
・第14回試験日: 7月21日(日)
・第15回試験日:12月15日(日)
詳細は東京商工会議所HPをご覧ください。
http://www.kentei.org/support/2013.html
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株式会社 パデセア 代表取締役 黒柳要次
東京都千代田区麹町2-12-1 グレンパーク半蔵門303
TEL 03-5226-6721/FAX 03-5226-6723 email:info@pdca.co.jp
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が、昨年の11月26日からカタール・ドーハで開催されました。
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年延長(2020年まで)の外、2020年に発足させる新体制に向けた作業計画
や途上国への資金支援などを柱にした「ドーハ気候ゲートウェイ(ドーハ
合意)」を採択しました。
1.これまでの経緯
1992年に、大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させることを究極の
目標とする「気候変動に関する国際連合枠組条約(気候変動枠組条約)」
が採択され、1995年から毎年、気候変動枠組条約締約国会議(COP)が開催
されています。
1997年に京都で開催された第3回締約国会議(COP3)では、日本が議長を
務め、先進国の拘束力のある削減目標(2008~2012年の5年間で1990年に
比べて日本-6%、アメリカ-7%、EU-8%など)を規定した「京都議定書」
が合意され、温室効果ガス排出削減の大きな一歩を踏み出しました。
しかし京都議定書の下で削減義務があるのは先進国(但し、アメリカは
批准していない)のみで、著しい経済成長により二酸化炭素の排出量が
急増している中国、インドなどの新興国は削減義務を持っていません。
2010年実績では世界のエネルギー起源二酸化炭素排出量に占める削減
義務国の割合は、25.6%に過ぎません。
ここ数年の締約国会議(COP)の主要議題は、京都議定書の第一約束期間が
終了した後(2013年以降)の枠組みづくりでした。世界全体に占める排出量
が大きく、現行では削減義務を負っていないアメリカ、中国等をはじめと
する全ての主要国が参加する実効性のある枠組みです。
前回の第17回締約国会議(COP17)では、「温暖化対策に空白を作らない
ために京都議定書を2013年以降も継続すること」、「全ての主要国が参加
する新枠組みは2015年までに交渉を終わらせて2020年から開始すること」
等を柱とした「ダーバン合意」が採択されていました。
2.第18回締約国会議(COP18)の概要
カタール・ドーハでのCOP18では、前回のCOP17で合意された「ダーバン
合意」を着実に前に進めることが重要であり、
・京都議定書を継続する期間の長さ
・2020年からの新枠組みづくりに向けた作業計画
・開発途上国への資金支援の大きさ
を決めることが主な焦点でした。
新聞報道によると、会議では途上国への資金支援の増額等をめぐり、
先進国と途上国・新興国が激論を繰り広げました。12月7日に終える予定を
8日まで延長した議論の末、「ドーハ気候ゲートウェイ(ドーハ合意)」を
採択しました。但し、先進国と途上国・新興国の激しい対立から詳細を
詰めることが出来ず、今年から本格化する交渉は難航が予想されます。
<ドーハ気候ゲートウェイ(ドーハ合意)の概要>
・京都議定書の延長期間(第二約束期間)は2013年~2020年と決まり、
国際的な枠組みの「空白期間」が生じることは避けられました。ただし、
第二約束期間に参加するのは、EU、スイス、ノルウェー、オーストラ
リアなど。参加国の二酸化炭素排出量は世界全体の10数%程度に落ち込
みます。
日本はロシア等と共に「全ての国が参加する実効性のある枠組みではない」、
「経済などへの影響が大きい」等として参加しません。
・2020年から発足させる新枠組みに向けた作業計画は、2013年はあるべき姿
などを意見交換し、2014年末までに交渉文書の素案を固め、2015年5月まで
に文書を作成、2015年末のCOP21での採択を目指すとしています。
・懸案であった途上国への資金援助では、「2015年までの3年間で少なくとも
過去3年間の水準を先進国が拠出する努力をする」となりました。
日本は2013年以降、延長した京都議定書には参加せず、自主的な目標を掲げて
排出削減を継続することになります。日本は全ての主要排出国が参加する法的
枠組みの構築を前提に、「2020年の温室効果ガス排出量を1990年比25%削減する」
と国際的に公約しています。
排出削減目標は今後のエネルギー政策に左右される側面は否めません。
昨年末に発足した新政権の原発政策を含めたエネルギー政策に注目したいと思い
ます。
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・第14回試験日: 7月21日(日)
・第15回試験日:12月15日(日)
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