パデセアメールマガジンVol.93 -「水銀に関する水俣条約」採択-
2013/11/06 (Wed) 12:30
○○○ パデセアメールマガジンVol.93 ○○○
「水銀に関する水俣条約」採択
―水銀の採掘、使用、輸出入を包括的に規制―
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水俣病の原因となった水銀の使用を国際的に規制する「水銀に
関する水俣条約」が10月10日、熊本市で開かれた外交会議において
全会一致で採択されました。外交会議は国連環境計画(UNEP)が主催
し、139カ国・地域の政府関係者の他、国際機関、NGO等、1000人
以上が出席しました。議長国の日本を含む92カ国(含むEU)が条約に
署名しました。
50カ国・地域が批准してから90日後に発効することになっており、
国連環境計画は2016年の発効を目指しています。
(1)経緯
国連環境計画の2009年の理事会において、水銀によるリスク削減
のため、国際的な水銀の管理に関する法的拘束力のある文書(条約)
を制定すること、そのための政府間交渉委員会(INC)を設置して2013年
までのとりまとめを目指すことが合意されました。
日本は、水銀による健康被害や環境破壊を引き起こした水俣病の
経験を踏まえ、世界各国における水銀汚染対策の強化を進めるべき
との立場から、積極的にINCにおける議論に参加してきました。
国連環境計画が条約制定に動きだしたのは、水銀による健康被害や
環境汚染の広がりが明らかになってきたためで、とりわけ、途上国で
行われる水銀を使った手作業の金採掘や、火力発電の燃料の石炭から
排出される水銀の増加を問題視しました。
国連環境計画によると、大気への水銀排出は2010年に世界で1960トン
にのぼり、アジアが49%、アフリカが17%、中南米が15%を占めています。
排出源別では、最多は小規模金採掘の37%、石炭火力発電や産業用
ボイラーなどが25%で続いています。水銀は気流に乗って世界を巡り、
海に流れ込む。水銀を蓄積した魚介類を食べると人体に取り込まれる。
いわゆるグローバルリスクとなっているとしています。
(2)水銀に関する水俣条約の骨子
前文には、“水俣病を教訓に同様の被害を繰り返さない”旨の表現が
日本の提案に沿って盛り込まれ、水銀の採掘、輸出入、水銀を使った
製品の製造、大気や土壌、水への排出を規制し、世界での水銀の使用や
流通を抑える内容となっています。
<水俣条約の主な内容>
・約発効後の新規鉱山開発は禁止。既存の鉱山は条約発効から15年
以内に閉山。
・水銀の貿易は条約で認められた用途に限定。輸出時は輸入国の事前
同意が必要。
・水銀を使った体温計、血圧計、電池、スイッチリレー、一定含量以上
の蛍光灯、石鹸、化粧品など水銀含有製品は、2020年までに製造、
輸出、輸入を原則禁止。
・小規模金採掘での水銀使用を削減し、廃絶に向けて行動。
・石炭火力発電所などで大気への水銀排出を削減。
・新設の石炭火力発電所などに大気への排出を防ぐ最良の技術を導入。
・途上国に資金、技術支援、技術移転を実施。
(3)日本への影響
水銀は化学工業や乾電池など産業界で広く使われましたが、日本は
水俣病の教訓から水銀をあまり使用しない製品の開発を進めてきました。
水銀鉱山は全て閉山。ピーク時の1964年に約2,500トンあった国内需要
も現在は年10トン程度にまで減りました。
一方で、亜鉛や銅の精錬の過程で副産物として発生する水銀や使用
済み蛍光灯・乾電池などから年間約90トンの水銀が回収され、うち国
内利用分を差し引いた75トン(2010年度)が、アジアの途上国などに
輸出されています。
新条約が発効すると、水銀の輸出規制に加え海外需要も大幅に減少
する見込です。輸出できなくなった余剰の水銀を国内で安全に管理し
なければなりません。
環境省は、水銀を廃棄物として指定するなどの法整備を行い、安定
的な保管方法や処分の仕組みを整える方針です。
日本は、水俣病の経験国として、条約制定に積極的に関わってき
ました。これまでの経験に基づき蓄積した知見や技術を世界に発信し、
水銀による世界的なリスクの削減に貢献できることを期待します。
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株式会社 パデセア 代表取締役 黒柳要次
東京都千代田区麹町2-12-1 グレンパーク半蔵門303
TEL 03-5226-6721/FAX 03-5226-6723 email:info@pdca.co.jp
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関する水俣条約」が10月10日、熊本市で開かれた外交会議において
全会一致で採択されました。外交会議は国連環境計画(UNEP)が主催
し、139カ国・地域の政府関係者の他、国際機関、NGO等、1000人
以上が出席しました。議長国の日本を含む92カ国(含むEU)が条約に
署名しました。
50カ国・地域が批准してから90日後に発効することになっており、
国連環境計画は2016年の発効を目指しています。
(1)経緯
国連環境計画の2009年の理事会において、水銀によるリスク削減
のため、国際的な水銀の管理に関する法的拘束力のある文書(条約)
を制定すること、そのための政府間交渉委員会(INC)を設置して2013年
までのとりまとめを目指すことが合意されました。
日本は、水銀による健康被害や環境破壊を引き起こした水俣病の
経験を踏まえ、世界各国における水銀汚染対策の強化を進めるべき
との立場から、積極的にINCにおける議論に参加してきました。
国連環境計画が条約制定に動きだしたのは、水銀による健康被害や
環境汚染の広がりが明らかになってきたためで、とりわけ、途上国で
行われる水銀を使った手作業の金採掘や、火力発電の燃料の石炭から
排出される水銀の増加を問題視しました。
国連環境計画によると、大気への水銀排出は2010年に世界で1960トン
にのぼり、アジアが49%、アフリカが17%、中南米が15%を占めています。
排出源別では、最多は小規模金採掘の37%、石炭火力発電や産業用
ボイラーなどが25%で続いています。水銀は気流に乗って世界を巡り、
海に流れ込む。水銀を蓄積した魚介類を食べると人体に取り込まれる。
いわゆるグローバルリスクとなっているとしています。
(2)水銀に関する水俣条約の骨子
前文には、“水俣病を教訓に同様の被害を繰り返さない”旨の表現が
日本の提案に沿って盛り込まれ、水銀の採掘、輸出入、水銀を使った
製品の製造、大気や土壌、水への排出を規制し、世界での水銀の使用や
流通を抑える内容となっています。
<水俣条約の主な内容>
・約発効後の新規鉱山開発は禁止。既存の鉱山は条約発効から15年
以内に閉山。
・水銀の貿易は条約で認められた用途に限定。輸出時は輸入国の事前
同意が必要。
・水銀を使った体温計、血圧計、電池、スイッチリレー、一定含量以上
の蛍光灯、石鹸、化粧品など水銀含有製品は、2020年までに製造、
輸出、輸入を原則禁止。
・小規模金採掘での水銀使用を削減し、廃絶に向けて行動。
・石炭火力発電所などで大気への水銀排出を削減。
・新設の石炭火力発電所などに大気への排出を防ぐ最良の技術を導入。
・途上国に資金、技術支援、技術移転を実施。
(3)日本への影響
水銀は化学工業や乾電池など産業界で広く使われましたが、日本は
水俣病の教訓から水銀をあまり使用しない製品の開発を進めてきました。
水銀鉱山は全て閉山。ピーク時の1964年に約2,500トンあった国内需要
も現在は年10トン程度にまで減りました。
一方で、亜鉛や銅の精錬の過程で副産物として発生する水銀や使用
済み蛍光灯・乾電池などから年間約90トンの水銀が回収され、うち国
内利用分を差し引いた75トン(2010年度)が、アジアの途上国などに
輸出されています。
新条約が発効すると、水銀の輸出規制に加え海外需要も大幅に減少
する見込です。輸出できなくなった余剰の水銀を国内で安全に管理し
なければなりません。
環境省は、水銀を廃棄物として指定するなどの法整備を行い、安定
的な保管方法や処分の仕組みを整える方針です。
日本は、水俣病の経験国として、条約制定に積極的に関わってき
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株式会社 パデセア 代表取締役 黒柳要次
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