パデセアメールマガジンVol96 -日本の大気汚染の現状―
2014/01/07 (Tue) 12:30
○○○ パデセアメールマガジンVol.96 ○○○
浮遊粒子状物質(SPM)、微小粒子状物質(PM2.5)等の環境基準達成率は低い
-日本の大気汚染の現状-
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例年、12月は自動車交通量の増加、暖房のエネルギー使用の他、冬季
特有の気象現象である逆転層(*)の影響等により、大気汚染物質濃度が
高くなる傾向があります。環境省では、毎年12月を大気汚染防止推進月間
としてキャンペーンなどを実施しています。
(*)逆転層になると、地表付近の汚れた空気が上空に拡散されにくくなり、
大気汚染がひどくなる。
この機会に、日本の大気汚染の現状を見てみましょう。
1.大気汚染の経緯
1960年代に顕在化した硫黄酸化物(SOx)や窒素酸化物(NOx)を中心とした
産業公害型の大気汚染は、大気汚染防止法による排出規制、環境基準の
設定、公害防止技術の進展等により改善されてきました。その後、大都市を
中心にした自動車から排出されるNOxや浮遊粒子状物質(SPM)による大気
汚染が問題となり、自動車NOx・PM法による自動車排ガスの規制が始まり
ました。
現在では、光化学オキシダント、SPM(*)、微小粒子状物質(PM2.5)(*)の
環境基準の達成率が極めて低く、これに対処することが必要となっています。
SPMやPM2.5による呼吸器への悪影響など人の健康への影響が懸念されて
います。特にPM2.5については、2013年1月以降、中国においてPM2.5による
深刻な大気汚染が発生し、日本においても一時的に濃度の上昇が観測された
こと等により関心が高まっており、包括的に対応することが求められています。
(*)SPM:粒径10μm以下の粒子。その中で2.5μm以下のものがPM2.5
2.大気汚染の現状
大気環境の現状を、環境基準の達成状況で見てみましょう。環境基準は、
「人の健康を保護する上で維持されることが望ましい基準」として設定される
もので、工場や事業所に対する排出基準とは異なり、行政上の政策目標です。
環境省は、二酸化硫黄、二酸化窒素、SPM、PM2.5、光化学オキシダント等の
大気汚染物質について環境基準を設定し、全国規模でモニタリングしています。
このうち、産業公害の主原因であった二酸化窒素(窒素酸化物)や二酸化硫黄
(硫黄酸化物)の環境基準の達成率は、2011年度で99.5%~100%となっており
良好な状態が続いています。
以下は、環境基準の達成率が低い大気汚染物質についての現状です。
(1)光化学オキシダント
2011年度の光化学オキシダントの測定場所約1,200のうち環境基準を達成した
場所は、0~0.5%と極めて低い水準です。都道府県は、光化学オキシダントの
濃度が高くなり被害が生ずるおそれある場合に、光化学オキシダント注意報・
警報を発令します。2011年度の発令延べ日数は82日でした。都道府県別にみると、
千葉県が最も多く、次いで埼玉県となっています。月別では、7月が最も多く、
次いで8月、9月の順でした。光化学大気汚染によると思われる被害届出人数は
69人となっています。
(2)SPM
2011年度のSPMの測定場所約1,700。そのうち環境基準を達成した場所は
70%前後です。SPMや光化学オキシダントの原因には様々なものがありますが、
揮発性有機化合物(VOC)はその一つです。VOCとは揮発性を有し、大気中で
気体状となる有機化合物の総称で、塗料や接着剤、インク等の溶剤に含まれ
ているトルエン、キシレン、酢酸エチルなど多種多様な物質が含まれます。
大気汚染防止法が改正され、2006年からVOCの排出規制が始まりました。
(3)PM2.5
2009年にPM2.5の環境基準が設定され常時監視が始まっています。2011年度
における環境基準達成率は30%を切っており、低い状況が続いています。
PM2.5の原因物質とその発生源が多岐にわたり、生成機構も複雑でまだ十分に
解明されていないことから、大気環境行政における残された大きな課題と
なっています。
2013年12月に、環境省はPM2.5に関する総合的な取り組み(政策パッケージ)を
公表し、常時監視体制の強化や観測データの集積を図り、発生メカニズムの
解明に取り組むことにしています。
大気汚染物質を減らすためには、自転車・電車の利用やエコドライブを心がける、
ウォームビズなどの工夫で過度の暖房を控えめにする、など身近にできることが
ありますので心がけたいものです。
全国の大気汚染状況は、サイトで24時間情報を提供している大気汚染物質広域
監視システム(そらまめ君)があります。SPMやPM2.5の状況、光化学オキシダント
注意報・警報発令情報を知ることができます。
興味をお持ちの方は、下記のULRにアクセスして下さい。
http://soramame.taiki.go.jp/
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株式会社 パデセア 代表取締役 黒柳要次
東京都千代田区麹町2-12-1 グレンパーク半蔵門303
TEL 03-5226-6721/FAX 03-5226-6723 email:info@pdca.co.jp
http://www.pdca.co.jp
e-mail info@pdca.co.jp
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特有の気象現象である逆転層(*)の影響等により、大気汚染物質濃度が
高くなる傾向があります。環境省では、毎年12月を大気汚染防止推進月間
としてキャンペーンなどを実施しています。
(*)逆転層になると、地表付近の汚れた空気が上空に拡散されにくくなり、
大気汚染がひどくなる。
この機会に、日本の大気汚染の現状を見てみましょう。
1.大気汚染の経緯
1960年代に顕在化した硫黄酸化物(SOx)や窒素酸化物(NOx)を中心とした
産業公害型の大気汚染は、大気汚染防止法による排出規制、環境基準の
設定、公害防止技術の進展等により改善されてきました。その後、大都市を
中心にした自動車から排出されるNOxや浮遊粒子状物質(SPM)による大気
汚染が問題となり、自動車NOx・PM法による自動車排ガスの規制が始まり
ました。
現在では、光化学オキシダント、SPM(*)、微小粒子状物質(PM2.5)(*)の
環境基準の達成率が極めて低く、これに対処することが必要となっています。
SPMやPM2.5による呼吸器への悪影響など人の健康への影響が懸念されて
います。特にPM2.5については、2013年1月以降、中国においてPM2.5による
深刻な大気汚染が発生し、日本においても一時的に濃度の上昇が観測された
こと等により関心が高まっており、包括的に対応することが求められています。
(*)SPM:粒径10μm以下の粒子。その中で2.5μm以下のものがPM2.5
2.大気汚染の現状
大気環境の現状を、環境基準の達成状況で見てみましょう。環境基準は、
「人の健康を保護する上で維持されることが望ましい基準」として設定される
もので、工場や事業所に対する排出基準とは異なり、行政上の政策目標です。
環境省は、二酸化硫黄、二酸化窒素、SPM、PM2.5、光化学オキシダント等の
大気汚染物質について環境基準を設定し、全国規模でモニタリングしています。
このうち、産業公害の主原因であった二酸化窒素(窒素酸化物)や二酸化硫黄
(硫黄酸化物)の環境基準の達成率は、2011年度で99.5%~100%となっており
良好な状態が続いています。
以下は、環境基準の達成率が低い大気汚染物質についての現状です。
(1)光化学オキシダント
2011年度の光化学オキシダントの測定場所約1,200のうち環境基準を達成した
場所は、0~0.5%と極めて低い水準です。都道府県は、光化学オキシダントの
濃度が高くなり被害が生ずるおそれある場合に、光化学オキシダント注意報・
警報を発令します。2011年度の発令延べ日数は82日でした。都道府県別にみると、
千葉県が最も多く、次いで埼玉県となっています。月別では、7月が最も多く、
次いで8月、9月の順でした。光化学大気汚染によると思われる被害届出人数は
69人となっています。
(2)SPM
2011年度のSPMの測定場所約1,700。そのうち環境基準を達成した場所は
70%前後です。SPMや光化学オキシダントの原因には様々なものがありますが、
揮発性有機化合物(VOC)はその一つです。VOCとは揮発性を有し、大気中で
気体状となる有機化合物の総称で、塗料や接着剤、インク等の溶剤に含まれ
ているトルエン、キシレン、酢酸エチルなど多種多様な物質が含まれます。
大気汚染防止法が改正され、2006年からVOCの排出規制が始まりました。
(3)PM2.5
2009年にPM2.5の環境基準が設定され常時監視が始まっています。2011年度
における環境基準達成率は30%を切っており、低い状況が続いています。
PM2.5の原因物質とその発生源が多岐にわたり、生成機構も複雑でまだ十分に
解明されていないことから、大気環境行政における残された大きな課題と
なっています。
2013年12月に、環境省はPM2.5に関する総合的な取り組み(政策パッケージ)を
公表し、常時監視体制の強化や観測データの集積を図り、発生メカニズムの
解明に取り組むことにしています。
大気汚染物質を減らすためには、自転車・電車の利用やエコドライブを心がける、
ウォームビズなどの工夫で過度の暖房を控えめにする、など身近にできることが
ありますので心がけたいものです。
全国の大気汚染状況は、サイトで24時間情報を提供している大気汚染物質広域
監視システム(そらまめ君)があります。SPMやPM2.5の状況、光化学オキシダント
注意報・警報発令情報を知ることができます。
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