パデセアメールマガジンVol.102- 二ホンウナギ、絶滅危惧種に指定
2014/07/04 (Fri) 12:30
○○○ パデセアメールマガジンVol.102○○○
二ホンウナギ、絶滅危惧種に指定
―国際自然保護連合(IUCN)レッドリスト2014年版―
────────────────────────────
本メルマガは、弊社ホームページからのお申し込みがあった方、
通信教育等に申込みされメルマガを希望された方に送付しています。
メルマガの配信解除方法は巻末をご覧ください。
────────────────────────────
国際自然保護連合(IUCN)は、6月12日、絶滅のおそれがある野生
生物を指定するレッドリストの最新版(2014年版)を発表し、二ホン
ウナギを絶滅危惧種に指定しました。環境省がまとめる日本版「レッド
リスト」でも、昨年、野生での絶滅の危険性が高い絶滅危惧種に登録し
ています。
今回のIUCNの指定で、国際的にも保護が必要な種として認定され
たことになります。
1.国際自然保護連合(IUCN)とレッドリスト
国際自然保護連合(IUCN)は、1948年に設立された世界最大の自
然保護機関で、国家、政府機関、非政府機関で構成されています。
本部はスイスにあり、日本も加盟しています。
IUCNは、世界の絶滅のおそれのある動植物をリストにした「レッド
リスト」を作成しています。1986年に第1版を刊行、2006年以降は毎年更
新しています。
IUCNレッドリストは、生物の生息状況や個体数減少の原因などを科学
的に検証したうえで、生物種を「絶滅」、「野生絶滅」、「絶滅危惧種(3
段階)」、「準絶滅危惧」、「軽度懸念」及び「情報不足」の8段階に分類
しています。
2014年版のIUCNレッドリストは、約74,000種の野生生物種を評価し、
そのうち22,000種を超える野生生物種を絶滅危惧種と指定しています。
2013年版より約800種増加しました。
今回のIUCNレッドリストでは、2014FIFAワールドカップのマスコット、ブラジ
ルの固有種ミツオアルマジロが「絶滅危惧種」に指定されていましたが、
再評価されそのまま残りました。
2.二ホンウナギの絶滅危惧種登録
二ホンウナギは、IUCNレッドリストで絶滅危惧種として評価されましたが、
3段階ある絶滅危惧種の中で2番目に深刻度が高い「絶滅危惧種IB類」
に登録されました。
一つの生物が最近3世代で50%以上減少したと推定されるケースで、
「近い将来に野生で絶滅する危険性が高い」ことを示しています。IUCNは
原因として、乱獲のほか、コンクリート護岸やダムの建設で生息環境が失
われたことや、海流変化により稚魚の来遊が減ったこと等を挙げています。
今回の登録は漁獲禁止などの法的な強制力はありませんが、世界から
保全を求める声が高まることは必至と思われます。IUCNレッドリストは、野
生生物の国際取引を規制するワシントン条約の保護対象を決める重要な
科学的根拠となるため、2016年に開かれるワシントン条約締約国会議で、
輸出国の許可を義務付けるなどの新たな規制が検討される可能性があり
ます。
二ホンウナギに先んじてヨーロッパウナギは、最も絶滅の危険性が高い絶
滅危惧種IA類に分類され、ワシントン条約により2009年から国際商取引
の規制が始まっています。
3.二ホンウナギについて
二ホンウナギは、日本をはじめとする東アジア地域に分布するウナギで、
古くから食材として利用されてきました。太平洋のマリアナ海溝近くで産卵、
ふ化した稚魚(シラスウナギ)が黒潮に乗って東アジアの台湾、中国、韓国、
日本の沿岸に回遊し、河川や湖沼で成魚になり、産卵期には再び海に出て
産卵することが知られています。
稚魚や親ウナギの漁獲量は,黒潮の流れによって変動はあるものの長期
的には激減しています。農林水産省の統計によると、国内の稚魚(シラスウ
ナギ)の漁獲量は、50年前の最盛期には230トンを超えていましたが、年々
少なくなり2013年は5.2トンにまで減ってしまいました。一方、天然の親ウナ
ギも1970年代頃までは2,000~3,000トンでしたが、2013年は134トンに落
ち込みました。
私たちが通常食べているウナギのほとんどは、天然のシラスウナギを捕獲して、
それを養殖したものです。卵から安全に養殖する技術は確立されておらず、
現在のウナギ消費は養殖で成立しているのが現状です。
4.二ホンウナギ資源回復に向けた動き
今回の登録を受け、環境省は、「全国の河川で6月から2年間位かけて、生態
の実態、生息状況の調査を行い、その保全や再生の方策を検討し、ガイドラ
インとしてとりまとめる」ことを表明しました。また、農林水産省は「シラス
ウナギの漁獲量は低迷しており、対策が急務。完全養殖の実用化に向けた技術
開発を加速する一方、東アジア諸国と協議して、稚魚の管理に力を入れる」考え
を示しました。
日本は世界のウナギ消費量の7割を占めているといわれています。ウナギの
資源回復に日本は最も大きな責任を持っていることを自覚し、養殖技術の確立
や持続可能な資源管理の国際的な仕組みづくりに、積極的に貢献することを
期待します。
また、私たち日本人はウナギ資源が回復するスピードを超えて、ウナギを食べ
続けたことになります。私たち消費者も問われています。伝統的な日本の食文
化を次世代に残すためにも、食のあり方の見直しも求められています。
────────────────────────────
☆改訂8版「eco検定ポイント集中レッスン」発売中
────────────────────────────
2014年以降のeco検定試験に対応した弊社執筆の参考書改訂第8版
「eco検定ポイント集中レッスン」が5月10日に発売されました。
・「改訂第8版eco検定ポイント集中レッスン」
http://www.pdca.co.jp/ecoken/mondai.html
────────────────────────────
☆通信教育「eco検定通信教育」受付中
────────────────────────────
2014年以降のeco検定試験に対応する「eco検定通信教育」を受付中
です。
http://www.pdca.co.jp/ecoken/correspondence.html
────────────────────────────
☆eラーニング「eco検定bb講座」受付中
────────────────────────────
2014年以降のeco検定試験に対応する「eco検定bb講座」(日建学院共同開催)
を受付中です。
http://manabi.tv/guidance/eco/web.aspx
────────────────────────────
株式会社 パデセア 代表取締役 黒柳要次
東京都千代田区麹町2-12-1 グレンパーク半蔵門303
TEL 03-5226-6721/FAX 03-5226-6723 email:info@pdca.co.jp
http://www.pdca.co.jp
e-mail info@pdca.co.jp
────────────────────────────
購読解除はこちら
http://pdca.co.jp/magazine/
※当メールは送信専用です。お問い合わせのある場合はお手数ですが
info@pdca.co.jpまでお願い致します。
二ホンウナギ、絶滅危惧種に指定
―国際自然保護連合(IUCN)レッドリスト2014年版―
────────────────────────────
本メルマガは、弊社ホームページからのお申し込みがあった方、
通信教育等に申込みされメルマガを希望された方に送付しています。
メルマガの配信解除方法は巻末をご覧ください。
────────────────────────────
国際自然保護連合(IUCN)は、6月12日、絶滅のおそれがある野生
生物を指定するレッドリストの最新版(2014年版)を発表し、二ホン
ウナギを絶滅危惧種に指定しました。環境省がまとめる日本版「レッド
リスト」でも、昨年、野生での絶滅の危険性が高い絶滅危惧種に登録し
ています。
今回のIUCNの指定で、国際的にも保護が必要な種として認定され
たことになります。
1.国際自然保護連合(IUCN)とレッドリスト
国際自然保護連合(IUCN)は、1948年に設立された世界最大の自
然保護機関で、国家、政府機関、非政府機関で構成されています。
本部はスイスにあり、日本も加盟しています。
IUCNは、世界の絶滅のおそれのある動植物をリストにした「レッド
リスト」を作成しています。1986年に第1版を刊行、2006年以降は毎年更
新しています。
IUCNレッドリストは、生物の生息状況や個体数減少の原因などを科学
的に検証したうえで、生物種を「絶滅」、「野生絶滅」、「絶滅危惧種(3
段階)」、「準絶滅危惧」、「軽度懸念」及び「情報不足」の8段階に分類
しています。
2014年版のIUCNレッドリストは、約74,000種の野生生物種を評価し、
そのうち22,000種を超える野生生物種を絶滅危惧種と指定しています。
2013年版より約800種増加しました。
今回のIUCNレッドリストでは、2014FIFAワールドカップのマスコット、ブラジ
ルの固有種ミツオアルマジロが「絶滅危惧種」に指定されていましたが、
再評価されそのまま残りました。
2.二ホンウナギの絶滅危惧種登録
二ホンウナギは、IUCNレッドリストで絶滅危惧種として評価されましたが、
3段階ある絶滅危惧種の中で2番目に深刻度が高い「絶滅危惧種IB類」
に登録されました。
一つの生物が最近3世代で50%以上減少したと推定されるケースで、
「近い将来に野生で絶滅する危険性が高い」ことを示しています。IUCNは
原因として、乱獲のほか、コンクリート護岸やダムの建設で生息環境が失
われたことや、海流変化により稚魚の来遊が減ったこと等を挙げています。
今回の登録は漁獲禁止などの法的な強制力はありませんが、世界から
保全を求める声が高まることは必至と思われます。IUCNレッドリストは、野
生生物の国際取引を規制するワシントン条約の保護対象を決める重要な
科学的根拠となるため、2016年に開かれるワシントン条約締約国会議で、
輸出国の許可を義務付けるなどの新たな規制が検討される可能性があり
ます。
二ホンウナギに先んじてヨーロッパウナギは、最も絶滅の危険性が高い絶
滅危惧種IA類に分類され、ワシントン条約により2009年から国際商取引
の規制が始まっています。
3.二ホンウナギについて
二ホンウナギは、日本をはじめとする東アジア地域に分布するウナギで、
古くから食材として利用されてきました。太平洋のマリアナ海溝近くで産卵、
ふ化した稚魚(シラスウナギ)が黒潮に乗って東アジアの台湾、中国、韓国、
日本の沿岸に回遊し、河川や湖沼で成魚になり、産卵期には再び海に出て
産卵することが知られています。
稚魚や親ウナギの漁獲量は,黒潮の流れによって変動はあるものの長期
的には激減しています。農林水産省の統計によると、国内の稚魚(シラスウ
ナギ)の漁獲量は、50年前の最盛期には230トンを超えていましたが、年々
少なくなり2013年は5.2トンにまで減ってしまいました。一方、天然の親ウナ
ギも1970年代頃までは2,000~3,000トンでしたが、2013年は134トンに落
ち込みました。
私たちが通常食べているウナギのほとんどは、天然のシラスウナギを捕獲して、
それを養殖したものです。卵から安全に養殖する技術は確立されておらず、
現在のウナギ消費は養殖で成立しているのが現状です。
4.二ホンウナギ資源回復に向けた動き
今回の登録を受け、環境省は、「全国の河川で6月から2年間位かけて、生態
の実態、生息状況の調査を行い、その保全や再生の方策を検討し、ガイドラ
インとしてとりまとめる」ことを表明しました。また、農林水産省は「シラス
ウナギの漁獲量は低迷しており、対策が急務。完全養殖の実用化に向けた技術
開発を加速する一方、東アジア諸国と協議して、稚魚の管理に力を入れる」考え
を示しました。
日本は世界のウナギ消費量の7割を占めているといわれています。ウナギの
資源回復に日本は最も大きな責任を持っていることを自覚し、養殖技術の確立
や持続可能な資源管理の国際的な仕組みづくりに、積極的に貢献することを
期待します。
また、私たち日本人はウナギ資源が回復するスピードを超えて、ウナギを食べ
続けたことになります。私たち消費者も問われています。伝統的な日本の食文
化を次世代に残すためにも、食のあり方の見直しも求められています。
────────────────────────────
☆改訂8版「eco検定ポイント集中レッスン」発売中
────────────────────────────
2014年以降のeco検定試験に対応した弊社執筆の参考書改訂第8版
「eco検定ポイント集中レッスン」が5月10日に発売されました。
・「改訂第8版eco検定ポイント集中レッスン」
http://www.pdca.co.jp/ecoken/mondai.html
────────────────────────────
☆通信教育「eco検定通信教育」受付中
────────────────────────────
2014年以降のeco検定試験に対応する「eco検定通信教育」を受付中
です。
http://www.pdca.co.jp/ecoken/correspondence.html
────────────────────────────
☆eラーニング「eco検定bb講座」受付中
────────────────────────────
2014年以降のeco検定試験に対応する「eco検定bb講座」(日建学院共同開催)
を受付中です。
http://manabi.tv/guidance/eco/web.aspx
────────────────────────────
株式会社 パデセア 代表取締役 黒柳要次
東京都千代田区麹町2-12-1 グレンパーク半蔵門303
TEL 03-5226-6721/FAX 03-5226-6723 email:info@pdca.co.jp
http://www.pdca.co.jp
e-mail info@pdca.co.jp
────────────────────────────
購読解除はこちら
http://pdca.co.jp/magazine/
※当メールは送信専用です。お問い合わせのある場合はお手数ですが
info@pdca.co.jpまでお願い致します。