パデセアメールマガジンVol.107―生物多様性条約第12回締約国会議(COP12)―
2014/11/10 (Mon) 12:40
○○○ パデセアメールマガジンVol.107 ○○○
愛知目標達成には施策は十分ではない
―生物多様性条約第12回締約国会議(COP12)―
─────────────────────────────
本メルマガは、弊社ホームページからのお申し込みがあった方、
セミナー等に参加されメルマガを希望された方に送付しています。
メルマガの配信解除方法は巻末をご覧ください。
─────────────────────────────
生物多様性の保全と持続的な利用を目的とする生物多様性条約
第12回締約国会議(COP12)が、10月6日から17日まで韓国の平昌
(ピョンチャン)で開催されました。会期中には2010年のCOP10で
採択された名古屋議定書が発効し、初めての名古屋議定書締約国
会合(COP-MOP1)も行われました。
1.生物多様性条約第12回締約国会議(COP12)
会議初日に発表された「地球規模生物多様性概況第4版(GBO-4)」
(注1)の結果をもとに「生物多様性戦略計画2011-2020」(注2)
及び「愛知目標」(注3)の中間評価が行われました。以下は、会
議の主な内容です。
「愛知目標のいくつかの要素には進展が見られたが、それ以外の
ほとんどの目標達成には施策は十分でない。2015年が目標年となっ
ている“サンゴ礁の保全対策”については達成が困難な状況である。
目標達成に向けて緊急で効果的な行動が必要である」ことが確認さ
れました。また、各国に対してはこの結果を踏まえて、目標達成を
加速化させる優先行動事項を採択し、その実施を強く要請しました。
一方、目標達成のための資金をどう確保するかが主要な議題に取
り上げられました。生物多様性分野に回る資源(資金、人材、技術)
の拡大を目指す「資源動員目標」については、COP9以来の課題であり、
最終日まで交渉は難航しましたが、途上国向けの生物多様性関連の
資金の流れを、2015年までに世界全体で2006~2010年の年間平均額の
2倍に拡大し、2020年までその水準を維持することを決定するととも
に、各締約国は、2015年までに自国の優先課題や開発計画に生物多様
性を位置付け、国内の適切な資金供給を確保する等が決められました。
今回、新たな問題として浮上したのが「合成生物学(遺伝子工学)」
により、つくり出された種や製品等の生態系へのリスク評価です。
条約の新規事項として取り扱うためには十分な知見がないと結論づけ
る一方、専門家会合を設立し、生物多様性への影響、遺伝子組み換え
生物との関連等について検討することが決定されました。
(注1)「地球規模生物多様性概況」は、条約事務局が地球規模で生
物多様性の状況を評価した報告書。GBO-4は生物多様性戦略計
画2011-2020及び愛知目標の達成状況と今後の達成見込みにつ
いて分析した報告書
(注2)「生物多様性戦略計画2011-2020」:生物多様性条約の3つの目
的を達成するため、「愛知目標」と同時に2010年のCOP10で採択
された世界目標
(注3)「愛知目標」:戦略計画の達成に向けた具体的な20項目の行動
目標
2.名古屋議定書第1回締約国会合(COP-MOP1)
名古屋議定書が10月12日に発効しました。発効に必要な50ケ国以上
の批准が得られたためです。今回の会合では、締約国会合の手続規則、
遺伝資源へのアクセス及び利益配分(ABS)に関する情報交換センターの
運用、議定書の遵守を促進するための手続・制度、能力開発及び向上
のための戦略的枠組み、議定書の2015年~2020年運営予算等が決定
されました。
名古屋議定書は、2010年名古屋で開催されたCOP10で採択された議定
書で、生物多様性条約の3つ目の目的である「遺伝資源の利用から生じ
た利益を、原産国と利用国で公平に配分する(ABS)」ための手続きを明
確にしたものです。
名古屋議定書は、例えば製薬会社(主に先進国)が植物から医薬品を
つくって販売するような時に、利益の一部を植物の原産国(主に途上国)
に支払うことで、生物多様性の保全や持続可能な利用に貢献する仕組み
です。動植物や微生物などの遺伝資源は途上国に多くあり、利用国は
先進国がほとんどのため、資金援助の側面があります。
194の国・地域が締結した生物多様性条約と比べ、名古屋議定書の締
結国・地域は未だ50ケ国台に留まっています。原産国になることが多
いアフリカや中南米諸国で締結が進む一方、遺伝資源を使う側の先進国
は5ケ国にとどまっており、日本も未締結です。遺伝資源を利用する産
業界との調整に時間がかかっているためと新聞は報道しています。
次回の生物多様性条約第13回締約国会議及び名古屋議定書第2回締約
国会合は、2016年11月にメキシコ・ロスカボスで開催することを決定し
ました。
日常生活や企業活動において生態系から多くの恩恵を享受している
にもかかわらず、生物多様性への関心が薄いように感じられます。戦
略計画や愛知目標の進捗状況等にもっと関心を持ち、生物多様性に対す
る理解を深めていくことが必要に思われます。
────────────────────────────
☆改訂8版「eco検定ポイント集中レッスン」発売中
────────────────────────────
2014年以降のeco検定試験に対応した弊社執筆の参考書改訂第8版
「eco検定ポイント集中レッスン」が好評発売中です。
・「改訂第8版eco検定ポイント集中レッスン」
http://www.pdca.co.jp/ecoken/mondai.html
────────────────────────────
☆通信教育「eco検定通信教育」受付中
────────────────────────────
2014年以降のeco検定試験に対応する「eco検定通信教育」を受付中
です。
http://www.pdca.co.jp/ecoken/correspondence.html
────────────────────────────
☆eラーニング「eco検定試験対策web講座」受付中
────────────────────────────
12月開催eco検定試験に対応する「eco検定試験対策web講座」
受付中(日建学院共同開催 日建学院HP)
http://www.ksknet.co.jp/nikken/guidance/eco/
────────────────────────────
※2014年11月1日に移転しました事務所を移転しました。
(Tel・FAXの変更はありません。)
株式会社 パデセア 代表取締役 黒柳要次
東京都千代田区一番町23-3 日本生命一番町ビル1階
TEL 03-5226-6721/FAX 03-5226-6723
http://www.pdca.co.jp
e-mail info@pdca.co.jp
────────────────────────────
購読解除はこちら
http://pdca.co.jp/magazine/
※当メールは送信専用です。お問い合わせのある場合はお手数ですが
info@pdca.co.jpまでお願い致します。
愛知目標達成には施策は十分ではない
―生物多様性条約第12回締約国会議(COP12)―
─────────────────────────────
本メルマガは、弊社ホームページからのお申し込みがあった方、
セミナー等に参加されメルマガを希望された方に送付しています。
メルマガの配信解除方法は巻末をご覧ください。
─────────────────────────────
生物多様性の保全と持続的な利用を目的とする生物多様性条約
第12回締約国会議(COP12)が、10月6日から17日まで韓国の平昌
(ピョンチャン)で開催されました。会期中には2010年のCOP10で
採択された名古屋議定書が発効し、初めての名古屋議定書締約国
会合(COP-MOP1)も行われました。
1.生物多様性条約第12回締約国会議(COP12)
会議初日に発表された「地球規模生物多様性概況第4版(GBO-4)」
(注1)の結果をもとに「生物多様性戦略計画2011-2020」(注2)
及び「愛知目標」(注3)の中間評価が行われました。以下は、会
議の主な内容です。
「愛知目標のいくつかの要素には進展が見られたが、それ以外の
ほとんどの目標達成には施策は十分でない。2015年が目標年となっ
ている“サンゴ礁の保全対策”については達成が困難な状況である。
目標達成に向けて緊急で効果的な行動が必要である」ことが確認さ
れました。また、各国に対してはこの結果を踏まえて、目標達成を
加速化させる優先行動事項を採択し、その実施を強く要請しました。
一方、目標達成のための資金をどう確保するかが主要な議題に取
り上げられました。生物多様性分野に回る資源(資金、人材、技術)
の拡大を目指す「資源動員目標」については、COP9以来の課題であり、
最終日まで交渉は難航しましたが、途上国向けの生物多様性関連の
資金の流れを、2015年までに世界全体で2006~2010年の年間平均額の
2倍に拡大し、2020年までその水準を維持することを決定するととも
に、各締約国は、2015年までに自国の優先課題や開発計画に生物多様
性を位置付け、国内の適切な資金供給を確保する等が決められました。
今回、新たな問題として浮上したのが「合成生物学(遺伝子工学)」
により、つくり出された種や製品等の生態系へのリスク評価です。
条約の新規事項として取り扱うためには十分な知見がないと結論づけ
る一方、専門家会合を設立し、生物多様性への影響、遺伝子組み換え
生物との関連等について検討することが決定されました。
(注1)「地球規模生物多様性概況」は、条約事務局が地球規模で生
物多様性の状況を評価した報告書。GBO-4は生物多様性戦略計
画2011-2020及び愛知目標の達成状況と今後の達成見込みにつ
いて分析した報告書
(注2)「生物多様性戦略計画2011-2020」:生物多様性条約の3つの目
的を達成するため、「愛知目標」と同時に2010年のCOP10で採択
された世界目標
(注3)「愛知目標」:戦略計画の達成に向けた具体的な20項目の行動
目標
2.名古屋議定書第1回締約国会合(COP-MOP1)
名古屋議定書が10月12日に発効しました。発効に必要な50ケ国以上
の批准が得られたためです。今回の会合では、締約国会合の手続規則、
遺伝資源へのアクセス及び利益配分(ABS)に関する情報交換センターの
運用、議定書の遵守を促進するための手続・制度、能力開発及び向上
のための戦略的枠組み、議定書の2015年~2020年運営予算等が決定
されました。
名古屋議定書は、2010年名古屋で開催されたCOP10で採択された議定
書で、生物多様性条約の3つ目の目的である「遺伝資源の利用から生じ
た利益を、原産国と利用国で公平に配分する(ABS)」ための手続きを明
確にしたものです。
名古屋議定書は、例えば製薬会社(主に先進国)が植物から医薬品を
つくって販売するような時に、利益の一部を植物の原産国(主に途上国)
に支払うことで、生物多様性の保全や持続可能な利用に貢献する仕組み
です。動植物や微生物などの遺伝資源は途上国に多くあり、利用国は
先進国がほとんどのため、資金援助の側面があります。
194の国・地域が締結した生物多様性条約と比べ、名古屋議定書の締
結国・地域は未だ50ケ国台に留まっています。原産国になることが多
いアフリカや中南米諸国で締結が進む一方、遺伝資源を使う側の先進国
は5ケ国にとどまっており、日本も未締結です。遺伝資源を利用する産
業界との調整に時間がかかっているためと新聞は報道しています。
次回の生物多様性条約第13回締約国会議及び名古屋議定書第2回締約
国会合は、2016年11月にメキシコ・ロスカボスで開催することを決定し
ました。
日常生活や企業活動において生態系から多くの恩恵を享受している
にもかかわらず、生物多様性への関心が薄いように感じられます。戦
略計画や愛知目標の進捗状況等にもっと関心を持ち、生物多様性に対す
る理解を深めていくことが必要に思われます。
────────────────────────────
☆改訂8版「eco検定ポイント集中レッスン」発売中
────────────────────────────
2014年以降のeco検定試験に対応した弊社執筆の参考書改訂第8版
「eco検定ポイント集中レッスン」が好評発売中です。
・「改訂第8版eco検定ポイント集中レッスン」
http://www.pdca.co.jp/ecoken/mondai.html
────────────────────────────
☆通信教育「eco検定通信教育」受付中
────────────────────────────
2014年以降のeco検定試験に対応する「eco検定通信教育」を受付中
です。
http://www.pdca.co.jp/ecoken/correspondence.html
────────────────────────────
☆eラーニング「eco検定試験対策web講座」受付中
────────────────────────────
12月開催eco検定試験に対応する「eco検定試験対策web講座」
受付中(日建学院共同開催 日建学院HP)
http://www.ksknet.co.jp/nikken/guidance/eco/
────────────────────────────
※2014年11月1日に移転しました事務所を移転しました。
(Tel・FAXの変更はありません。)
株式会社 パデセア 代表取締役 黒柳要次
東京都千代田区一番町23-3 日本生命一番町ビル1階
TEL 03-5226-6721/FAX 03-5226-6723
http://www.pdca.co.jp
e-mail info@pdca.co.jp
────────────────────────────
購読解除はこちら
http://pdca.co.jp/magazine/
※当メールは送信専用です。お問い合わせのある場合はお手数ですが
info@pdca.co.jpまでお願い致します。