パデセアメールマガジンVol.110―国連気候変動枠組条約第20回締約国会議(COP20)―
2015/01/07 (Wed) 13:00
○○○ パデセアメールマガジンVol.110○○○
温室効果ガス削減全参加国で、共通ルール合意
―国連気候変動枠組条約第20回締約国会議(COP20)―
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地球温暖化対策を話し合う国連気候変動枠組条約第20回締約国
会議(COP20)が、ペルーの首都リマで2014年12月1日から開催さ
れました。全ての国が2020年度以降の温室効果ガス削減目標を自
主的に掲げる共通ルールを盛り込んだ合意文書が採択されました。
各論を巡りこれまでと同様、先進国と新興・途上国の対立があり、
当初は12日までの予定が14日未明まで延長されました。
1.経緯
温室効果ガスの削減の国際的枠組みである京都議定書は2020年
に終了します。
それ以降の排出削減の新しい枠組みに関し、この数年の国際交渉
で、先進国のみが温室効果ガス削減の義務を負う京都議定書に代
わり、途上国を含むすべての国が参加する新しい枠組みを2015年
末にパリで開催されるCOP21での合意を目指すことにしています。
今回のCOP20では、各国が提出することになっている目標に、何を
盛り込むかが最大の焦点でした。
2.COP20での議論
主な合意事項は、以下のとおりです。
・2015年パリで目指す合意では、それぞれの国情にあわせ「共通
だが差異ある責任」の考え方を反映させる。
・2020年以降の温暖化対策の目標を、早めに準備できる国は2015
年3月までに国連に提出する。
・目標には温室効果ガス削減だけでなく、温暖化による被害を抑
える「適応策」を盛り込むことを検討する。
・目標には、対策の基準とする年や期間などのほか、算出の根拠
などを盛り込んでもよい。
・全ての国に対して、目標には現在の取組みを超える内容を示す
ことを求める。
・途上国の温室効果ガス削減策や被害の軽減策のため、先進国に
一層の資金援助を促す。
・条約事務局は、各国の目標を2015年11月までに報告書にまとめる。
主な合意のポイントは上記のとおりですが、課題が残っています。
各国の目標をお互いに検証する仕組みは見送られました。自主目標
では温暖化防止に不十分だとして、その妥当性を多国間で事前検証
する仕組みが検討されていましたが、中国や一部途上国の強い反対
があり合意文書から削除されました。事前検証が見送られたことで、
温暖化の被害の深刻化を回避するための目安とされている「平均気
温の上昇を産業革命前に比べ2℃未満に抑える」という世界共通の
目標が達成できるかどうかが懸念されています。
2020年以降の温室効果ガス削減目標については、EUが10月に「20
30年までに1990年比40%削減」を発表、続いて2大排出国である米
中が11月の首脳会談で、それぞれの新目標を共同発表しました。米
は「2025年までに2005年比26~28%減」、中国は「2030年頃までに
排出量を減少に転じさせる」という内容です。
日本は原発事故の影響で、削減の目標づくり作業が遅れています。
「2050年までに世界全体で50%減、先進国全開で80%減という目標
を改めて掲げ、貢献する。2020年以降の削減目標については、でき
るだけ早期に提出することを目指す」と日本の望月環境大臣が演説
しましたが、新聞報道によると、国連の潘基文事務総長が「2015年
3月までに目標を出すよう頑張ってほしい」と注文を付ける場面も
あったようです。
一方、途上国の温暖化対策を支援する「緑の気候基金」への各国の
拠出予定額が目標の100億ドルを超えました。日本は15億ドルを拠出
する方針を表明しています。
日本は原発事故を言い訳に目標提出を遅らせることはできない状況
にあるように思われます。昨年4月に決定した第4次エネルギー基本
計画は、原発再稼働の方針を表しましたが、将来の電源構成は明記
していません。長期的なエネルギー需給の見通しを立て、実現可能な
電源構成を出来る限り早く決定し、削減目標を掲げる努力を急ぐこと
が望まれます。
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株式会社 パデセア 代表取締役 黒柳要次
東京都千代田区一番町23-3 日本生命一番町ビル1階
TEL 03-5226-6721/FAX 03-5226-6723 email:info@pdca.co.jp
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れました。全ての国が2020年度以降の温室効果ガス削減目標を自
主的に掲げる共通ルールを盛り込んだ合意文書が採択されました。
各論を巡りこれまでと同様、先進国と新興・途上国の対立があり、
当初は12日までの予定が14日未明まで延長されました。
1.経緯
温室効果ガスの削減の国際的枠組みである京都議定書は2020年
に終了します。
それ以降の排出削減の新しい枠組みに関し、この数年の国際交渉
で、先進国のみが温室効果ガス削減の義務を負う京都議定書に代
わり、途上国を含むすべての国が参加する新しい枠組みを2015年
末にパリで開催されるCOP21での合意を目指すことにしています。
今回のCOP20では、各国が提出することになっている目標に、何を
盛り込むかが最大の焦点でした。
2.COP20での議論
主な合意事項は、以下のとおりです。
・2015年パリで目指す合意では、それぞれの国情にあわせ「共通
だが差異ある責任」の考え方を反映させる。
・2020年以降の温暖化対策の目標を、早めに準備できる国は2015
年3月までに国連に提出する。
・目標には温室効果ガス削減だけでなく、温暖化による被害を抑
える「適応策」を盛り込むことを検討する。
・目標には、対策の基準とする年や期間などのほか、算出の根拠
などを盛り込んでもよい。
・全ての国に対して、目標には現在の取組みを超える内容を示す
ことを求める。
・途上国の温室効果ガス削減策や被害の軽減策のため、先進国に
一層の資金援助を促す。
・条約事務局は、各国の目標を2015年11月までに報告書にまとめる。
主な合意のポイントは上記のとおりですが、課題が残っています。
各国の目標をお互いに検証する仕組みは見送られました。自主目標
では温暖化防止に不十分だとして、その妥当性を多国間で事前検証
する仕組みが検討されていましたが、中国や一部途上国の強い反対
があり合意文書から削除されました。事前検証が見送られたことで、
温暖化の被害の深刻化を回避するための目安とされている「平均気
温の上昇を産業革命前に比べ2℃未満に抑える」という世界共通の
目標が達成できるかどうかが懸念されています。
2020年以降の温室効果ガス削減目標については、EUが10月に「20
30年までに1990年比40%削減」を発表、続いて2大排出国である米
中が11月の首脳会談で、それぞれの新目標を共同発表しました。米
は「2025年までに2005年比26~28%減」、中国は「2030年頃までに
排出量を減少に転じさせる」という内容です。
日本は原発事故の影響で、削減の目標づくり作業が遅れています。
「2050年までに世界全体で50%減、先進国全開で80%減という目標
を改めて掲げ、貢献する。2020年以降の削減目標については、でき
るだけ早期に提出することを目指す」と日本の望月環境大臣が演説
しましたが、新聞報道によると、国連の潘基文事務総長が「2015年
3月までに目標を出すよう頑張ってほしい」と注文を付ける場面も
あったようです。
一方、途上国の温暖化対策を支援する「緑の気候基金」への各国の
拠出予定額が目標の100億ドルを超えました。日本は15億ドルを拠出
する方針を表明しています。
日本は原発事故を言い訳に目標提出を遅らせることはできない状況
にあるように思われます。昨年4月に決定した第4次エネルギー基本
計画は、原発再稼働の方針を表しましたが、将来の電源構成は明記
していません。長期的なエネルギー需給の見通しを立て、実現可能な
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