パデセアメールマガジンVol.112―燃料電池自動車 一般向け市販始まる―
2015/03/05 (Thu) 12:30
○○○ パデセアメールマガジンVol.112○○○
“水素社会”の実現に向けた第1段階
―燃料電池自動車 一般向け市販始まる―
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前回に引き続いて「フロン排出抑制法」を予定していましたが、
一部の政省令が公布されていませんので、今回は水素社会実現に
向けた取組みを紹介します。
トヨタが燃料電池車(FCV)「MIRAI」を昨年12月に一般向け販売
を開始しました。ホンダは昨年11月にコンセプトカーを披露し2015
年中の発売、ニッサンも2017年中の発売を目指しています。
昨年策定されたエネルギー基本計画では、「自動車用燃料電池車
の導入加速に向けた環境の整備」等を盛り込んだ「“水素社会”の
実現に向けた取組みの加速」を掲げており、水素の製造から貯蔵・
輸送、利用に関わる様々な要素を包含している全体を俯瞰したロード
マップが不可欠であるとして、昨年6月「水素・燃料電池戦略ロード
マップ」がとりまとめられました。
1.燃料電池
水を電気分解すると酸素と水素が得られますが、燃料電池はその
反対のプロセスを利用しています。水素と酸素を直接燃焼反応させ
るのではなく、陰極と陽極で水素と空気中の酸素を電気化学反応さ
せて発電する装置です。電気化学反応によって燃料が持つ化学エネ
ルギーを直接電気エネルギーに変換するので損失が少なく、エネル
ギー効率が高いこと、利用段階ではCO2を排出しないこと、更に電気
と熱の両方を有効利用することで総合エネルギー効率を高めること
が可能で大幅な省エネルギーの実現が期待されています。
水素を利活用する技術が広く社会に受け入れられるか否かは、燃料
電池の耐久性・信頼性等の技術面の課題、コスト面の課題、水素供給
体制等のインフラ面(生産・水素ステーションの整備等)の課題が
あり、これらの課題を一体的に解決できるかどうかがカギとなると
ロードマップは指摘しています。
(1)燃料電池自動車
燃料電池自動車は、燃料電池で発電した電気エネルギーを使って、
モーターを回して走る自動車です。ガソリン自動車がガソリンスタンド
で燃料を補給するように、燃料電池自動車は水素ステーションで燃料
となる水素を補給します。走行時に発生するのは水のみで、
大気汚染の原因となるCO2,窒素酸化物(NOX)、炭化水素(HC)、浮遊粒
子状物質(SPM)等の大気汚染物質は全く排出されないので「究極の
エコカー」とも呼ばれています。
トヨタの発表によると、一回当たり水素充填時間は3分程度、1充填
走行距離は約650kmとガソリン自動車並みの性能を持っています。
ロードマップによると、燃料電池自動車が600万台(自家用普通乗用
車の約1割)普及すると、輸送部門のうちの旅客部門におけるCO2排出
量を約9%程度削減する効果を見込んでいます。
燃料電池車が個々のユーザーに広く受け入れられるかどうかの観点
では、特に車両価格、水素ステーションの整備が考えられます。
トヨタの発表では「MIRAI」の小売価格は723万6000円、ロードマップ
では2025年頃に同車格のハイブリッド車同等の価格競争力のある車両
価格の実現を目指す、また水素ステーションは2015年度内に四大都市圏
に100個所程度確保するとしています。(2014年2月現在、全国で17箇所)
(2)定置用燃料電池
都市ガスパイプライン又はLPガス容器より供給される都市ガス又は
LPガスを機器内で改質した水素と空気中の酸素を電気化学的反応させ
て電気と熱を発生させるコージェネレーション・システムで、日本で
最も社会的に受け入れられている水素利活用技術です。
定置用燃料電池には「家庭用」と「業務・産業用」があり、日本では
2009年に世界に先駆けて家庭用燃料電池がエネファームの名称で一般
販売され、2016年4月末時点で約7.6万台が普及しています。
ロードマップでは、2030年に530万台(全世帯の約1割)普及を目標
としており、増加を続ける家庭部門におけるエネルギー消費量を約3%
削減、CO2排出量を約4%削減する効果を見込んでいます。また、定置用
燃料電池の普及が進んでいない業務・産業用についても技術開発や実証
を進め、2017年中の市場投入を目指すことにしています。
2.水素の安定的供給に向けた製造技術の開発
水素の供給については、当面、製鉄所、化学工場などからの副生水
素の活用、天然ガスやナフサ等の化石燃料の改質によって対応される
ことになりますが、将来的には太陽光、風力等の再生可能エネルギー
で発電した電気を用いて水の電気分解、下水汚泥から発生したメタン
ガス、の改質、太陽光を用いて水から水素を製造する光触媒技術・人工
光合成等短期的・中長期的に技術開発を検討し進める必要があります。
このほかロードマップでは、「水素発電の本格導入」、「大規模な
水素供給システム・トータルでCO2フリーシステムの導入」が掲げられ
ていいますが、今回は割愛します。家庭用燃料電池に加えて燃料電池
自動車も一般市販された現在は、水素社会に向けた第1段階の入り口
にあるといえます。燃料電池普及拡大にはまだ多くの課題があります
が、これらの課題を克服し水素の利用が拡大され、大幅な省エネルギー、
環境負荷低減に貢献できる社会の実現が期待されます。
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株式会社 パデセア 代表取締役 黒柳要次
東京都千代田区一番町23-2 日本生命一番町ビル1階
TEL 03-5226-6721/FAX 03-5226-6723 email:info@pdca.co.jp
http://www.pdca.co.jp
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一部の政省令が公布されていませんので、今回は水素社会実現に
向けた取組みを紹介します。
トヨタが燃料電池車(FCV)「MIRAI」を昨年12月に一般向け販売
を開始しました。ホンダは昨年11月にコンセプトカーを披露し2015
年中の発売、ニッサンも2017年中の発売を目指しています。
昨年策定されたエネルギー基本計画では、「自動車用燃料電池車
の導入加速に向けた環境の整備」等を盛り込んだ「“水素社会”の
実現に向けた取組みの加速」を掲げており、水素の製造から貯蔵・
輸送、利用に関わる様々な要素を包含している全体を俯瞰したロード
マップが不可欠であるとして、昨年6月「水素・燃料電池戦略ロード
マップ」がとりまとめられました。
1.燃料電池
水を電気分解すると酸素と水素が得られますが、燃料電池はその
反対のプロセスを利用しています。水素と酸素を直接燃焼反応させ
るのではなく、陰極と陽極で水素と空気中の酸素を電気化学反応さ
せて発電する装置です。電気化学反応によって燃料が持つ化学エネ
ルギーを直接電気エネルギーに変換するので損失が少なく、エネル
ギー効率が高いこと、利用段階ではCO2を排出しないこと、更に電気
と熱の両方を有効利用することで総合エネルギー効率を高めること
が可能で大幅な省エネルギーの実現が期待されています。
水素を利活用する技術が広く社会に受け入れられるか否かは、燃料
電池の耐久性・信頼性等の技術面の課題、コスト面の課題、水素供給
体制等のインフラ面(生産・水素ステーションの整備等)の課題が
あり、これらの課題を一体的に解決できるかどうかがカギとなると
ロードマップは指摘しています。
(1)燃料電池自動車
燃料電池自動車は、燃料電池で発電した電気エネルギーを使って、
モーターを回して走る自動車です。ガソリン自動車がガソリンスタンド
で燃料を補給するように、燃料電池自動車は水素ステーションで燃料
となる水素を補給します。走行時に発生するのは水のみで、
大気汚染の原因となるCO2,窒素酸化物(NOX)、炭化水素(HC)、浮遊粒
子状物質(SPM)等の大気汚染物質は全く排出されないので「究極の
エコカー」とも呼ばれています。
トヨタの発表によると、一回当たり水素充填時間は3分程度、1充填
走行距離は約650kmとガソリン自動車並みの性能を持っています。
ロードマップによると、燃料電池自動車が600万台(自家用普通乗用
車の約1割)普及すると、輸送部門のうちの旅客部門におけるCO2排出
量を約9%程度削減する効果を見込んでいます。
燃料電池車が個々のユーザーに広く受け入れられるかどうかの観点
では、特に車両価格、水素ステーションの整備が考えられます。
トヨタの発表では「MIRAI」の小売価格は723万6000円、ロードマップ
では2025年頃に同車格のハイブリッド車同等の価格競争力のある車両
価格の実現を目指す、また水素ステーションは2015年度内に四大都市圏
に100個所程度確保するとしています。(2014年2月現在、全国で17箇所)
(2)定置用燃料電池
都市ガスパイプライン又はLPガス容器より供給される都市ガス又は
LPガスを機器内で改質した水素と空気中の酸素を電気化学的反応させ
て電気と熱を発生させるコージェネレーション・システムで、日本で
最も社会的に受け入れられている水素利活用技術です。
定置用燃料電池には「家庭用」と「業務・産業用」があり、日本では
2009年に世界に先駆けて家庭用燃料電池がエネファームの名称で一般
販売され、2016年4月末時点で約7.6万台が普及しています。
ロードマップでは、2030年に530万台(全世帯の約1割)普及を目標
としており、増加を続ける家庭部門におけるエネルギー消費量を約3%
削減、CO2排出量を約4%削減する効果を見込んでいます。また、定置用
燃料電池の普及が進んでいない業務・産業用についても技術開発や実証
を進め、2017年中の市場投入を目指すことにしています。
2.水素の安定的供給に向けた製造技術の開発
水素の供給については、当面、製鉄所、化学工場などからの副生水
素の活用、天然ガスやナフサ等の化石燃料の改質によって対応される
ことになりますが、将来的には太陽光、風力等の再生可能エネルギー
で発電した電気を用いて水の電気分解、下水汚泥から発生したメタン
ガス、の改質、太陽光を用いて水から水素を製造する光触媒技術・人工
光合成等短期的・中長期的に技術開発を検討し進める必要があります。
このほかロードマップでは、「水素発電の本格導入」、「大規模な
水素供給システム・トータルでCO2フリーシステムの導入」が掲げられ
ていいますが、今回は割愛します。家庭用燃料電池に加えて燃料電池
自動車も一般市販された現在は、水素社会に向けた第1段階の入り口
にあるといえます。燃料電池普及拡大にはまだ多くの課題があります
が、これらの課題を克服し水素の利用が拡大され、大幅な省エネルギー、
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