パデセアメールマガジンVol.114―新たな「食料・農業・農村基本計画」―
2015/05/11 (Mon) 12:00
○○○パデセアメールマガジンVol.114○○○
食料自給率目標を45%に引き下げ、新指標「食料自給力」を示す
―新たな「食料・農業・農村基本計画」―
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新たな「食料・農業・農村基本計画」が3月31日に閣議決定され
ました。
「食料・農業・農村基本計画」は、食料・農業・農村基本法に基づき、
今後10年程度先を見通して施策の方向性を示す農政の中長期ビジョン
です。平成12年3月の第1回基本計画以降、おおむね5年毎に見直され
今回は4回目の基本計画となります。
今回の基本計画では、食料自給率(カロリーベース)の目標は実現
可能性を考慮して50%から45%へ引き下げ、日本の食料の潜在生産
能力を評価する指標として「食料自給力指標」を初めて公表しました。
1.食料自給率の目標
(1)前基本計画における食料自給率目標の検証
前基本計画(平成22年)においては、計画期間の最終年度となる
平成32年度の食料自給率の目標について、「我が国の持てる資源
をすべて投入した時にはじめて可能となる高い目標」として、
カロリーベースで50%、生産額ベースで70%と設定しました。
前基本計画策定以降、カロリーベースの自給率は約40%前後で
推移、平成25年度は39%となり目標から乖離している状況と
なっています。これは、消費面では米等の消費量が予測を下回る
一方で、生産面では小麦等の生産量が目標数量を大きく下回った
ことが要因となっています。
生産額ベースの自給率は、長期的に低下傾向で昭和40年~60年
代は80%を上回っていましたが、平成に入り80%台を切り平成
25年度は65%となっています。
(2)新たな食料自給率目標
前基本計画の検証結果を踏まえ、新たな目標は「計画期間内の
実現可能性を重視」し、平成25年度を基準年度とし目標年度平成
37年度の目標を、カロリーベースで39%を45%、生産額ベース
で65%を73%に引き上げる目標が設定されました。
平成37年度における食料自給率目標を達成するためには、
・食料消費面においては、消費者、食品産業事業者その他関係者
が、より積極的に国産農産物の消費拡大に取り組む
・農業生産面においては、マーケットインの発想による多様かつ
高度な消費者ニーズに対応した生産を拡大することが重要で
あると、基本計画は指摘しています。
(注)マーケットイン:市場や購買者という買い手の立場に立って、
買い手が必要とするもの供給していこうとすること。
2.新たな指標「食料自給力(食料の潜在生産能力)」
国際的な食料需給に不安定要素が存在するなか、内閣府の世論調
査では83%の人が将来の食料供給に対し「不安がある」と答えており、
「不安がある」と答えた人のうち82%が、国内生産による食料供給
能力が低下するおそれがあると回答しています。
食料自給力指標とは、「国内生産のみでどれだけの食料を最大限
生産することが可能か」(食料の潜在生産能力)を試算した指標です。
戦争などで輸入が止まった場合に、国内で国民にどれだけのカロリー
を提供できるかを示しています。
食料の潜在生産能力を表そうとしたときに、食料自給率は、花など
非食用作物を栽培している農地や荒廃農地が持っている食料の潜在生
産能力が反映されないことから、食料の潜在生産能力を示す指標とし
ては一定の限界があります。
食料自給力指標は、体重を保つために「一人の人が1日当たり必要な
カロリー」を2,147kcalとして、どのような作付でどの程度のカロリー
を供給できるかを4パターンに分けた上で、1人・1日当たり供給可能
カロリーにより示されています。
それによると、再生利用可能な荒廃農地においても作付けすること
を前提に、今の食生活に近い「米・小麦・大豆中心」の2パターンでは
最大1,855kcal/人・日しか供給できず必要なカロリーは賄えない、
一方、カロリーが高い「サツマイモやジャガイモ等のいも類」中心の
2パターンでは、最低でも2,462kcal/人・日を確保できるとしていま
す。
基本計画は、「食料自給率が40%前後で推移している中、国内の食料
自給力も徐々に低下していること」、「現在の食生活を前提とした
作付体系からカロリーを重視した作付体系とすることにより、現状より
高い食料供給量を得ることが可能であること」を明らかにして、国民の
共通理解の醸成を図り、食料安全保障に関する国民的議論を深化させ
ていくことが必要と呼びかけています。
私たちはこれまでの食料自給率に加え、国内の潜在食料生産能力を
示す食料自給力を理解し、国民として日々の食料消費の構成割合に
配慮していく必要がありそうです。
────────────────────────────
株式会社 パデセア 代表取締役 黒柳要次
東京都千代田区一番町23-2 日本生命一番町ビル1階
TEL 03-5226-6721/FAX 03-5226-6723 email:info@pdca.co.jp
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ました。
「食料・農業・農村基本計画」は、食料・農業・農村基本法に基づき、
今後10年程度先を見通して施策の方向性を示す農政の中長期ビジョン
です。平成12年3月の第1回基本計画以降、おおむね5年毎に見直され
今回は4回目の基本計画となります。
今回の基本計画では、食料自給率(カロリーベース)の目標は実現
可能性を考慮して50%から45%へ引き下げ、日本の食料の潜在生産
能力を評価する指標として「食料自給力指標」を初めて公表しました。
1.食料自給率の目標
(1)前基本計画における食料自給率目標の検証
前基本計画(平成22年)においては、計画期間の最終年度となる
平成32年度の食料自給率の目標について、「我が国の持てる資源
をすべて投入した時にはじめて可能となる高い目標」として、
カロリーベースで50%、生産額ベースで70%と設定しました。
前基本計画策定以降、カロリーベースの自給率は約40%前後で
推移、平成25年度は39%となり目標から乖離している状況と
なっています。これは、消費面では米等の消費量が予測を下回る
一方で、生産面では小麦等の生産量が目標数量を大きく下回った
ことが要因となっています。
生産額ベースの自給率は、長期的に低下傾向で昭和40年~60年
代は80%を上回っていましたが、平成に入り80%台を切り平成
25年度は65%となっています。
(2)新たな食料自給率目標
前基本計画の検証結果を踏まえ、新たな目標は「計画期間内の
実現可能性を重視」し、平成25年度を基準年度とし目標年度平成
37年度の目標を、カロリーベースで39%を45%、生産額ベース
で65%を73%に引き上げる目標が設定されました。
平成37年度における食料自給率目標を達成するためには、
・食料消費面においては、消費者、食品産業事業者その他関係者
が、より積極的に国産農産物の消費拡大に取り組む
・農業生産面においては、マーケットインの発想による多様かつ
高度な消費者ニーズに対応した生産を拡大することが重要で
あると、基本計画は指摘しています。
(注)マーケットイン:市場や購買者という買い手の立場に立って、
買い手が必要とするもの供給していこうとすること。
2.新たな指標「食料自給力(食料の潜在生産能力)」
国際的な食料需給に不安定要素が存在するなか、内閣府の世論調
査では83%の人が将来の食料供給に対し「不安がある」と答えており、
「不安がある」と答えた人のうち82%が、国内生産による食料供給
能力が低下するおそれがあると回答しています。
食料自給力指標とは、「国内生産のみでどれだけの食料を最大限
生産することが可能か」(食料の潜在生産能力)を試算した指標です。
戦争などで輸入が止まった場合に、国内で国民にどれだけのカロリー
を提供できるかを示しています。
食料の潜在生産能力を表そうとしたときに、食料自給率は、花など
非食用作物を栽培している農地や荒廃農地が持っている食料の潜在生
産能力が反映されないことから、食料の潜在生産能力を示す指標とし
ては一定の限界があります。
食料自給力指標は、体重を保つために「一人の人が1日当たり必要な
カロリー」を2,147kcalとして、どのような作付でどの程度のカロリー
を供給できるかを4パターンに分けた上で、1人・1日当たり供給可能
カロリーにより示されています。
それによると、再生利用可能な荒廃農地においても作付けすること
を前提に、今の食生活に近い「米・小麦・大豆中心」の2パターンでは
最大1,855kcal/人・日しか供給できず必要なカロリーは賄えない、
一方、カロリーが高い「サツマイモやジャガイモ等のいも類」中心の
2パターンでは、最低でも2,462kcal/人・日を確保できるとしていま
す。
基本計画は、「食料自給率が40%前後で推移している中、国内の食料
自給力も徐々に低下していること」、「現在の食生活を前提とした
作付体系からカロリーを重視した作付体系とすることにより、現状より
高い食料供給量を得ることが可能であること」を明らかにして、国民の
共通理解の醸成を図り、食料安全保障に関する国民的議論を深化させ
ていくことが必要と呼びかけています。
私たちはこれまでの食料自給率に加え、国内の潜在食料生産能力を
示す食料自給力を理解し、国民として日々の食料消費の構成割合に
配慮していく必要がありそうです。
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