○○○パデセアメールマガジンVol.115○○○
2015/06/02 (Tue) 12:00
○○○パデセアメールマガジンVol.115○○○
2030年の温室効果ガス削減目標「2013年度比26%削減」
―日本政府の2030年目標原案公表―
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世界の地球温暖化対策が今年、新たな局面を迎えます。
京都議定書に代わり、すべての国が参加する新しい国際枠組みを
つくるため、11月末からパリで開かれる国連気候変動枠組条約
第21回締約国会議(COP21)での合意を目指しています。
新しい枠組みでは、各国が温室効果ガス削減の自主目標案を国連
に登録することになっています。
この国際動向の中で、日本政府は4月30日の専門家会合で、
2030年までの温室効果ガス削減目標について、「2013年度比
26%削減」とする政府原案を公表しました。6月上旬にドイツで
開かれる先進7か国(G7)首脳会議で安倍首相が正式に表明、
11月末からのCOP21に向け目標原案を国連に提出することに
しています。
1.日本の温室効果ガス削減目標の経緯
日本は京都議定書で、「2008~2012年に90年比で6%削減」
を義務付けられました。2009年には民主党の鳩山首相(当時)が
国連の気候変動サミットにおいて「2020年に90年比で25%削減」
すると表明。これは「2020年までに原発9基、2030年までに14基
以上新増設」が前提でした。その後、2011年の福島原発事故による
原発停止を受け、2013年には「2020年までに05年比3.8%削減」
する目標に引き下げました。
昨年の気候変動枠組条約第20回締約国会議(COP20)では、
本年11月末からのCOP21に向け、準備のできる国は今年3月末まで
に各国の削減目標草案を国連へ提出することになっていました。
日本は原発事故後の電源構成(エネルギーミックス)の検討に時間が
かかり、主要7か国(G7)の中では日本だけが国連への提出が遅れて
いましたが、ようやく目標原案(2030年度温室効果ガス「2013年度比
26%削減」)が纏まったところです。
2.日本の目標原案
日本は、国際交渉の場では、2030年度の温室効果ガスの削減
目標を、基準年を福島原発事故が起きたあとの2013年度をとり
「2013年度に比べ26%減」を中心に説明を行うが、現行目標の
2005年度を基準年とした「2005年に比べ25.4%」も併記する
ことにしています。
日本の目標原案の26%削減の内訳は、徹底した省エネルギーの
推進と電源構成(エネルギーミックス)の見直しによるエネルギー起源
CO2排出量削減で21.9%を確保し、森林整備によるCO2吸収分2.6%、
空調や冷蔵庫などで用いる温室効果が高い代替フロンの排出抑制で
1.5%を見込んでいます。
省エネルギーを部門別にみると、2013年度比で業務・オフィス
約40%、家庭約40%、運輸約30%の削減を見込んでいます。
エネルギー起源CO2国内排出量の3割強を占める産業部門については、
産業界の自主行動計画の推進による6.5%の削減となっています。
2030年時点での電源構成(エネルギーミックス)は、徹底した
省エネルギーの推進、再生可能エネルギーの最大限の導入、火力発電
の効率化を進めつつ、原発依存度を可能な限り低減させる方針の基に、
原発「20~22%」、再生可能エネルギー「22~24%」、火力56%程度
としています。原発の割合は、東日本大震災時(2010年度)の29%より
は低くなっています。発電コストが安く、温室効果ガスの削減にも
つながるので、少なくとも2割程度は必要というのが経済産業省の
考え方です。
原発比率「20~22%」については、福島原発の事故後、原子炉等
規制法が見直され、原発は40年を寿命とする原則が決まりました。
国内の原発は40年規制を自動的に当てはめるだけで、2030年時点での
原発比率は15%程度に低下します。「20~22%」は事実上、40年超の
原発も運転し続けることを前提にした数字です。法律には原子力規制
委員会の特別な審査に合格すれば1回だけ最長20年の延長を認める規定が
ありますが、原発の延命や新増設が不可欠で非現実的であるとの批判の
声も聞こえます。
3.主要国の削減目標原案
今年4月28日時点で、目標原案を国連に提出しているのは、7か国1地域
(EU28ヶ国)です。主要国の目標原案を見ると、アメリカ:2025年に26~
28%減(2005年比)、EU(28ヶ国):2030年に少なくとも40%減(1990年比)、
ロシア:2030年に25~30%減(1990年比)、ノルウェー:2030年に少なくとも
40%減(1990年比)等となっています。
今回の日本の目標原案2030年度「2013年度比26%削減」は、国際的に
遜色ない水準かどうか。京都議定書の基準年である1990年度と比べると
18%削減にとどまります。また、日本の基準年2013年度に換算すると、
アメリカ:18~21%減(2025年)、EU:24%減(2030年)となります。
これらより高くは見えますが、原発事故後の排出量の多い2013年を基準年
とすることに、国際社会の理解が得られるかが焦点となります。
温室効果ガス削減の目標値は今後の日本のあり方を左右する大きな
課題です。新たな目標については、基準年や数値は各国が自主的に
決めることになっています。日本の基準年や目標数値原案が国際社会の
理解を得られるかどうか、今後の国際交渉を注視したいと思います。
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☆改訂9版「eco検定ポイント集中レッスン」発売
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2015年以降のeco検定試験に対応した弊社執筆の参考書改訂第9版
「eco検定ポイント集中レッスン」が5月22日に発売されました。
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東京都千代田区一番町23-2 日本生命一番町ビル1階
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第21回締約国会議(COP21)での合意を目指しています。
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この国際動向の中で、日本政府は4月30日の専門家会合で、
2030年までの温室効果ガス削減目標について、「2013年度比
26%削減」とする政府原案を公表しました。6月上旬にドイツで
開かれる先進7か国(G7)首脳会議で安倍首相が正式に表明、
11月末からのCOP21に向け目標原案を国連に提出することに
しています。
1.日本の温室効果ガス削減目標の経緯
日本は京都議定書で、「2008~2012年に90年比で6%削減」
を義務付けられました。2009年には民主党の鳩山首相(当時)が
国連の気候変動サミットにおいて「2020年に90年比で25%削減」
すると表明。これは「2020年までに原発9基、2030年までに14基
以上新増設」が前提でした。その後、2011年の福島原発事故による
原発停止を受け、2013年には「2020年までに05年比3.8%削減」
する目標に引き下げました。
昨年の気候変動枠組条約第20回締約国会議(COP20)では、
本年11月末からのCOP21に向け、準備のできる国は今年3月末まで
に各国の削減目標草案を国連へ提出することになっていました。
日本は原発事故後の電源構成(エネルギーミックス)の検討に時間が
かかり、主要7か国(G7)の中では日本だけが国連への提出が遅れて
いましたが、ようやく目標原案(2030年度温室効果ガス「2013年度比
26%削減」)が纏まったところです。
2.日本の目標原案
日本は、国際交渉の場では、2030年度の温室効果ガスの削減
目標を、基準年を福島原発事故が起きたあとの2013年度をとり
「2013年度に比べ26%減」を中心に説明を行うが、現行目標の
2005年度を基準年とした「2005年に比べ25.4%」も併記する
ことにしています。
日本の目標原案の26%削減の内訳は、徹底した省エネルギーの
推進と電源構成(エネルギーミックス)の見直しによるエネルギー起源
CO2排出量削減で21.9%を確保し、森林整備によるCO2吸収分2.6%、
空調や冷蔵庫などで用いる温室効果が高い代替フロンの排出抑制で
1.5%を見込んでいます。
省エネルギーを部門別にみると、2013年度比で業務・オフィス
約40%、家庭約40%、運輸約30%の削減を見込んでいます。
エネルギー起源CO2国内排出量の3割強を占める産業部門については、
産業界の自主行動計画の推進による6.5%の削減となっています。
2030年時点での電源構成(エネルギーミックス)は、徹底した
省エネルギーの推進、再生可能エネルギーの最大限の導入、火力発電
の効率化を進めつつ、原発依存度を可能な限り低減させる方針の基に、
原発「20~22%」、再生可能エネルギー「22~24%」、火力56%程度
としています。原発の割合は、東日本大震災時(2010年度)の29%より
は低くなっています。発電コストが安く、温室効果ガスの削減にも
つながるので、少なくとも2割程度は必要というのが経済産業省の
考え方です。
原発比率「20~22%」については、福島原発の事故後、原子炉等
規制法が見直され、原発は40年を寿命とする原則が決まりました。
国内の原発は40年規制を自動的に当てはめるだけで、2030年時点での
原発比率は15%程度に低下します。「20~22%」は事実上、40年超の
原発も運転し続けることを前提にした数字です。法律には原子力規制
委員会の特別な審査に合格すれば1回だけ最長20年の延長を認める規定が
ありますが、原発の延命や新増設が不可欠で非現実的であるとの批判の
声も聞こえます。
3.主要国の削減目標原案
今年4月28日時点で、目標原案を国連に提出しているのは、7か国1地域
(EU28ヶ国)です。主要国の目標原案を見ると、アメリカ:2025年に26~
28%減(2005年比)、EU(28ヶ国):2030年に少なくとも40%減(1990年比)、
ロシア:2030年に25~30%減(1990年比)、ノルウェー:2030年に少なくとも
40%減(1990年比)等となっています。
今回の日本の目標原案2030年度「2013年度比26%削減」は、国際的に
遜色ない水準かどうか。京都議定書の基準年である1990年度と比べると
18%削減にとどまります。また、日本の基準年2013年度に換算すると、
アメリカ:18~21%減(2025年)、EU:24%減(2030年)となります。
これらより高くは見えますが、原発事故後の排出量の多い2013年を基準年
とすることに、国際社会の理解が得られるかが焦点となります。
温室効果ガス削減の目標値は今後の日本のあり方を左右する大きな
課題です。新たな目標については、基準年や数値は各国が自主的に
決めることになっています。日本の基準年や目標数値原案が国際社会の
理解を得られるかどうか、今後の国際交渉を注視したいと思います。
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2015年以降のeco検定試験に対応した弊社執筆の参考書改訂第9版
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本講座は「日建学院」との共同開催です。
http://www.pdca.co.jp/ecoken/e-learning.html
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