○○○パデセアメールマガジンVol.117○○○ ―明治日本の産業革命遺産―
2015/08/04 (Tue) 12:00
○○○パデセアメールマガジンVol.117○○○
「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」
―世界文化遺産に登録、国内の文化遺産登録15件目―
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8県に広がり、現役で使われている施設も含む23資産で構成する
「明治日本の産業革命遺産」が、ユネスコの世界文化遺産に登録され
ました。
日本国内の世界文化遺産は15件目、自然遺産を含む世界遺産として
は19件目となりました。国内では2013年に「富士山」、2014年
には「富岡製糸場と絹産業遺産群」の世界文化遺産登録に続き、3年
連続の登録となりました。
1.世界遺産
「顕著な普遍的価値」を有している文化遺産や自然遺産を人類全体
のための遺産として保護するため国際的な協力・援助体制をつくる
ことを目的に、1972年のユネスコ総会で世界遺産条約が採択され
ました。世界遺産には、建造物や遺跡などの「文化遺産」、自然地域
などの「自然遺産」、両方の要素を兼ね備えた「複合遺産」の3種類が
あります。
2015年7月現在では1,031件の世界遺産が登録されており、このうち
日本の世界遺産は19件(文化遺産15件、自然遺産4件)です。
2.世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、
石炭産業」
(1)「顕著な普遍的な価値」について
幕末から明治にかけての変革期、日本国内では政治体制のみならず、
産業構造も近代化へと転換してきました。「明治日本の産業革命遺産
製鉄・製鋼、造船、石炭産業」は、その過程を未来に伝える遺産群として
評価されたものです。
ユネスコは次のように評価しています。
“九州・山口地域を中心とする一連の産業遺産群は、西洋から非西洋国家
にはじめて産業化の伝播が成功したことを示す。19世紀半ばから20世紀
初頭にかけて、日本は製鉄・製鋼、造船、石炭産業を基盤として急速な
産業化を達成した。一連のサイトは1853年から1910年までのわずか
50年余りという短期間でこの急速な産業化が達成されたことを反映している”
今回の登録は「シリアル・ノミネーション」という手法で登録されました。
シリアル・ノミネーションとは、連続性のある(シリアル)複数の構成資産を
まとめ、全体で「顕著な普遍的価値がある」と考えて、1件の遺産として
登録する手法です。
(2)「明治日本の産業革命遺産」の内容
「明治日本の産業革命遺産」は23の資産で成っています。エリアは
九州(長崎県、福岡県、熊本県、佐賀県、鹿児島県)と山口県が中心
ですが、岩手県や静岡県の8県にも広がっています。対象の時代は1850
年代から1910年にかけて、着目したのは単一の産業ではなく、日本に
おける製鉄・製鋼、造船、石炭産業といった重工業の産業化に中心的役割を
担った遺産群として評価されたものです。
(a)萩(山口県萩市):萩反射炉、恵美須ヶ鼻造船所跡、大板山たたら
製鉄遺跡、萩城下町、松下村塾(5資産)
(b)鹿児島(鹿児島市):旧集成館、寺山炭窯跡、関吉の疎水溝(3資産)
(c)韮山(静岡県) :韮山反射炉(1資産)
(d)釜石(岩手県釜石市):橋野鉄鉱山・高炉跡(1資産)
(e)佐賀(佐賀県佐賀市):三重津海軍所跡(1資産)
(f)長崎(長崎県長崎市) :小菅修船場跡、三菱長崎造船所第三船渠、
同ジャイアント・カンチレバークレーン、同旧木型場、同占勝閣、
高島炭鉱、端島炭鉱、旧グラバー住宅(8資産)
(g)三池(福岡県大牟田市、熊本県荒尾市、宇城市): 三池炭鉱・三池港、
三角西(旧)港(2資産)
(h)八幡(福岡県北九州市、中間市): 官営八幡製鉄所、遠賀川水源地
ポンプ室(2資産)
(3)課題
「明治日本の産業革命遺産」の構成資産のなかには、端島炭鉱(通称・
軍艦島)など老朽化が激しい資産があり、自治体が保全計画の策定を急いで
いますが、多額の費用が掛かるなどの課題があります。ユネスコは「優先順
位を明確にした保全措置計画・実施計画が必要」と勧告しました。また、
各構成資産への悪影響を軽減するため、「各資産における受入可能な来訪者の
上限を定めること」などの勧告もあります。
一方、三池港、三菱造船所のクレーンやドックなど今も稼働中の資産があり、
これらの施設を長く維持していくための保全という課題もあります。
登録に際し、韓国から「日本が植民地としていた時代に7資産で強制徴用が
あった」として登録に反対する声が上がり政治問題化しました。日本政府は、
構成資産の一部に「意思に反して連れてこられ、過酷な条件で働くことを強い
られた」朝鮮出身者が多く存在したことへの理解を深め、被害者を記憶に
とどめるための情報センターの設置などを検討する方針を表明しました。
韓国からは日本と歴史的に関係の深い「百済歴史遺跡地区」が登録されました。
日本と韓国は政治的にはギクシャクしていますが、これを機会に関係改善の
機運につながることを期待します。
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日本国内の世界文化遺産は15件目、自然遺産を含む世界遺産として
は19件目となりました。国内では2013年に「富士山」、2014年
には「富岡製糸場と絹産業遺産群」の世界文化遺産登録に続き、3年
連続の登録となりました。
1.世界遺産
「顕著な普遍的価値」を有している文化遺産や自然遺産を人類全体
のための遺産として保護するため国際的な協力・援助体制をつくる
ことを目的に、1972年のユネスコ総会で世界遺産条約が採択され
ました。世界遺産には、建造物や遺跡などの「文化遺産」、自然地域
などの「自然遺産」、両方の要素を兼ね備えた「複合遺産」の3種類が
あります。
2015年7月現在では1,031件の世界遺産が登録されており、このうち
日本の世界遺産は19件(文化遺産15件、自然遺産4件)です。
2.世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、
石炭産業」
(1)「顕著な普遍的な価値」について
幕末から明治にかけての変革期、日本国内では政治体制のみならず、
産業構造も近代化へと転換してきました。「明治日本の産業革命遺産
製鉄・製鋼、造船、石炭産業」は、その過程を未来に伝える遺産群として
評価されたものです。
ユネスコは次のように評価しています。
“九州・山口地域を中心とする一連の産業遺産群は、西洋から非西洋国家
にはじめて産業化の伝播が成功したことを示す。19世紀半ばから20世紀
初頭にかけて、日本は製鉄・製鋼、造船、石炭産業を基盤として急速な
産業化を達成した。一連のサイトは1853年から1910年までのわずか
50年余りという短期間でこの急速な産業化が達成されたことを反映している”
今回の登録は「シリアル・ノミネーション」という手法で登録されました。
シリアル・ノミネーションとは、連続性のある(シリアル)複数の構成資産を
まとめ、全体で「顕著な普遍的価値がある」と考えて、1件の遺産として
登録する手法です。
(2)「明治日本の産業革命遺産」の内容
「明治日本の産業革命遺産」は23の資産で成っています。エリアは
九州(長崎県、福岡県、熊本県、佐賀県、鹿児島県)と山口県が中心
ですが、岩手県や静岡県の8県にも広がっています。対象の時代は1850
年代から1910年にかけて、着目したのは単一の産業ではなく、日本に
おける製鉄・製鋼、造船、石炭産業といった重工業の産業化に中心的役割を
担った遺産群として評価されたものです。
(a)萩(山口県萩市):萩反射炉、恵美須ヶ鼻造船所跡、大板山たたら
製鉄遺跡、萩城下町、松下村塾(5資産)
(b)鹿児島(鹿児島市):旧集成館、寺山炭窯跡、関吉の疎水溝(3資産)
(c)韮山(静岡県) :韮山反射炉(1資産)
(d)釜石(岩手県釜石市):橋野鉄鉱山・高炉跡(1資産)
(e)佐賀(佐賀県佐賀市):三重津海軍所跡(1資産)
(f)長崎(長崎県長崎市) :小菅修船場跡、三菱長崎造船所第三船渠、
同ジャイアント・カンチレバークレーン、同旧木型場、同占勝閣、
高島炭鉱、端島炭鉱、旧グラバー住宅(8資産)
(g)三池(福岡県大牟田市、熊本県荒尾市、宇城市): 三池炭鉱・三池港、
三角西(旧)港(2資産)
(h)八幡(福岡県北九州市、中間市): 官営八幡製鉄所、遠賀川水源地
ポンプ室(2資産)
(3)課題
「明治日本の産業革命遺産」の構成資産のなかには、端島炭鉱(通称・
軍艦島)など老朽化が激しい資産があり、自治体が保全計画の策定を急いで
いますが、多額の費用が掛かるなどの課題があります。ユネスコは「優先順
位を明確にした保全措置計画・実施計画が必要」と勧告しました。また、
各構成資産への悪影響を軽減するため、「各資産における受入可能な来訪者の
上限を定めること」などの勧告もあります。
一方、三池港、三菱造船所のクレーンやドックなど今も稼働中の資産があり、
これらの施設を長く維持していくための保全という課題もあります。
登録に際し、韓国から「日本が植民地としていた時代に7資産で強制徴用が
あった」として登録に反対する声が上がり政治問題化しました。日本政府は、
構成資産の一部に「意思に反して連れてこられ、過酷な条件で働くことを強い
られた」朝鮮出身者が多く存在したことへの理解を深め、被害者を記憶に
とどめるための情報センターの設置などを検討する方針を表明しました。
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