○○○パデセアメールマガジンVol.146○○○「農業の温暖化への適応」
2017/11/06 (Mon) 14:00
○○○パデセアメールマガジンVol.146○○○
地球温暖化への適応を始めた農業
―農水省「平成28年地球温暖化影響調査レポート」より―
------------------------------------------------------------
本メルマガは、弊社ホームページからのお申し込みがあった方や
当社メンバーと名刺交換をさせて頂いた方に送付しています。
------------------------------------------------------------
◯2018年春検定向け、環境法令検定対策セミナー 受付中!
http://www.ecohourei.jp/seminar-submit/
------------------------------------------------------------
特集:地球温暖化への適応を始めた農業
―農水省「平成28年地球温暖化影響調査レポート」より―
地球温暖化への対処法は、大きく分けて2種類に分けられます。
1つは「緩和策」。温室効果ガス排出量を削減し、地球温暖化の
進行を防ぐなど、環境問題の発生・進行を防ぐ事を指します。
もう1つが「適応策」。既に発生してしまった環境問題に対し、
上手く適応して生活・産業を持続させることです。例えば暑い夏に
クールビズで過ごすことも、立派な適応策と言えます。(エアコン
設定温度を上げる緩和策の側面もあります)
我が国の産業界は温室効果ガスの削減、すなわち「緩和策」に
積極的に取り組んでいます。しかし、既に温暖化の影響が無視
できない状況となっており、「適応策」に否応なしに取り組んで
いる業界が農業です。
2017年9月、農林水産省は「平成28年地球温暖化影響調査レポート」
を公表しました。全国的な猛暑となった2016年の、農業分野における
温暖化の影響、そして各地で行われている「適応策」の状況が報告
されています。今回はこのレポートに挙げられている事例を中心に、
農業における温暖化への適応の様子をご紹介します。
◆コメ
日本人の主食であるコメは、出穂(しゅっすい。稲穂が出ること)
後の気温が26~27℃を超えると白く濁った「白未熟粒(しろみじゅく
りゅう)」と呼ばれる玄米が急激に増加し、品質が低下する事が
知られています。猛暑によるコメ品質の低下は西日本を中心に発生
しており、地域別の一等米の比率は北に行くほど高く、南に行く
ほど低い状態が続いています。2016年の九州地方の一等米比率は
約40%と、全国平均83.4%の半分以下となりました。
農業者は田植えの時期を遅らせて出穂と盛夏の時期をずらす、
水管理の徹底などの適応策に取り組んでいます。特に大きな対策と
言えるのが、高温に強い品種への変更です。例えば、近年山形県が
ブランド米として売り出している「つや姫」は高温に強い品種で
あり、山形県、宮城県、島根県などを中心に、ここ6年間で栽培面積
を5倍以上に伸ばしています。地域ごとに気温上昇に見合った最適の
品種を導入した場合、4℃程度までの気温上昇があっても全国的な
コメ生産量を維持できるとの研究結果もあり、高温耐性品種への
切り替えは非常に有望な適応策と言えます。ただしその作付面積は
まだコメ全体の6.6%にとどまっており、「高温障害の発生が顕著な
地域や今後増加が予想される地域においては、導入を進める必要」
があると強調されています。
◆果樹
果樹ではブドウ・リンゴ・ミカン等で、着色不良や日焼けなどの
被害が生じています。こちらもブドウの木の皮を剥き着色を促進する
「環状剥皮処理」や、ミカンのハウスへの冷房導入など、様々な
適応策が試みられています。またブドウを従来の品種から着色不良を
気にしなくて良いシャインマスカットに変更するなど、品種の変更に
よる適応策も行われています。ただ、「桃栗三年柿八年」と言われる
通り、果樹は植えてから生産が軌道に乗るまでが長く、一度植えたら
数十年間はその気候で栽培を続けなければ経営的に不利となる作物
です。コメと比べ品種の変更が難しく、温暖化の影響はより深刻と
いえます。
一方で、温暖化をメリットとして享受している地域もあります。
近年長野県のワインが国際的に高い評価を得ていますが、その背景
として温暖化により長野県がワイン用ブドウの栽培に適した気候に
なっている事があります。寒害につながるマイナス10℃以下の日が
年数日程度に減少したことで、枯死したり植物病になるブドウの木が
減少したのです。最近では気候変動の影響で高級ワイン用ブドウ
「ピノ・ノワール」の栽培が北海道で可能になったとの報告もあり、
今後果樹は栽培適地を求めて北や標高の高い地域へと栽培の中心地を
移動させていく事が予想されます。
「平成28年地球温暖化影響調査レポート」ではこの他にも、冷感素材
でウシの夏バテを防ぐ家畜用衣料など、様々な取組が紹介されて
います。過去のレポートも含め、農林水産省HPで閲覧することが
可能です。
http://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/ondanka/report.html
------------------------------------------------------------
メルマガの配信解除方法は以下をご覧ください。
http://pdca.co.jp/info/magazine/
------------------------------------------------------------
※当メールは送信専用です。お問い合わせのある場合はお手数
ですが、以下のメールアドレスまでご連絡お願い致します。
info@pdca.co.jp
------------------------------------------------------------
株式会社 パデセア 代表取締役 黒柳要次
東京都千代田区一番町23-2 千代田一番町ビル1階
TEL 03-5226-6721/FAX 03-5226-6723
http://www.pdca.co.jp
e-mail info@pdca.co.jp
地球温暖化への適応を始めた農業
―農水省「平成28年地球温暖化影響調査レポート」より―
------------------------------------------------------------
本メルマガは、弊社ホームページからのお申し込みがあった方や
当社メンバーと名刺交換をさせて頂いた方に送付しています。
------------------------------------------------------------
◯2018年春検定向け、環境法令検定対策セミナー 受付中!
http://www.ecohourei.jp/seminar-submit/
------------------------------------------------------------
特集:地球温暖化への適応を始めた農業
―農水省「平成28年地球温暖化影響調査レポート」より―
地球温暖化への対処法は、大きく分けて2種類に分けられます。
1つは「緩和策」。温室効果ガス排出量を削減し、地球温暖化の
進行を防ぐなど、環境問題の発生・進行を防ぐ事を指します。
もう1つが「適応策」。既に発生してしまった環境問題に対し、
上手く適応して生活・産業を持続させることです。例えば暑い夏に
クールビズで過ごすことも、立派な適応策と言えます。(エアコン
設定温度を上げる緩和策の側面もあります)
我が国の産業界は温室効果ガスの削減、すなわち「緩和策」に
積極的に取り組んでいます。しかし、既に温暖化の影響が無視
できない状況となっており、「適応策」に否応なしに取り組んで
いる業界が農業です。
2017年9月、農林水産省は「平成28年地球温暖化影響調査レポート」
を公表しました。全国的な猛暑となった2016年の、農業分野における
温暖化の影響、そして各地で行われている「適応策」の状況が報告
されています。今回はこのレポートに挙げられている事例を中心に、
農業における温暖化への適応の様子をご紹介します。
◆コメ
日本人の主食であるコメは、出穂(しゅっすい。稲穂が出ること)
後の気温が26~27℃を超えると白く濁った「白未熟粒(しろみじゅく
りゅう)」と呼ばれる玄米が急激に増加し、品質が低下する事が
知られています。猛暑によるコメ品質の低下は西日本を中心に発生
しており、地域別の一等米の比率は北に行くほど高く、南に行く
ほど低い状態が続いています。2016年の九州地方の一等米比率は
約40%と、全国平均83.4%の半分以下となりました。
農業者は田植えの時期を遅らせて出穂と盛夏の時期をずらす、
水管理の徹底などの適応策に取り組んでいます。特に大きな対策と
言えるのが、高温に強い品種への変更です。例えば、近年山形県が
ブランド米として売り出している「つや姫」は高温に強い品種で
あり、山形県、宮城県、島根県などを中心に、ここ6年間で栽培面積
を5倍以上に伸ばしています。地域ごとに気温上昇に見合った最適の
品種を導入した場合、4℃程度までの気温上昇があっても全国的な
コメ生産量を維持できるとの研究結果もあり、高温耐性品種への
切り替えは非常に有望な適応策と言えます。ただしその作付面積は
まだコメ全体の6.6%にとどまっており、「高温障害の発生が顕著な
地域や今後増加が予想される地域においては、導入を進める必要」
があると強調されています。
◆果樹
果樹ではブドウ・リンゴ・ミカン等で、着色不良や日焼けなどの
被害が生じています。こちらもブドウの木の皮を剥き着色を促進する
「環状剥皮処理」や、ミカンのハウスへの冷房導入など、様々な
適応策が試みられています。またブドウを従来の品種から着色不良を
気にしなくて良いシャインマスカットに変更するなど、品種の変更に
よる適応策も行われています。ただ、「桃栗三年柿八年」と言われる
通り、果樹は植えてから生産が軌道に乗るまでが長く、一度植えたら
数十年間はその気候で栽培を続けなければ経営的に不利となる作物
です。コメと比べ品種の変更が難しく、温暖化の影響はより深刻と
いえます。
一方で、温暖化をメリットとして享受している地域もあります。
近年長野県のワインが国際的に高い評価を得ていますが、その背景
として温暖化により長野県がワイン用ブドウの栽培に適した気候に
なっている事があります。寒害につながるマイナス10℃以下の日が
年数日程度に減少したことで、枯死したり植物病になるブドウの木が
減少したのです。最近では気候変動の影響で高級ワイン用ブドウ
「ピノ・ノワール」の栽培が北海道で可能になったとの報告もあり、
今後果樹は栽培適地を求めて北や標高の高い地域へと栽培の中心地を
移動させていく事が予想されます。
「平成28年地球温暖化影響調査レポート」ではこの他にも、冷感素材
でウシの夏バテを防ぐ家畜用衣料など、様々な取組が紹介されて
います。過去のレポートも含め、農林水産省HPで閲覧することが
可能です。
http://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/ondanka/report.html
------------------------------------------------------------
メルマガの配信解除方法は以下をご覧ください。
http://pdca.co.jp/info/magazine/
------------------------------------------------------------
※当メールは送信専用です。お問い合わせのある場合はお手数
ですが、以下のメールアドレスまでご連絡お願い致します。
info@pdca.co.jp
------------------------------------------------------------
株式会社 パデセア 代表取締役 黒柳要次
東京都千代田区一番町23-2 千代田一番町ビル1階
TEL 03-5226-6721/FAX 03-5226-6723
http://www.pdca.co.jp
e-mail info@pdca.co.jp