○○○パデセアメールマガジンVol.164○○○「パリ協定長期成長戦略懇談会」
2019/05/09 (Thu) 13:30
○○○パデセアメールマガジンVol.164○○○
「パリ協定長期成長戦略懇談会」の提言
~21世紀後半、CO2排出量を実質ゼロに~
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https://gihyo.jp/book/2019/978-4-297-10571-6
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特集:「パリ協定長期成長戦略懇談会」の提言
~21世紀後半、CO2排出量を実質ゼロに~
4月2日、官邸で開かれた有識者会議「パリ協定長期成長戦略懇談
会」は「今世紀後半の早い時期」に「脱炭素社会」を実現するとの
目標を含む提言を発表しました。脱炭素社会とは、人類の活動に
よって発生するCO2と、人類の活動によって吸収されるCO2を差し
引くとプラスマイナスゼロとなり、事実上人類がCO2を排出せずに
生活している社会を指します。既に21世紀も19年が経過し、今世紀
後半に入るまで31年しかありません。果たしてどのように脱炭素
社会を実現するのでしょうか。
◆提言の性質―「ビジョン」とは
同提言は「ビジョン」であるとされています。英語には
「ビジョン」や「ターゲット」など、「目標」を意味する言葉が
さまざまにありますが、それぞれには微妙な違いがあります。
「ターゲット」は、現在取りうる対策を積み上げる事で達成でき
る、短期~中期の目標です。例えば2030年までに2013年比26%減と
する日本のCO2排出目標はターゲットです。容易に達成できるもの
ではないものの、現在持ちうるあらゆる対策を総動員すれば達成へ
の道筋が見える性質のものです。
これに対し「ビジョン」は、目指すべき方向性を示すもの、と
いう意味合いです。現在持ちうるどのような方策を駆使しても、
CO2排出量ゼロの脱炭素社会は実現できません。実現のために必要
不可欠なのが「イノベーション」です。
◆2つの「イノベーション」
「イノベーション」という言葉は「技術革新」と訳すのが一般的
です。例えばCO2排出量を削減するようなまったく新しい発明は、
間違いなく技術革新、イノベーションです。本提言ではこうした
従来の技術の延長線上にない革新を「非連続なイノベーション」と
呼び、そのために技術や予算を投じることの重要性を説いています。
しかし、本提言ではイノベーションについて以下の様にも
記しています。
「イノベーション=技術革新」という単一的な見方を是正し、
最先端の技術を創出するイノベーションと併せて、技術を社会実装
していく「実用化・普及のためのイノベーション」の推進が不可欠
である。
つまり、実用化に至っていない技術を、商品化し、コストを下げ、
市場やインフラや制度・規制を適合させていく事を含めて「イノ
ベーション」と呼んでいるのです。具体的には、以下のような分野
が挙げられています。
・CCS:二酸化炭素の回収・地下貯留
(Carbon Dioxide Capture and Storage)
燃焼により発生したCO2を地中に埋設する技術です。これまで人類
は「CO2の排出を減らす」事は行ってきましたが、「CO2自体を大気
から除去する」事はもっぱら自然の植物が担ってきました。脱炭素
社会の実現には、こうした技術の導入が不可欠となります。
・CCU:二酸化炭素の回収・利用
(Carbon Dioxide Capture and Utilization)
CO2からプラスチック等の製品を製造する技術です。人工光合成や、
微細藻類を使ったバイオ燃料の製造などの研究が行われています。
CCS・CCUは2030年までに実用化し、日本から世界に輸出する事を
検討すべきとされています。
・CO2フリー水素
水素は燃焼時に水しか発生させないため、クリーンなエネルギー源
として注目されていますが、現在主に使用されている炭化水素から
の水素製造は、製造過程でCO2を発生させてしまいます。提言では
製造過程でのCO2発生を可能な限り減らした「CO2フリー水素」の
製造コストを2050年までに現在の10分の1に下げ、天然ガスより割安
にすべきとしています。
・水素還元製鉄
現在の製鉄技術の延長では、どうしても炭素で鉄鉱石を還元する
事が最も効率的であり、CO2を排出してしまいます。CO2フリー水素
で還元を行えばCO2の排出を断つ事が可能です。そのためには、
CO2フリー水素の価格を下げ、石炭による還元と価格面で競争しうる
環境の整備が必要です。
同懇談会は、大企業の経営者、環境の研究者、地方自治体の長
など、産・学・官より代表者を集め実施されました。このため、
原発の再稼働など見解の分かれる問題については結論を示して
いません。逆に言えば、この提言で示された提言は、産・学・官
のいずれの立場からも、推進すべきとの意見で一致した内容と言え
ます。紙面の都合でご紹介できませんが、同提言ではこの他にも
社会像や幸福論まで踏み込んだ、幅広い提案が行われています。
2050年まであと31年。今から31年前の1988年にはごく限られた人
しか使えなかったインターネットは「実用化・普及のためのイノ
ベーション」によって万人のものとなり、「非連続的イノベーショ
ン」により生まれた全く新しい概念であるスマートフォンは生活
必需品となりました。脱炭素社会に向け、今後31年でどれほどの
イノベーションを実現できるか、期待したいところです。
参考:首相官邸「パリ協定長期成長戦略懇談会」
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/parikyoutei/
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株式会社 パデセア 代表取締役 黒柳要次
東京都千代田区一番町23-2 千代田一番町ビル1階
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~21世紀後半、CO2排出量を実質ゼロに~
4月2日、官邸で開かれた有識者会議「パリ協定長期成長戦略懇談
会」は「今世紀後半の早い時期」に「脱炭素社会」を実現するとの
目標を含む提言を発表しました。脱炭素社会とは、人類の活動に
よって発生するCO2と、人類の活動によって吸収されるCO2を差し
引くとプラスマイナスゼロとなり、事実上人類がCO2を排出せずに
生活している社会を指します。既に21世紀も19年が経過し、今世紀
後半に入るまで31年しかありません。果たしてどのように脱炭素
社会を実現するのでしょうか。
◆提言の性質―「ビジョン」とは
同提言は「ビジョン」であるとされています。英語には
「ビジョン」や「ターゲット」など、「目標」を意味する言葉が
さまざまにありますが、それぞれには微妙な違いがあります。
「ターゲット」は、現在取りうる対策を積み上げる事で達成でき
る、短期~中期の目標です。例えば2030年までに2013年比26%減と
する日本のCO2排出目標はターゲットです。容易に達成できるもの
ではないものの、現在持ちうるあらゆる対策を総動員すれば達成へ
の道筋が見える性質のものです。
これに対し「ビジョン」は、目指すべき方向性を示すもの、と
いう意味合いです。現在持ちうるどのような方策を駆使しても、
CO2排出量ゼロの脱炭素社会は実現できません。実現のために必要
不可欠なのが「イノベーション」です。
◆2つの「イノベーション」
「イノベーション」という言葉は「技術革新」と訳すのが一般的
です。例えばCO2排出量を削減するようなまったく新しい発明は、
間違いなく技術革新、イノベーションです。本提言ではこうした
従来の技術の延長線上にない革新を「非連続なイノベーション」と
呼び、そのために技術や予算を投じることの重要性を説いています。
しかし、本提言ではイノベーションについて以下の様にも
記しています。
「イノベーション=技術革新」という単一的な見方を是正し、
最先端の技術を創出するイノベーションと併せて、技術を社会実装
していく「実用化・普及のためのイノベーション」の推進が不可欠
である。
つまり、実用化に至っていない技術を、商品化し、コストを下げ、
市場やインフラや制度・規制を適合させていく事を含めて「イノ
ベーション」と呼んでいるのです。具体的には、以下のような分野
が挙げられています。
・CCS:二酸化炭素の回収・地下貯留
(Carbon Dioxide Capture and Storage)
燃焼により発生したCO2を地中に埋設する技術です。これまで人類
は「CO2の排出を減らす」事は行ってきましたが、「CO2自体を大気
から除去する」事はもっぱら自然の植物が担ってきました。脱炭素
社会の実現には、こうした技術の導入が不可欠となります。
・CCU:二酸化炭素の回収・利用
(Carbon Dioxide Capture and Utilization)
CO2からプラスチック等の製品を製造する技術です。人工光合成や、
微細藻類を使ったバイオ燃料の製造などの研究が行われています。
CCS・CCUは2030年までに実用化し、日本から世界に輸出する事を
検討すべきとされています。
・CO2フリー水素
水素は燃焼時に水しか発生させないため、クリーンなエネルギー源
として注目されていますが、現在主に使用されている炭化水素から
の水素製造は、製造過程でCO2を発生させてしまいます。提言では
製造過程でのCO2発生を可能な限り減らした「CO2フリー水素」の
製造コストを2050年までに現在の10分の1に下げ、天然ガスより割安
にすべきとしています。
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現在の製鉄技術の延長では、どうしても炭素で鉄鉱石を還元する
事が最も効率的であり、CO2を排出してしまいます。CO2フリー水素
で還元を行えばCO2の排出を断つ事が可能です。そのためには、
CO2フリー水素の価格を下げ、石炭による還元と価格面で競争しうる
環境の整備が必要です。
同懇談会は、大企業の経営者、環境の研究者、地方自治体の長
など、産・学・官より代表者を集め実施されました。このため、
原発の再稼働など見解の分かれる問題については結論を示して
いません。逆に言えば、この提言で示された提言は、産・学・官
のいずれの立場からも、推進すべきとの意見で一致した内容と言え
ます。紙面の都合でご紹介できませんが、同提言ではこの他にも
社会像や幸福論まで踏み込んだ、幅広い提案が行われています。
2050年まであと31年。今から31年前の1988年にはごく限られた人
しか使えなかったインターネットは「実用化・普及のためのイノ
ベーション」によって万人のものとなり、「非連続的イノベーショ
ン」により生まれた全く新しい概念であるスマートフォンは生活
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