◇◇◇パデセアメールマガジンVol.172◇◇◇「COP25」
2020/01/07 (Tue) 12:00
◇◇◇パデセアメールマガジンVol.172◇◇◇
COP25閉幕
~パリ協定のルール、一部合意できず~
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https://www.ecohourei.jp/textbook/#mondaishu
○改訂第11版 eco検定ポイント集中レッスン
eco検定受験者必携の学習参考書!
https://gihyo.jp/book/2019/978-4-297-10571-6
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特集:COP25閉幕
~パリ協定のルール、一部合意できず~
2019年12月2日から15日にかけ、COP25(国連気候変動枠組条約
締約国会議)がスペインのマドリードで行われました。
前回のCOP24ではパリ協定のルールづくりが行われましたが、
途上国と先進国の意見の違いを埋めることができず、一部議論が
COP25へ持ち越しとなりました。パリ協定の始動が2020年に迫る
中、これらの議論で合意し、ルール作りを完遂できるかが注目
されました。
◆市場メカニズムをめぐる対立
前回のCOP24で合意に至れなかった大きなテーマに「市場メカニ
ズム」があります。市場メカニズムとは、温室効果ガスの排出量を
国家間で売買する「排出量取引」など、国内の削減目標を国外の
取り組みによって達成することを指します。COP25でも引き続き
議論が行われましたが、特に以下の点での対立が目立ちました。
1:二重計上の防止について
市場メカニズムの1つに、「他国の温室効果ガス排出削減を
支援した国は、その支援による削減量を自国の排出量から差し
引く事ができる」という仕組みがあります。この時、支援を受けた
側の国は削減量を自国の削減実績とすることができません。削減量
が二重に計上され、温室効果ガス削減量が実態より多く計算される
ことを防ぐためです。
これに対し、ブラジル等一部の新興国が支援を受けての削減分も
削減実績としたいと主張し、他の国々と対立しました。
2:2019年以前の排出権(クレジット)について
2019年以前の京都議定書に基づき認められた排出権を、2020年
以降のパリ協定下で使用したいとブラジル・中国・インドといった
新興国が主張しました。しかし、ただでさえ一層の削減努力が
求められている中、2019年以前の排出権の使用を認めることは
それだけ多くの温室効果ガス排出を認める事となるため、大部分の
締約国が反対し厳しく対立しました。
結局、COP25ではこれらの対立を埋める事ができず、パリ協定の
市場メカニズムに関するルール作りはCOP26に持ち越しという結果
に終わりました。もっとも、ここで「抜け道」のあるルールで合意
してしまうよりは、来年以降により厳格なルールでの合意を目指し
たほうが、気候変動防止の観点からは得策とも言えます。
日本は京都議定書第一約束期間の目標達成のため市場メカニズム
を活用しており、パリ協定の目標達成のためにも市場メカニズムの
活用が欠かせない状況です。日本は既にモンゴル等17カ国と
「二国間クレジット制度」に基づく署名を交わし、相手国の削減量
を日本に取り込む事を目指していましたが、これも来年以降に持ち
越しとなりました。
◆削減目標の引き上げをめぐる対立
2019年11月にUNEPが提出した報告書は、「各国が現在パリ協定
に基づき公表している削減目標を全て達成しても、今世紀末には
3.2℃の気温上昇が発生する可能性が高い」という厳しい内容
でした。また、2018年にIPCCから公表された「1.5℃特別報告書」
では、気温上昇を2℃ではなく1.5℃に抑えることで、人類と自然
に対するダメージを大きく低減できる事が示されています。これを
受け、各国目標のさらなる引き上げが議論されました。
気候変動の悪影響を強く受けている島嶼国等からなる「高い
野心連合」は引き上げを強く求める表現を希望しましたが、合意
文書では目標見直しを「推奨する」という表現にとどまり、各国
に引き上げを義務付ける合意はできませんでした。
◆2020年、パリ協定本格始動
2019年は、スウェーデンの高校生グレタ・トゥーンベリさんを
旗印に、気候変動への対処を求める若者たちの動きが世界的に盛ん
になった年でした。COP25の結果はこうした声に十分に答えたもの
とは言えず、グテーレス国連事務総長も「COP25の結果には失望
している」と声明を発表しました。
市場メカニズムのルールは合意に達していませんが、それ以外
のパリ協定に関するルールのほとんどは合意が完了しています。
したがって、パリ協定は今年、2020年から本格始動します。日本
を含む各国がどこまで排出量削減を実現できるかが注目されます。
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2019年12月2日から15日にかけ、COP25(国連気候変動枠組条約
締約国会議)がスペインのマドリードで行われました。
前回のCOP24ではパリ協定のルールづくりが行われましたが、
途上国と先進国の意見の違いを埋めることができず、一部議論が
COP25へ持ち越しとなりました。パリ協定の始動が2020年に迫る
中、これらの議論で合意し、ルール作りを完遂できるかが注目
されました。
◆市場メカニズムをめぐる対立
前回のCOP24で合意に至れなかった大きなテーマに「市場メカニ
ズム」があります。市場メカニズムとは、温室効果ガスの排出量を
国家間で売買する「排出量取引」など、国内の削減目標を国外の
取り組みによって達成することを指します。COP25でも引き続き
議論が行われましたが、特に以下の点での対立が目立ちました。
1:二重計上の防止について
市場メカニズムの1つに、「他国の温室効果ガス排出削減を
支援した国は、その支援による削減量を自国の排出量から差し
引く事ができる」という仕組みがあります。この時、支援を受けた
側の国は削減量を自国の削減実績とすることができません。削減量
が二重に計上され、温室効果ガス削減量が実態より多く計算される
ことを防ぐためです。
これに対し、ブラジル等一部の新興国が支援を受けての削減分も
削減実績としたいと主張し、他の国々と対立しました。
2:2019年以前の排出権(クレジット)について
2019年以前の京都議定書に基づき認められた排出権を、2020年
以降のパリ協定下で使用したいとブラジル・中国・インドといった
新興国が主張しました。しかし、ただでさえ一層の削減努力が
求められている中、2019年以前の排出権の使用を認めることは
それだけ多くの温室効果ガス排出を認める事となるため、大部分の
締約国が反対し厳しく対立しました。
結局、COP25ではこれらの対立を埋める事ができず、パリ協定の
市場メカニズムに関するルール作りはCOP26に持ち越しという結果
に終わりました。もっとも、ここで「抜け道」のあるルールで合意
してしまうよりは、来年以降により厳格なルールでの合意を目指し
たほうが、気候変動防止の観点からは得策とも言えます。
日本は京都議定書第一約束期間の目標達成のため市場メカニズム
を活用しており、パリ協定の目標達成のためにも市場メカニズムの
活用が欠かせない状況です。日本は既にモンゴル等17カ国と
「二国間クレジット制度」に基づく署名を交わし、相手国の削減量
を日本に取り込む事を目指していましたが、これも来年以降に持ち
越しとなりました。
◆削減目標の引き上げをめぐる対立
2019年11月にUNEPが提出した報告書は、「各国が現在パリ協定
に基づき公表している削減目標を全て達成しても、今世紀末には
3.2℃の気温上昇が発生する可能性が高い」という厳しい内容
でした。また、2018年にIPCCから公表された「1.5℃特別報告書」
では、気温上昇を2℃ではなく1.5℃に抑えることで、人類と自然
に対するダメージを大きく低減できる事が示されています。これを
受け、各国目標のさらなる引き上げが議論されました。
気候変動の悪影響を強く受けている島嶼国等からなる「高い
野心連合」は引き上げを強く求める表現を希望しましたが、合意
文書では目標見直しを「推奨する」という表現にとどまり、各国
に引き上げを義務付ける合意はできませんでした。
◆2020年、パリ協定本格始動
2019年は、スウェーデンの高校生グレタ・トゥーンベリさんを
旗印に、気候変動への対処を求める若者たちの動きが世界的に盛ん
になった年でした。COP25の結果はこうした声に十分に答えたもの
とは言えず、グテーレス国連事務総長も「COP25の結果には失望
している」と声明を発表しました。
市場メカニズムのルールは合意に達していませんが、それ以外
のパリ協定に関するルールのほとんどは合意が完了しています。
したがって、パリ協定は今年、2020年から本格始動します。日本
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