◇◇◇パデセアメールマガジンVol.180◇◇◇「気候変動による豪雨の増加と農業」
2020/09/08 (Tue) 12:00
◇◇◇パデセアメールマガジンVol.180◇◇◇
~~気候変動による豪雨の増加と農業~~
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○2020年9月 環境法令検定 申込み受付中!
https://ecohourei.jp/submit/
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https://www.ecohourei.jp/textbook/#mondaishu
○eco検定通信講座「短期で学ぶeco検定合格コース」実施中!
https://www.nipponmanpower.co.jp/ps/choose/course/details.php/LPA/
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今年の夏も暑かった。このメルマガをお読みの方の中で、これと
異なる意見をお持ちの方は少ないでしょう。8月17日には静岡県
浜松市で観測史上1位タイの最高気温41.1℃が記録されるなど、
2020年の夏も昨年に引き続き記録的な暑さとなりました。
今年の夏は気象についてもう1つ記録の更新がありました。埼玉
県熊谷市で6月6日に10分間で50.0ミリという、観測史上最多タイの
降水量を記録したのです。また、海水温の上昇により、台風が強い
勢力を維持したまま日本列島に上陸する「スーパー台風」も増加
しています。豪雨の増加は統計的にも明らかで、1時間に80mm以上
の降水が発生した回数は1976年~1985年は年平均14回でしたが、2010
~2019年には平均24回となっています。地球温暖化は、数十年に1度
レベルの「極端な気象」の発生を増加させる可能性が指摘されており、
これらも気候変動の影響である事が想定されます。
気候変動は地球上のあらゆる人々に影響を与えていますが、特に
気候変動の影響を強く受けるのが農業です。以前ご紹介した通り、
我が国の農業にもすでに高温による被害が発生し始めています。
今回は豪雨の影響を見てみましょう。
【参考】2017年11月メールマガジン「農業の温暖化への適応」
https://g.bmb.jp/bm/p/bn/list.php?i=pdca&no=all&m=686
◆2019年の豪雨と農業被害
2020年8月の球磨川の氾濫は記憶に新しいですが、2019年も豪雨に
よる被害の大きい年でした。9月に千葉県に大規模な停電を引き起こ
した台風15号(令和元年房総半島台風)、関東~東北地方に大きな
被害を出した台風19号(令和元年東日本台風)は、特に被害が大き
かったものと言えます。
天候の激化により、自然災害による農業被害額も増加傾向にあり
ます。2019年の自然災害による農林水産関係の被害額は4,883億円
となり、2018年年の5,138億円と同等でした。これは東日本大震災
の発生した2011年を除くとここ10年で最大級の被害額となります。
房総半島台風では、千葉県を中心に農業用ハウスの倒壊や果実の
落果が発生、野菜や水稲にも被害が生じました。損壊したビニール
ハウスは千葉県内だけで687ヘクタールになり、被害額は815億円に
のぼりました。また、房総半島台風では約1ヶ月にもわたる大規模
な停電が発生し、冷蔵保存が必要な牛乳の廃棄、猛暑による家畜の
死亡といった二次被害も発生しました。停電の原因となったのは
強風による倒木ですが、多数の倒木の原因として林業の衰退により
弱ったスギが増加している事が指摘されています。
東日本台風では、7都県の47河川が氾濫、66箇所で堤防が決壊と
いうまれに見る被害が発生しました。浸水により農地や果樹園に
大量の土砂や流出物が堆積したほか、農業用機械が使用不能に
なる、収穫前の作物や収穫物が浸水し出荷できなくなるなどの
被害が発生、農業関連の被害額は2,506億円にのぼりました。
また、これとは別に山地の土砂崩れが多数発生しており、林業系
の被害額も807億円にのぼっています。
◆被害を完全に防ぐのは難しい
こうした豪雨による被害に対し農業者ができることは限られて
います。気候変動による気温の上昇は、栽培時期の変更や品種改良、
作物の転換などである程度対処できますが、物理的に作物をなぎ倒す
風や、圃場に流れ込んでくる土砂にはなすすべがありません。梁を
増加して農業用ハウスの倒壊を防ぐ工法など、進歩している部分も
あるものの、激甚化する災害は今後も農業に被害を与える可能性が
あります。
国としても、ある程度の被害の発生はやむを得ないものとし、
その後の保証の充実に力を入れています。例えば、農水省は2019年
に「収入保険」制度を開始しました。従来の農業保険は保証対象と
なる品目や原因が指定されていたのに対し、収入保険は主要産品の
ほかはちみつ・たばこ・畳表などにも対応。地震や風水害などの
災害、作物の相場の下落、農業者が病気などで働けなくなった場合
などにも保障と、リスクが多様化した時代に合わせまんべんなく
保障を行う形となっています。
農業が豪雨の被害を免れるのは難しく、その影響は農産物価格に
直結します。今年の梅雨の長雨で、野菜が高騰したことは記憶に
新しいところです。IPCC第5次報告書では、極端な大雨の頻度、
強度が今世紀末にさらに増加する可能性を「非常に高い」と分析
しています。農産物の価格が不安定な時代が続きそうです。
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株式会社 パデセア 代表取締役 黒柳要次
東京都千代田区一番町23-2 千代田一番町ビル1階
TEL 03-5226-6721/FAX 03-5226-6723
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異なる意見をお持ちの方は少ないでしょう。8月17日には静岡県
浜松市で観測史上1位タイの最高気温41.1℃が記録されるなど、
2020年の夏も昨年に引き続き記録的な暑さとなりました。
今年の夏は気象についてもう1つ記録の更新がありました。埼玉
県熊谷市で6月6日に10分間で50.0ミリという、観測史上最多タイの
降水量を記録したのです。また、海水温の上昇により、台風が強い
勢力を維持したまま日本列島に上陸する「スーパー台風」も増加
しています。豪雨の増加は統計的にも明らかで、1時間に80mm以上
の降水が発生した回数は1976年~1985年は年平均14回でしたが、2010
~2019年には平均24回となっています。地球温暖化は、数十年に1度
レベルの「極端な気象」の発生を増加させる可能性が指摘されており、
これらも気候変動の影響である事が想定されます。
気候変動は地球上のあらゆる人々に影響を与えていますが、特に
気候変動の影響を強く受けるのが農業です。以前ご紹介した通り、
我が国の農業にもすでに高温による被害が発生し始めています。
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◆2019年の豪雨と農業被害
2020年8月の球磨川の氾濫は記憶に新しいですが、2019年も豪雨に
よる被害の大きい年でした。9月に千葉県に大規模な停電を引き起こ
した台風15号(令和元年房総半島台風)、関東~東北地方に大きな
被害を出した台風19号(令和元年東日本台風)は、特に被害が大き
かったものと言えます。
天候の激化により、自然災害による農業被害額も増加傾向にあり
ます。2019年の自然災害による農林水産関係の被害額は4,883億円
となり、2018年年の5,138億円と同等でした。これは東日本大震災
の発生した2011年を除くとここ10年で最大級の被害額となります。
房総半島台風では、千葉県を中心に農業用ハウスの倒壊や果実の
落果が発生、野菜や水稲にも被害が生じました。損壊したビニール
ハウスは千葉県内だけで687ヘクタールになり、被害額は815億円に
のぼりました。また、房総半島台風では約1ヶ月にもわたる大規模
な停電が発生し、冷蔵保存が必要な牛乳の廃棄、猛暑による家畜の
死亡といった二次被害も発生しました。停電の原因となったのは
強風による倒木ですが、多数の倒木の原因として林業の衰退により
弱ったスギが増加している事が指摘されています。
東日本台風では、7都県の47河川が氾濫、66箇所で堤防が決壊と
いうまれに見る被害が発生しました。浸水により農地や果樹園に
大量の土砂や流出物が堆積したほか、農業用機械が使用不能に
なる、収穫前の作物や収穫物が浸水し出荷できなくなるなどの
被害が発生、農業関連の被害額は2,506億円にのぼりました。
また、これとは別に山地の土砂崩れが多数発生しており、林業系
の被害額も807億円にのぼっています。
◆被害を完全に防ぐのは難しい
こうした豪雨による被害に対し農業者ができることは限られて
います。気候変動による気温の上昇は、栽培時期の変更や品種改良、
作物の転換などである程度対処できますが、物理的に作物をなぎ倒す
風や、圃場に流れ込んでくる土砂にはなすすべがありません。梁を
増加して農業用ハウスの倒壊を防ぐ工法など、進歩している部分も
あるものの、激甚化する災害は今後も農業に被害を与える可能性が
あります。
国としても、ある程度の被害の発生はやむを得ないものとし、
その後の保証の充実に力を入れています。例えば、農水省は2019年
に「収入保険」制度を開始しました。従来の農業保険は保証対象と
なる品目や原因が指定されていたのに対し、収入保険は主要産品の
ほかはちみつ・たばこ・畳表などにも対応。地震や風水害などの
災害、作物の相場の下落、農業者が病気などで働けなくなった場合
などにも保障と、リスクが多様化した時代に合わせまんべんなく
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農業が豪雨の被害を免れるのは難しく、その影響は農産物価格に
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