◇◇◇パデセアメールマガジンVol.181◇◇◇「新型コロナによる環境への影響 その2」
2020/10/06 (Tue) 14:00
◇◇◇パデセアメールマガジンVol.181◇◇◇
新型コロナによる環境への影響 その2
~エネルギー消費はふたたび増加傾向~
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本メルマガは、弊社ホームページからのお申し込みがあった方や
当社メンバーと名刺交換をさせて頂いた方に送付しています。
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○2020年12月eco検定 10月13日より受付開始!
https://www.kentei.org/eco/
○環境法令検定公式問題集 2020~2021年秋冬版 近日発売
9月検定の問題も収録!
https://www.ecohourei.jp/textbook/#mondaishu
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特集:新型コロナによる環境への影響 その2
~エネルギー消費はふたたび増加傾向~
◆コロナ禍によるエネルギー消費の動向
新型コロナウイルス(COVID-19)の流行により移動や工場の稼働
が制限され、2020年の世界のCO2排出量が前年比-8%と記録的に減少
する見込みであることを本メルマガの5月号でご紹介しましたが、
これを裏付ける実測データが集まりつつあります。
(参考)メールマガジン5月号:コロナ禍によるCO2排出量減少
https://g.bmb.jp/bm/p/bn/list.php?i=pdca&no=all&m=753
国際エネルギー機関(IEA)によれば、2020年第1四半期(1~3
月)の世界のCO2排出量は、前年同月比5%以上の減少となりました。
国内では、第2次・第3次産業の落ち込みを背景に、電力需要が
大幅に減少したとのデータが出ています。3月の事業用発電電力量は
前年同月比-3.5%、4月は同じく-3.6%、5月は実に-9.2%となりま
した。その後、5月25日に緊急事態宣言が解除された結果、6月は前年
同月比-2.2%に戻っており、電力需要の大幅な減少は一時的なものに
留まりました。
一方で、テレワーク化により家庭の電力消費量は増加しています。
総務省「家計調査」によれば、3月の世帯あたり電力消費量は前年
同月比+1.7%、4月は+5.8%と増加しています。5月は-3.5%となぜか
減少しましたが、6月は+5.4%、7月も+5.4%と、ふたたび増加を見せ
ています。なお、総務省の家計調査は2人以上の家庭を対象として
おり、単身世帯が対象に含まれていない点は留意すべきでしょう。
移動の自粛により、自動車を中心とする燃料の消費量が大幅に
減少しています。経済産業省「石油統計」によれば、ガソリンの
国内向け販売量は、2020年3月は前年同月比-8.4%、4月は-22.7%、
5月は-22.4%と著しい減少を見せました。6月は-4.5%、7月は-6.1%
と、ピークは超えたものの引き続き減少傾向が続いています。軽油
も産業の停止を背景に5月には-10.6%となり、その後も-9%と減少
傾向が続いています。
◆コロナ禍がもたらした「気付き」
コロナ禍は我々に多くの気付きをもたらしました。環境面で言え
ば「会社への通勤は必ずしも不可欠ではない」ことが社会に認知
されました。会議や出張のオンライン化により、これまで当たり前
のように行われてきた「移動」の一定部分は不要のものであった事
は、今では広く知られています。経済が再起動し、電力需要が回復
している一方、燃料需要の回復が低調である点からもそれが伺え
ます。
企業の中には、コストのかかる都市部にオフィスを置くこと自体
をやめてしまう例も現れています。人材派遣大手の株式会社パソナ
は、従来東京においていた本社を淡路島へ移転することを発表しま
した。ITベンチャーの中には、従業員が顔を合わせるオフィスを
完全に廃止し、勤務地自由・完全テレワークとする企業も現れて
います。
◆コロナ禍があぶり出した「弱点」
一方で、コロナ禍は現代社会がかかえる多くの弱点も明らかに
しました。その1つが、国際的なサプライチェーンの脆弱性です。
コロナ禍はロックダウン等の形で一国の経済が突然停止する可能性
がある事を示し、ある工程や原料調達を特定の国に依存したサプラ
イチェーンは容易に崩れてしまう事を知らしめました。企業の中に
は、生産工程を海外から国内に移転する動きも出始めています。
環境との関係が深いものの中では、太陽光発電のサプライチェー
ンの脆弱性が指摘されています。近年の太陽光発電の急拡大を支え
たのは安価な中国製太陽光パネルです。加えて、その原料となる
レアメタルの産出地は中国とその影響力が強いアフリカに偏って
います。このため、アフリカ産のレアメタルであっても精錬が中国
企業に握られており、中国による寡占状態にある素材も少なくあり
ません。
コロナ禍はまた米中の関係を悪化させ、ブロック経済化に拍車を
掛けています。今後中国が太陽光パネルやレアメタルの禁輸を外交
カードとして使用する事態になると、日本の太陽光発電の普及に
急ブレーキが掛かる可能性もあります。
コロナ禍の終息は未だ見えません。私達一人ひとりが「新しい
日常」に適合していくことが、感染拡大防止のためにも環境の
ためにも重要と言えるでしょう。
【参考】
環境省 第31回総合資源エネルギー調査会 配布資料
エネルギー需要の面から新型コロナの影響を分析している。
https://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/031/pdf/031_004.pdf
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ですが、以下のメールアドレスまでご連絡お願い致します。
info@pdca.co.jp
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株式会社 パデセア 代表取締役 黒柳要次
東京都千代田区一番町23-2 千代田一番町ビル1階
TEL 03-5226-6721/FAX 03-5226-6723
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~エネルギー消費はふたたび増加傾向~
◆コロナ禍によるエネルギー消費の動向
新型コロナウイルス(COVID-19)の流行により移動や工場の稼働
が制限され、2020年の世界のCO2排出量が前年比-8%と記録的に減少
する見込みであることを本メルマガの5月号でご紹介しましたが、
これを裏付ける実測データが集まりつつあります。
(参考)メールマガジン5月号:コロナ禍によるCO2排出量減少
https://g.bmb.jp/bm/p/bn/list.php?i=pdca&no=all&m=753
国際エネルギー機関(IEA)によれば、2020年第1四半期(1~3
月)の世界のCO2排出量は、前年同月比5%以上の減少となりました。
国内では、第2次・第3次産業の落ち込みを背景に、電力需要が
大幅に減少したとのデータが出ています。3月の事業用発電電力量は
前年同月比-3.5%、4月は同じく-3.6%、5月は実に-9.2%となりま
した。その後、5月25日に緊急事態宣言が解除された結果、6月は前年
同月比-2.2%に戻っており、電力需要の大幅な減少は一時的なものに
留まりました。
一方で、テレワーク化により家庭の電力消費量は増加しています。
総務省「家計調査」によれば、3月の世帯あたり電力消費量は前年
同月比+1.7%、4月は+5.8%と増加しています。5月は-3.5%となぜか
減少しましたが、6月は+5.4%、7月も+5.4%と、ふたたび増加を見せ
ています。なお、総務省の家計調査は2人以上の家庭を対象として
おり、単身世帯が対象に含まれていない点は留意すべきでしょう。
移動の自粛により、自動車を中心とする燃料の消費量が大幅に
減少しています。経済産業省「石油統計」によれば、ガソリンの
国内向け販売量は、2020年3月は前年同月比-8.4%、4月は-22.7%、
5月は-22.4%と著しい減少を見せました。6月は-4.5%、7月は-6.1%
と、ピークは超えたものの引き続き減少傾向が続いています。軽油
も産業の停止を背景に5月には-10.6%となり、その後も-9%と減少
傾向が続いています。
◆コロナ禍がもたらした「気付き」
コロナ禍は我々に多くの気付きをもたらしました。環境面で言え
ば「会社への通勤は必ずしも不可欠ではない」ことが社会に認知
されました。会議や出張のオンライン化により、これまで当たり前
のように行われてきた「移動」の一定部分は不要のものであった事
は、今では広く知られています。経済が再起動し、電力需要が回復
している一方、燃料需要の回復が低調である点からもそれが伺え
ます。
企業の中には、コストのかかる都市部にオフィスを置くこと自体
をやめてしまう例も現れています。人材派遣大手の株式会社パソナ
は、従来東京においていた本社を淡路島へ移転することを発表しま
した。ITベンチャーの中には、従業員が顔を合わせるオフィスを
完全に廃止し、勤務地自由・完全テレワークとする企業も現れて
います。
◆コロナ禍があぶり出した「弱点」
一方で、コロナ禍は現代社会がかかえる多くの弱点も明らかに
しました。その1つが、国際的なサプライチェーンの脆弱性です。
コロナ禍はロックダウン等の形で一国の経済が突然停止する可能性
がある事を示し、ある工程や原料調達を特定の国に依存したサプラ
イチェーンは容易に崩れてしまう事を知らしめました。企業の中に
は、生産工程を海外から国内に移転する動きも出始めています。
環境との関係が深いものの中では、太陽光発電のサプライチェー
ンの脆弱性が指摘されています。近年の太陽光発電の急拡大を支え
たのは安価な中国製太陽光パネルです。加えて、その原料となる
レアメタルの産出地は中国とその影響力が強いアフリカに偏って
います。このため、アフリカ産のレアメタルであっても精錬が中国
企業に握られており、中国による寡占状態にある素材も少なくあり
ません。
コロナ禍はまた米中の関係を悪化させ、ブロック経済化に拍車を
掛けています。今後中国が太陽光パネルやレアメタルの禁輸を外交
カードとして使用する事態になると、日本の太陽光発電の普及に
急ブレーキが掛かる可能性もあります。
コロナ禍の終息は未だ見えません。私達一人ひとりが「新しい
日常」に適合していくことが、感染拡大防止のためにも環境の
ためにも重要と言えるでしょう。
【参考】
環境省 第31回総合資源エネルギー調査会 配布資料
エネルギー需要の面から新型コロナの影響を分析している。
https://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/031/pdf/031_004.pdf
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