◇◇◇パデセアメールマガジンVol.187◇◇◇「日本のEV車化に向けての課題」
2021/04/05 (Mon) 12:00
◇◇◇パデセアメールマガジンVol.187◇◇◇
日本のEV車化に向けての課題
~電気自動車と燃料電池自動車~
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本メルマガは、弊社ホームページからのお申し込みがあった方や
当社メンバーと名刺交換をさせて頂いた方に送付しています。
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【詳細公表】eco検定はインターネット経由での試験に変わります。
https://www.kentei.org/pdf/toshokentei-ibt/juken_annnai.pdf
「eco検定公式テキスト」最新第8版 発売中!
https://www.kentei.org/eco/textinfo.html
※弊社代表黒柳要次も執筆に参加しています。
【新刊案内】『SDGsをISO14001/9001で実践する
-ケーススタディと事例に学ぶSDGsとISO-』
SDGs(持続可能な開発目標)をISO14001/9001に取り入れる方法を
事例を用いて具体的に解説! 3月3日発売!
著:黒柳要次(弊社代表)
https://webdesk.jsa.or.jp/books/W11M0100/index/?syohin_cd=370186
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特集:日本のEV車化に向けての課題
~電気自動車と燃料電池自動車~
昨年12月に政府が公表した「グリーン成長戦略」の中
では、遅くとも2030年代半ばまでに国内で販売する新車
を全て電動車にする、との目標が盛り込まれました。
東京都はこれを更に前倒しし、2030年までに都内で販売
される新車を全て電動車にするとの方針を発表しています。
しかし、この「電動車」とは100%電気で稼働する
「電気自動車(EV車)」のみを指すわけではなく、電気
自動車、燃料電池自動車、ハイブリッド自動車(HV車)、
プラグインハイブリッド自動車(PHV車:外部からの電力
供給が可能なHV車)をまとめて電動車と呼んでいます。
今後も国内ではHV車が主力として販売され続けるものと
見られます。
一方、ヨーロッパ諸国やアメリカの一部州では、HV車
を含むガソリン車・ディーゼル車を2030年代に販売禁止
にする、との規制が続々と打ち出されています。中国
でも独自システムの規制により、メーカーは事実上EV車
への転換が必要となっています。
なぜ日本はHV車の販売を推進するのでしょうか。
◆日本がEV車化に踏み切らない理由
欧米でEV車転換政策が推進され、国内でHV車が引き
続き推進されている背景として、自国産業の保護という
側面があることは否定できません。HV車は日本の自動車
メーカーが得意とする分野ですから、日本がHV車を継続
使用する政策を取り、欧米諸国や中国がEV車へ移行する
政策を取るのはある種自然なことです。
もう1つの理由として挙げられるのが、日本の電力に
おける火力発電依存度の高さです。EV車は走行時には
温室効果ガスを排出しませんが、発電所で発電した電気を
充電することが必要です。EVを導入しても電気を火力
発電所で発電しているのであれば、化石燃料を燃焼する
場所がエンジンから発電所に移行しただけで、低炭素化
には繋がらない事になります。
日本と諸外国の発電エネルギー源を比較すると、日本は
火力発電への依存度が高いことが分かります。
日本:火力71% 原子力6% 再エネ20% その他(非再エネ可燃物等)3%
中国:火力68% 原子力5% 再エネ27%
米国:火力62% 原子力19% 再エネ18%
英国:火力43% 原子力17% 再エネ38% その他2%
ドイツ:火力45% 原子力12% 再エネ42% その他1%
フランス:火力9% 原子力69% 再エネ22%
(2019年IEA)
日本は電力の低炭素化が進んでおらず、現状ではEV車
導入による低炭素化効果は限定的です。まだしばらくは、
HV車を併用する時代が続くでしょう。
◆燃料電池車の展望
EV車、HV車、PHV車と並び「電動車」に分類されている
のが、水素を燃焼させる燃料電池自動車です。各地で燃料
電池路線バスが運行を開始するなど、実用化が進みつつ
ある印象のある燃料電池車ですが、EV車の代わりにこちら
を普及させるという選択肢はないのでしょうか。
トラックやディーゼル機関車のような長距離運転が必要
な大型車両は、航続距離を確保するための蓄電池があまり
に大きく・重くなってしまうためEV化が難しいとされて
います。重量制限が厳しい航空機も同様です。水素化は
これらを低炭素化する切り札と見なされています。
ただ、燃料電池車についても、EV車と同様の問題があり
ます。すなわち、走行時には確かに温室効果ガスを発生
させないものの、燃料となる水素の製造時に二酸化炭素を
発生させてしまうのです。
現状、水素の最も効率的な製造方法は、天然ガスや石油
といった化石燃料から水素を分離する方法です。しかし、
この手法では製造過程で二酸化炭素が発生してしまう
ため、二酸化炭素を回収し、地中深くに貯留・圧入する
ことが必要です(CCS)。
水を電気分解して水素を得る方法もありますが、上記
の通り日本の電気は火力発電頼みであり、やはり二酸化
炭素の発生源をすり替えただけに過ぎません。再生可能
エネルギーで発電した電気を使用すればカーボンフリーな
水素を生成できますが、国内では採算が厳しいのが現状
です。再生可能エネルギーが安価な海外で水素を製造し、
輸入することも検討されています。
冒頭でも触れた「グリーン成長戦略」は短期間で様々な
目標の達成を目指す野心的な内容となっていますが、水素
価格が下落し化石燃料に十分な価格競争力を持つように
なる年として2050年を目標としており、ハードルが高い
目標であることが分かります。燃料電池車が夢の車として
実用性を得るには、まだかなりの時間が必要です。
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メルマガの配信解除方法は以下をご覧ください。
http://pdca.co.jp/info/magazine/
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※当メールは送信専用です。お問い合わせのある場合はお手数
ですが、以下のメールアドレスまでご連絡お願い致します。
info@pdca.co.jp
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株式会社 パデセア 代表取締役 黒柳要次
東京都千代田区一番町23-2 千代田一番町ビル1階
TEL 03-5226-6721/FAX 03-5226-6723
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日本のEV車化に向けての課題
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著:黒柳要次(弊社代表)
https://webdesk.jsa.or.jp/books/W11M0100/index/?syohin_cd=370186
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~電気自動車と燃料電池自動車~
昨年12月に政府が公表した「グリーン成長戦略」の中
では、遅くとも2030年代半ばまでに国内で販売する新車
を全て電動車にする、との目標が盛り込まれました。
東京都はこれを更に前倒しし、2030年までに都内で販売
される新車を全て電動車にするとの方針を発表しています。
しかし、この「電動車」とは100%電気で稼働する
「電気自動車(EV車)」のみを指すわけではなく、電気
自動車、燃料電池自動車、ハイブリッド自動車(HV車)、
プラグインハイブリッド自動車(PHV車:外部からの電力
供給が可能なHV車)をまとめて電動車と呼んでいます。
今後も国内ではHV車が主力として販売され続けるものと
見られます。
一方、ヨーロッパ諸国やアメリカの一部州では、HV車
を含むガソリン車・ディーゼル車を2030年代に販売禁止
にする、との規制が続々と打ち出されています。中国
でも独自システムの規制により、メーカーは事実上EV車
への転換が必要となっています。
なぜ日本はHV車の販売を推進するのでしょうか。
◆日本がEV車化に踏み切らない理由
欧米でEV車転換政策が推進され、国内でHV車が引き
続き推進されている背景として、自国産業の保護という
側面があることは否定できません。HV車は日本の自動車
メーカーが得意とする分野ですから、日本がHV車を継続
使用する政策を取り、欧米諸国や中国がEV車へ移行する
政策を取るのはある種自然なことです。
もう1つの理由として挙げられるのが、日本の電力に
おける火力発電依存度の高さです。EV車は走行時には
温室効果ガスを排出しませんが、発電所で発電した電気を
充電することが必要です。EVを導入しても電気を火力
発電所で発電しているのであれば、化石燃料を燃焼する
場所がエンジンから発電所に移行しただけで、低炭素化
には繋がらない事になります。
日本と諸外国の発電エネルギー源を比較すると、日本は
火力発電への依存度が高いことが分かります。
日本:火力71% 原子力6% 再エネ20% その他(非再エネ可燃物等)3%
中国:火力68% 原子力5% 再エネ27%
米国:火力62% 原子力19% 再エネ18%
英国:火力43% 原子力17% 再エネ38% その他2%
ドイツ:火力45% 原子力12% 再エネ42% その他1%
フランス:火力9% 原子力69% 再エネ22%
(2019年IEA)
日本は電力の低炭素化が進んでおらず、現状ではEV車
導入による低炭素化効果は限定的です。まだしばらくは、
HV車を併用する時代が続くでしょう。
◆燃料電池車の展望
EV車、HV車、PHV車と並び「電動車」に分類されている
のが、水素を燃焼させる燃料電池自動車です。各地で燃料
電池路線バスが運行を開始するなど、実用化が進みつつ
ある印象のある燃料電池車ですが、EV車の代わりにこちら
を普及させるという選択肢はないのでしょうか。
トラックやディーゼル機関車のような長距離運転が必要
な大型車両は、航続距離を確保するための蓄電池があまり
に大きく・重くなってしまうためEV化が難しいとされて
います。重量制限が厳しい航空機も同様です。水素化は
これらを低炭素化する切り札と見なされています。
ただ、燃料電池車についても、EV車と同様の問題があり
ます。すなわち、走行時には確かに温室効果ガスを発生
させないものの、燃料となる水素の製造時に二酸化炭素を
発生させてしまうのです。
現状、水素の最も効率的な製造方法は、天然ガスや石油
といった化石燃料から水素を分離する方法です。しかし、
この手法では製造過程で二酸化炭素が発生してしまう
ため、二酸化炭素を回収し、地中深くに貯留・圧入する
ことが必要です(CCS)。
水を電気分解して水素を得る方法もありますが、上記
の通り日本の電気は火力発電頼みであり、やはり二酸化
炭素の発生源をすり替えただけに過ぎません。再生可能
エネルギーで発電した電気を使用すればカーボンフリーな
水素を生成できますが、国内では採算が厳しいのが現状
です。再生可能エネルギーが安価な海外で水素を製造し、
輸入することも検討されています。
冒頭でも触れた「グリーン成長戦略」は短期間で様々な
目標の達成を目指す野心的な内容となっていますが、水素
価格が下落し化石燃料に十分な価格競争力を持つように
なる年として2050年を目標としており、ハードルが高い
目標であることが分かります。燃料電池車が夢の車として
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