◇◇◇パデセアメールマガジンVol.198◇◇◇「企業の温室効果ガス削減目標 上積み傾向」
2022/03/05 (Sat) 12:00
◇◇◇パデセアメールマガジンVol.198◇◇◇
企業の温室効果ガス削減目標 上積み傾向
~気候変動対策を取らないことがリスクになる時代~
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2022年3月の任意の日に受験可能!第12回環境法令検定
ただいまお申し込み受付&試験実施中!
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2022年7月開催 環境法令検定対策オンラインセミナー 受付開始!
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eco検定最新テキスト対応の参考書!過去問・重要単語集つき!
https://www.kentei.org/eco/textinfo.html
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特集:企業の温室効果ガス削減目標 上積み傾向
~気候変動対策を取らないことがリスクになる時代~
企業の温室効果ガス削減目標の上積みが加速しています。
アサヒグループホールディングスは、2021年2月にCO2
排出量削減目標を上方修正し、「2030年までにスコープ
1・2(自社内での燃料の使用や電気等の使用で発生する
温室効果ガス)を50%減・2050年に排出量ゼロ」としま
した。セブン&アイホールディングスでは「CO2排出量を
2013年度比で2030年までに50%減、2050年までに実質
ゼロ」、トヨタ自動車は「ライフサイクル全体でのCO2
排出量を2030年までに2013年比25%減、2050年にゼロ」
と公表しています。こうした野心的な削減目標を打ち出す
企業が増加している背景を探ってみましょう。
◆2030年半減・2050年ゼロ
従来2℃を目標としていた産業革命以降の気温上昇を1.5度
に抑える必要があるとの認識が世界的に広まっています。
IPCCが2018年に公開した「1.5度特別報告書」によると、
1.5度に抑えるためには、世界全体の温室効果ガス排出量を
2030年までに2010年比45%削減し、21世紀半ばまでには
ほぼゼロにする必要があるとされており、日本がパリ協定
に基づき国連へ提出している削減目標も2021年に「2030
年に2013年度比-46%、2050年にカーボンニュートラル
達成」と強化されました。「2030年半減・2050年ゼロ」
が企業の目標として広まっているのは、これに沿ったもの
です。
これに加え、「気候変動対策の強化を打ち出す事が
経営面でのメリットに繋がる」「むしろ気候変動対策を
強化しない事はリスクを増大させる」という認識が企業の
間に広まっていることが、温室効果ガス削減を後押し
しています。
◆気候変動対策に取り組まないことで生じるリスク
1:ESG投資の拡大
経済性だけでなく環境・社会への取り組みやガバナンス
を考慮して投資先を選ぶ「ESG投資」は、すでに世界の
機関投資家の投資額の35%、国内でも25%に達しています
(GSIA2020年報告書)。環境対策を強化することで投資を
呼び込む事につながり、環境対策が不十分とみなされれば
投資が逃げていく時代が到来しています。
特にヨーロッパでは、ESG投資が加熱した結果、ESG
投資を名乗りながら実際には環境配慮が不十分な企業等が
投資を受ける「グリーンウォッシュ」が発生、この反動
からESG投資先とされるための条件が厳しくなっています。
企業はパリ協定の2度目標(2022年7月から1.5度目標に
強化)に沿った科学的な削減目標「SBT」を設定し、国際
的な認定を得るなど、より根拠と実効性のある環境対策を
求められています。
2:環境対策を求める取引先の増加
スコープ3、すなわち「自社の経済活動に関連する自社
内以外での温室効果ガス排出」を削減する企業が増加して
います。例えば、自社で生産する製品の原料採掘、他社
での加工、輸送に伴う温室効果ガス排出などがスコープ3
に該当します。
米アップル社は2030年までに「サプライチェーンを
100%カーボンニュートラルにする」と宣言しています。
同社はiPhoneをはじめとするアップル社製品の部品を生産
する企業に再生可能エネルギーへの移行を呼びかけており、
2021年時点で191社(うち20社が日本企業)がアップル社に
納入する製品の生産に使う電力を100%再エネで賄うことを
約束しています。国内でもスコープ3の排出量削減を表明
する企業が増加しており、こうした企業と取引を行うため
には排出量削減が不可欠になりつつあります。
こうしたスコープ3の削減も、リスク回避としての側面
を持ちます。環境対策が不十分な企業と取引を行った場合、
消費者からの評判や、ESG投資を行う投資家からの評価が
低下する危険性があるためです。また、スコープ3の排出
量を開示することがESG投資を行う投資家の評価対象と
なりつつあり、ESG投資を呼び込むためにはスコープ3
を公表した上でスコープ3の対象となる取引先に排出量
削減を求める事が重要となっています。
また、これまでは環境に関する情報開示の基準が乱立
しており、企業の間でも何を基準に情報公開を行うべきか
混乱が見られました。IFRS(国際関係基準)による世界
共通の気候変動リスクの情報開示基準が2022年6月をめど
に公開される予定であり、基準の明確化によりスコープ3
の公表と取引先への削減要求が一層進む可能性もあります。
◆非化石エネルギー率の目標設定 義務化へ
政府も企業の排出削減を推進しています。3月1日には、
エネルギー使用量が原油換算で年1,500kL以上の企業に
非化石エネルギーの使用割合の目標設定を義務付ける
「エネルギー使用合理化法改正案」が閣議決定されました。
今国会で成立を目指し、来年4月からの施行を目指すと
報道されています。リスク管理の面でも法的にも、企業は
今後ますます気候変動対策を強化することになるでしょう。
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メルマガの配信解除方法は以下をご覧ください。
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※当メールは送信専用です。お問い合わせのある場合はお手数
ですが、以下のメールアドレスまでご連絡お願い致します。
info@pdca.co.jp
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株式会社 パデセア 代表取締役 黒柳要次
【2021年7月より所在地・電話番号が変更となりました】
東京都千代田区岩本町2-7-13 内田ビル4階
TEL:03-5829-5963/FAX:03-5829-5964
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e-mail info@pdca.co.jp
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~気候変動対策を取らないことがリスクになる時代~
企業の温室効果ガス削減目標の上積みが加速しています。
アサヒグループホールディングスは、2021年2月にCO2
排出量削減目標を上方修正し、「2030年までにスコープ
1・2(自社内での燃料の使用や電気等の使用で発生する
温室効果ガス)を50%減・2050年に排出量ゼロ」としま
した。セブン&アイホールディングスでは「CO2排出量を
2013年度比で2030年までに50%減、2050年までに実質
ゼロ」、トヨタ自動車は「ライフサイクル全体でのCO2
排出量を2030年までに2013年比25%減、2050年にゼロ」
と公表しています。こうした野心的な削減目標を打ち出す
企業が増加している背景を探ってみましょう。
◆2030年半減・2050年ゼロ
従来2℃を目標としていた産業革命以降の気温上昇を1.5度
に抑える必要があるとの認識が世界的に広まっています。
IPCCが2018年に公開した「1.5度特別報告書」によると、
1.5度に抑えるためには、世界全体の温室効果ガス排出量を
2030年までに2010年比45%削減し、21世紀半ばまでには
ほぼゼロにする必要があるとされており、日本がパリ協定
に基づき国連へ提出している削減目標も2021年に「2030
年に2013年度比-46%、2050年にカーボンニュートラル
達成」と強化されました。「2030年半減・2050年ゼロ」
が企業の目標として広まっているのは、これに沿ったもの
です。
これに加え、「気候変動対策の強化を打ち出す事が
経営面でのメリットに繋がる」「むしろ気候変動対策を
強化しない事はリスクを増大させる」という認識が企業の
間に広まっていることが、温室効果ガス削減を後押し
しています。
◆気候変動対策に取り組まないことで生じるリスク
1:ESG投資の拡大
経済性だけでなく環境・社会への取り組みやガバナンス
を考慮して投資先を選ぶ「ESG投資」は、すでに世界の
機関投資家の投資額の35%、国内でも25%に達しています
(GSIA2020年報告書)。環境対策を強化することで投資を
呼び込む事につながり、環境対策が不十分とみなされれば
投資が逃げていく時代が到来しています。
特にヨーロッパでは、ESG投資が加熱した結果、ESG
投資を名乗りながら実際には環境配慮が不十分な企業等が
投資を受ける「グリーンウォッシュ」が発生、この反動
からESG投資先とされるための条件が厳しくなっています。
企業はパリ協定の2度目標(2022年7月から1.5度目標に
強化)に沿った科学的な削減目標「SBT」を設定し、国際
的な認定を得るなど、より根拠と実効性のある環境対策を
求められています。
2:環境対策を求める取引先の増加
スコープ3、すなわち「自社の経済活動に関連する自社
内以外での温室効果ガス排出」を削減する企業が増加して
います。例えば、自社で生産する製品の原料採掘、他社
での加工、輸送に伴う温室効果ガス排出などがスコープ3
に該当します。
米アップル社は2030年までに「サプライチェーンを
100%カーボンニュートラルにする」と宣言しています。
同社はiPhoneをはじめとするアップル社製品の部品を生産
する企業に再生可能エネルギーへの移行を呼びかけており、
2021年時点で191社(うち20社が日本企業)がアップル社に
納入する製品の生産に使う電力を100%再エネで賄うことを
約束しています。国内でもスコープ3の排出量削減を表明
する企業が増加しており、こうした企業と取引を行うため
には排出量削減が不可欠になりつつあります。
こうしたスコープ3の削減も、リスク回避としての側面
を持ちます。環境対策が不十分な企業と取引を行った場合、
消費者からの評判や、ESG投資を行う投資家からの評価が
低下する危険性があるためです。また、スコープ3の排出
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なりつつあり、ESG投資を呼び込むためにはスコープ3
を公表した上でスコープ3の対象となる取引先に排出量
削減を求める事が重要となっています。
また、これまでは環境に関する情報開示の基準が乱立
しており、企業の間でも何を基準に情報公開を行うべきか
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共通の気候変動リスクの情報開示基準が2022年6月をめど
に公開される予定であり、基準の明確化によりスコープ3
の公表と取引先への削減要求が一層進む可能性もあります。
◆非化石エネルギー率の目標設定 義務化へ
政府も企業の排出削減を推進しています。3月1日には、
エネルギー使用量が原油換算で年1,500kL以上の企業に
非化石エネルギーの使用割合の目標設定を義務付ける
「エネルギー使用合理化法改正案」が閣議決定されました。
今国会で成立を目指し、来年4月からの施行を目指すと
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