パデセアメールマガジンVol.13 -再生紙を取り巻く話題-
2008/02/06 (Wed) 13:15
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○○○ パデセアメールマガジンVol.13 ○○○
-再生紙を取り巻く話題-
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本メルマガは、弊社ホームページからのお申し込みがあった方、セミナー等に
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は巻末をご覧ください。今回のテーマは「再生紙を取り巻く話題」です。
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昨年は食品偽装などの問題で偽装が社会問題となりました。そして昨年の世相
を表す漢字は「偽」でした。今年に入ってからリサイクルの優等生と言われて
いた日本の製紙業界でも、古紙を混ぜる割合を偽っていたことが発覚し再生紙
への不信が高まっています。グリーン購入法の対象製品について法律で定めら
れた再生紙の配合比率に達していなかった点が問題視されています。
1.再生紙の偽装問題
(1)グリーン購入法に定められた古紙配合率
再生紙の古紙配合率は、グリーン購入法に基づく「環境物品等の調達の推進
に関する基本方針」で次のように定められています。
・情報用紙:コピー用紙 100%、フォーム用紙70%以上、インクジェットカ
ラープリンター用塗工紙70%以上、ジアゾ感光紙70%以上
・印刷用紙:印刷用紙70%以上
・衛生用紙:トイレットペーパー、ティッシュペーパー100%
今回の問題が最初に明るみになった「年賀はがき」はグリーン購入法の対象に
なっていませんが、契約により配合率が設定されています。
(2)古紙配合率の実態
しかし、再生紙の古紙配合率がグリーン購入法等の基準を満たさない事態が相
次いで明らかになりました。新聞報道によると、N社製品では、「年賀はがき」
で公称配合率40%が実際の配合率1%、「コピー用紙」公称100%が59%、
「印刷用紙」公称70%が50%等、公称の配合率と実績に開きがありました。
他の製紙各社でも同様の偽装が明らかになりました。
経済産業省は、日本製紙連合会に対して実態調査を要請しその結果を公表しま
した。それによると、グリーン購入法の基準や契約により古紙配合率が設定され
ている紙製品について、基準や契約を満たさない製品を供給した会社は13社、
再生紙はがきの古紙配合率の基準を満たさなかった製品を供給した会社は6社と
報告しています。
原因として、白色度などの品質基準が高まり、また、高品質古紙の入手が困難と
なる中で技術的な対応ができないまま、古紙配合率の基準を守ることよりも品質
を維持することを優先させたこと等を挙げています。
(3)グリーン購入法の見直し
グリーン購入法の義務がある官公庁で使うコピー用紙は年間約6万トン。グリーン
購入法に基づいて官庁での使用が定められた100%古紙のコピー用紙を作れるのは
現時点では1社のみで、他社は配合率を30~40%程度まで下げない限り供給が難し
いことが判り、官公庁でコピー用紙不足が切迫した問題となりつつあります。
環境省は、“緊急避難的にグリーン購入法の基準を満たさない製品でも、当面は
条件付で認める方針を決めた、3月末までにグリーン購入法を見直し対応を検討す
る予定である”と報道されています。
2.古紙を取り巻く現状
今回の問題の背景の一つとして、高品質古紙の入手が困難であることが挙げられ
ていました。古紙を取り巻く日本の現状を調べてみました。データは「日本製紙
連合会」及び「(財)古紙再生促進センター」の公表資料に基づいています。
(1)紙の生産量と古紙利用
一般に紙と呼んでいるものは、「紙」(新聞、雑誌、印刷用紙、コピー用紙、包装
用紙、ノート、ティッシュペーパー等)と「板紙」(段ボール、紙箱等)の2種類
に分けられています。2006年の日本における紙・板紙の生産量は約3,100万トン
(アメリカ、中国に次いで世界第3位)で、その内訳は「紙」が61%強、「板紙」39%
弱となっています。
この原料となるのが、古紙と木材パルプで、その消費量は古紙が約1,880万トン、
木材パルプが約1,230万トンとなっており、古紙は製紙原料の60%強を占めています。
(2)古紙回収及び古紙利用の状況
古紙回収率*は1990年代では50%台で推移してきましたが、ここ数年で著しい伸び
があり2006年には72.4%となっています。回収率急上昇の最大の原因は、輸出の急
速な拡大です。
一方、古紙利用率*は、1990年代前半は50%をわずか越えた程度でしたが、その後
上昇傾向にあり、2006年には60.6%となっています。資源有効利用促進法では2010
年度までに62%とする目標が設定されています。
(3)古紙の輸出の状況
古紙の輸出は、2001年に100万トン台になって以降、年々増加し2006年では389万
トンとなっています。日本国内の製紙用原料消費量2006年度実績約3,100万トン強
に対して12.3%に相当しています。この古紙輸出需要が、古紙回収率を大きく押
し上げているといえます。古紙輸出先のシェアは、中国が圧倒的に大きく2002年
では51%だったものが2006年には82%を超えています。しかし1月31日付けの新聞
では、“2007年の古紙輸出量は8年ぶりに前年比減少した、製紙原料を確保したい
日本の製紙各社が古紙の買い取り価格を引き上げ、中国への流出拡大を食い止め
たことが主因だ”と報道しています。
今後温室効果ガス排出の規制強化が企業の生き残りを左右しかねない事情に加えて、
再生紙などの「エコ」商品が差別化する有力な武器になることが考えられます。
環境重視の企業経営が最重要課題となる中で、二度と今回のような事態が起きない
よう各企業におけるコンプライアンス体制の確立が望まれます。
*「古紙回収率」は「古紙回収量」÷「紙・板紙消費量」。
国内で消費した紙・板紙のうち、国内で古紙として回収された割合。
「古紙利用率」は「古紙消費量」÷「製紙用繊維原料合計消費量」。
製紙用繊維原料全体に占める古紙の割合。
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★2008年度環境社会検定試験催日程が東京商工会議所より公表されました
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・第4回試験日: 7月20日(日) 申込期間: 5/7~6/6
・第5回試験日:12月21日(日) 申込期間:10/7~11/7
詳細は東京商工会議所HPをご覧ください。http://www.kentei.org/
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★書籍【改訂版 環境社会検定試験公式テキスト】の発売は3月初旬予定
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2008年以降の試験に対応する改訂版公式テキストは、当初2月の発売を予定され
ていましたが、3月初旬となるようです。もう少々お待ちください。
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★エコ検定対策セミナー公開コース開催予定
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昨年第3回目の試験前に、3回(約165名)のセミナーを開催し、好評を頂きました。
今年は、第4回の試験に向けて以下の3回のセミナーを実施します。
申込受付は4月以降を予定しています。詳細はまたHPでご案内しますので少々お待ち
ください。
・5月17日(土) ・6月18日(水) ・7月5日(土)(3回とも東京開催です)
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★通信教育、Eラーニング、書籍「eco検定ポイント集中レッスン」改訂中
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2008年度試験にむけて、エコ検定のeラーニング、通信教育、および
弊社執筆の参考書「eco検定ポイント集中レッスン」を現在改訂中です。
詳細は、HPでご案内しますが4月以降リリース予定ですので、少々お待ちください。
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株式会社 パデセア 代表取締役 黒柳要次
東京都中央区新川1-22-12ニッテイビル4F
TEL 03-5541-6281 FAX 03-5541-1166
http://www.pdca.co.jp/ email:info@pdca.co.jp
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昨年は食品偽装などの問題で偽装が社会問題となりました。そして昨年の世相
を表す漢字は「偽」でした。今年に入ってからリサイクルの優等生と言われて
いた日本の製紙業界でも、古紙を混ぜる割合を偽っていたことが発覚し再生紙
への不信が高まっています。グリーン購入法の対象製品について法律で定めら
れた再生紙の配合比率に達していなかった点が問題視されています。
1.再生紙の偽装問題
(1)グリーン購入法に定められた古紙配合率
再生紙の古紙配合率は、グリーン購入法に基づく「環境物品等の調達の推進
に関する基本方針」で次のように定められています。
・情報用紙:コピー用紙 100%、フォーム用紙70%以上、インクジェットカ
ラープリンター用塗工紙70%以上、ジアゾ感光紙70%以上
・印刷用紙:印刷用紙70%以上
・衛生用紙:トイレットペーパー、ティッシュペーパー100%
今回の問題が最初に明るみになった「年賀はがき」はグリーン購入法の対象に
なっていませんが、契約により配合率が設定されています。
(2)古紙配合率の実態
しかし、再生紙の古紙配合率がグリーン購入法等の基準を満たさない事態が相
次いで明らかになりました。新聞報道によると、N社製品では、「年賀はがき」
で公称配合率40%が実際の配合率1%、「コピー用紙」公称100%が59%、
「印刷用紙」公称70%が50%等、公称の配合率と実績に開きがありました。
他の製紙各社でも同様の偽装が明らかになりました。
経済産業省は、日本製紙連合会に対して実態調査を要請しその結果を公表しま
した。それによると、グリーン購入法の基準や契約により古紙配合率が設定され
ている紙製品について、基準や契約を満たさない製品を供給した会社は13社、
再生紙はがきの古紙配合率の基準を満たさなかった製品を供給した会社は6社と
報告しています。
原因として、白色度などの品質基準が高まり、また、高品質古紙の入手が困難と
なる中で技術的な対応ができないまま、古紙配合率の基準を守ることよりも品質
を維持することを優先させたこと等を挙げています。
(3)グリーン購入法の見直し
グリーン購入法の義務がある官公庁で使うコピー用紙は年間約6万トン。グリーン
購入法に基づいて官庁での使用が定められた100%古紙のコピー用紙を作れるのは
現時点では1社のみで、他社は配合率を30~40%程度まで下げない限り供給が難し
いことが判り、官公庁でコピー用紙不足が切迫した問題となりつつあります。
環境省は、“緊急避難的にグリーン購入法の基準を満たさない製品でも、当面は
条件付で認める方針を決めた、3月末までにグリーン購入法を見直し対応を検討す
る予定である”と報道されています。
2.古紙を取り巻く現状
今回の問題の背景の一つとして、高品質古紙の入手が困難であることが挙げられ
ていました。古紙を取り巻く日本の現状を調べてみました。データは「日本製紙
連合会」及び「(財)古紙再生促進センター」の公表資料に基づいています。
(1)紙の生産量と古紙利用
一般に紙と呼んでいるものは、「紙」(新聞、雑誌、印刷用紙、コピー用紙、包装
用紙、ノート、ティッシュペーパー等)と「板紙」(段ボール、紙箱等)の2種類
に分けられています。2006年の日本における紙・板紙の生産量は約3,100万トン
(アメリカ、中国に次いで世界第3位)で、その内訳は「紙」が61%強、「板紙」39%
弱となっています。
この原料となるのが、古紙と木材パルプで、その消費量は古紙が約1,880万トン、
木材パルプが約1,230万トンとなっており、古紙は製紙原料の60%強を占めています。
(2)古紙回収及び古紙利用の状況
古紙回収率*は1990年代では50%台で推移してきましたが、ここ数年で著しい伸び
があり2006年には72.4%となっています。回収率急上昇の最大の原因は、輸出の急
速な拡大です。
一方、古紙利用率*は、1990年代前半は50%をわずか越えた程度でしたが、その後
上昇傾向にあり、2006年には60.6%となっています。資源有効利用促進法では2010
年度までに62%とする目標が設定されています。
(3)古紙の輸出の状況
古紙の輸出は、2001年に100万トン台になって以降、年々増加し2006年では389万
トンとなっています。日本国内の製紙用原料消費量2006年度実績約3,100万トン強
に対して12.3%に相当しています。この古紙輸出需要が、古紙回収率を大きく押
し上げているといえます。古紙輸出先のシェアは、中国が圧倒的に大きく2002年
では51%だったものが2006年には82%を超えています。しかし1月31日付けの新聞
では、“2007年の古紙輸出量は8年ぶりに前年比減少した、製紙原料を確保したい
日本の製紙各社が古紙の買い取り価格を引き上げ、中国への流出拡大を食い止め
たことが主因だ”と報道しています。
今後温室効果ガス排出の規制強化が企業の生き残りを左右しかねない事情に加えて、
再生紙などの「エコ」商品が差別化する有力な武器になることが考えられます。
環境重視の企業経営が最重要課題となる中で、二度と今回のような事態が起きない
よう各企業におけるコンプライアンス体制の確立が望まれます。
*「古紙回収率」は「古紙回収量」÷「紙・板紙消費量」。
国内で消費した紙・板紙のうち、国内で古紙として回収された割合。
「古紙利用率」は「古紙消費量」÷「製紙用繊維原料合計消費量」。
製紙用繊維原料全体に占める古紙の割合。
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★2008年度環境社会検定試験催日程が東京商工会議所より公表されました
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・第4回試験日: 7月20日(日) 申込期間: 5/7~6/6
・第5回試験日:12月21日(日) 申込期間:10/7~11/7
詳細は東京商工会議所HPをご覧ください。http://www.kentei.org/
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★書籍【改訂版 環境社会検定試験公式テキスト】の発売は3月初旬予定
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2008年以降の試験に対応する改訂版公式テキストは、当初2月の発売を予定され
ていましたが、3月初旬となるようです。もう少々お待ちください。
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★エコ検定対策セミナー公開コース開催予定
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昨年第3回目の試験前に、3回(約165名)のセミナーを開催し、好評を頂きました。
今年は、第4回の試験に向けて以下の3回のセミナーを実施します。
申込受付は4月以降を予定しています。詳細はまたHPでご案内しますので少々お待ち
ください。
・5月17日(土) ・6月18日(水) ・7月5日(土)(3回とも東京開催です)
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★通信教育、Eラーニング、書籍「eco検定ポイント集中レッスン」改訂中
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2008年度試験にむけて、エコ検定のeラーニング、通信教育、および
弊社執筆の参考書「eco検定ポイント集中レッスン」を現在改訂中です。
詳細は、HPでご案内しますが4月以降リリース予定ですので、少々お待ちください。
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株式会社 パデセア 代表取締役 黒柳要次
東京都中央区新川1-22-12ニッテイビル4F
TEL 03-5541-6281 FAX 03-5541-1166
http://www.pdca.co.jp/ email:info@pdca.co.jp
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