◇◇◇パデセアメールマガジンVol.199◇◇◇「電力需給逼迫警報の発令」
2022/04/05 (Tue) 12:00
◇◇◇パデセアメールマガジンVol.199◇◇◇
電力需給逼迫警報の発令
~太陽光発電の課題~
------------------------------------------------------------
2022年7月開催 環境法令検定対策オンラインセミナー 受付中!
https://ecohourei.jp/seminar-submit/
環境法令検定推薦図書「ISO環境法クイックガイド」2022年版発売!
https://www.daiichihoki.co.jp/store/products/detail/104418.html
-----------------------------------------------------------
特集:電力需給逼迫警報の発令
~太陽光発電の課題~
3月22日、政府は2011年の制度創設後初の「電力需給
逼迫警報」を発令しました。東京電力と東北電力の管内で
電力が不足し、両電力会社の管轄地域すべてが停電する
「ブラックアウト」が発生するか、もしくはそれを防ぐ
ために広範囲で停電させざるを得ない状況が近づいたため
です。幸いにも大規模停電の発生には至らず、翌23日には
電力需給逼迫警報は解除されました。
電力不足の最大の原因は、3月16日に東北地方で最大
震度6強の地震が発生し、火力発電所14基が停止して
しまったことです。しかし、電力不足は3月16日ではなく、
停止している発電所が6基まで減った22日に発生しました。
なぜこの日に電力が不足したのでしょうか。
◆電力不足の理由
電力不足が22日に発生したのは、上記の地震による火力
発電所の停止に加え、以下の事項がまとめて発生したこと
と分析されています。
・3月19日、磯子火力発電所が地震と無関係なトラブルで停止。
・暖房需要が少ない春季に入ったため、一部火力発電所は補修点検のために計画停止中。
・3月22日、数十年に一度の真冬並みの寒さが襲来して暖房需要が大幅に拡大。
・同日、天気が雨や雪となったことで太陽光発電の出力が設備容量の1/10に激減。
翌23日は気温が10度まで上がって暖房需要が減少した
事に加え、天候が回復して太陽光発電が稼働を再開した
ことで、電力の逼迫は解消されました。太陽光発電の発電
量が時間や天候に左右されたいへん不安定であることが、
今回の電力逼迫を招いた原因の1つと言えます。
◆気まぐれな太陽光発電
太陽光発電は、2020年度には日本の発電量の7.9%を
担っており、火力・水力に次ぐ発電量第3位の重要な電源
となっています。しかし、今回のように全国的な悪天候に
見舞われた場合、日本全体で発電量が極端に低下してしま
いますし、平時でも天候や時間によって発電量は変動を
続けます。
電気は、消費量(需要)と発電量(供給)が一致して
いないと、東日本は50ヘルツ、西日本は60ヘルツで維持
されている電気の周波数(言わば電気の「品質」)が
乱れてしまいます。周波数を維持できなくなった場合、
安全装置が発動して発電所が停止し、場合によっては
大停電が発生してしまいます。
従来、この需要と供給のバランスは、出力を調整し
やすい火力発電所の発電量を秒単位で増減することで
保たれてきました。しかし、発電量のぶれが大きい太陽光
発電が拡大したことで、電気の供給が過大・または過小
となり、火力発電だけでは周波数の調整が難しくなって
います。既に、九州電力管内では2018年以降慢性的に
供給過大が生じており、輪番で太陽光発電所からの電気の
出力を一部停止している状況です。
◆不安定な再生可能エネルギーと付き合うために
日本は2050年カーボンニュートラルを目標としており、
今後も太陽光発電や風力発電といった不安定な再エネ発電の
増設は避けられません。この不安定な発電源を用いながら、
需要と供給のバランスを維持する方法が模索されています。
1つは送電網の増強です。ある地域で電力が不足または
過剰になった場合、他の地域と電力を融通し調整する
仕組みが構築されています。例えば、中部電力と東京電力
はもともと120万kWの融通が可能でしたが、現在は210万
kWに強化され、2027年度には300万kWまで増強される
見込みです。
もう1つが蓄電池の利用です。大容量蓄電池を設置し、
太陽光発電による発電量の多い時に充電、少ない時には
放電を行います。これにより電気の需要と供給を平均化し、
火力発電所の負担を減らそうというものです。九州や北海道
で実証事業が行われ、その有効性が確認されています。
送電網の増強も、大容量蓄電池も、予算や技術の制約
からまだ思うように拡大できていません。しかし世界が
脱炭素化に向かう以上、再生可能エネルギーの導入と系統
安定化の両立は避けて通れない問題です。東京を闇夜に
しないため、今後も再生可能エネルギーとの上手な付き
合い方が求められていきます。
参考:資源エネルギー庁「2022年3月の東日本における 電力需給ひっ迫に係る検証について」
https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/denryoku_gas/pdf/046_03_01.pdf
-----------------------------------------------------------
メルマガの配信解除方法は以下をご覧ください。
http://pdca.co.jp/info/magazine/
------------------------------------------------------------
※当メールは送信専用です。お問い合わせのある場合はお手数
ですが、以下のメールアドレスまでご連絡お願い致します。
info@pdca.co.jp
------------------------------------------------------------
株式会社 パデセア 代表取締役 黒柳要次
東京都千代田区岩本町2-7-13 内田ビル4階
TEL:03-5829-5963/FAX:03-5829-5964
http://www.pdca.co.jp
e-mail info@pdca.co.jp
電力需給逼迫警報の発令
~太陽光発電の課題~
------------------------------------------------------------
2022年7月開催 環境法令検定対策オンラインセミナー 受付中!
https://ecohourei.jp/seminar-submit/
環境法令検定推薦図書「ISO環境法クイックガイド」2022年版発売!
https://www.daiichihoki.co.jp/store/products/detail/104418.html
-----------------------------------------------------------
特集:電力需給逼迫警報の発令
~太陽光発電の課題~
3月22日、政府は2011年の制度創設後初の「電力需給
逼迫警報」を発令しました。東京電力と東北電力の管内で
電力が不足し、両電力会社の管轄地域すべてが停電する
「ブラックアウト」が発生するか、もしくはそれを防ぐ
ために広範囲で停電させざるを得ない状況が近づいたため
です。幸いにも大規模停電の発生には至らず、翌23日には
電力需給逼迫警報は解除されました。
電力不足の最大の原因は、3月16日に東北地方で最大
震度6強の地震が発生し、火力発電所14基が停止して
しまったことです。しかし、電力不足は3月16日ではなく、
停止している発電所が6基まで減った22日に発生しました。
なぜこの日に電力が不足したのでしょうか。
◆電力不足の理由
電力不足が22日に発生したのは、上記の地震による火力
発電所の停止に加え、以下の事項がまとめて発生したこと
と分析されています。
・3月19日、磯子火力発電所が地震と無関係なトラブルで停止。
・暖房需要が少ない春季に入ったため、一部火力発電所は補修点検のために計画停止中。
・3月22日、数十年に一度の真冬並みの寒さが襲来して暖房需要が大幅に拡大。
・同日、天気が雨や雪となったことで太陽光発電の出力が設備容量の1/10に激減。
翌23日は気温が10度まで上がって暖房需要が減少した
事に加え、天候が回復して太陽光発電が稼働を再開した
ことで、電力の逼迫は解消されました。太陽光発電の発電
量が時間や天候に左右されたいへん不安定であることが、
今回の電力逼迫を招いた原因の1つと言えます。
◆気まぐれな太陽光発電
太陽光発電は、2020年度には日本の発電量の7.9%を
担っており、火力・水力に次ぐ発電量第3位の重要な電源
となっています。しかし、今回のように全国的な悪天候に
見舞われた場合、日本全体で発電量が極端に低下してしま
いますし、平時でも天候や時間によって発電量は変動を
続けます。
電気は、消費量(需要)と発電量(供給)が一致して
いないと、東日本は50ヘルツ、西日本は60ヘルツで維持
されている電気の周波数(言わば電気の「品質」)が
乱れてしまいます。周波数を維持できなくなった場合、
安全装置が発動して発電所が停止し、場合によっては
大停電が発生してしまいます。
従来、この需要と供給のバランスは、出力を調整し
やすい火力発電所の発電量を秒単位で増減することで
保たれてきました。しかし、発電量のぶれが大きい太陽光
発電が拡大したことで、電気の供給が過大・または過小
となり、火力発電だけでは周波数の調整が難しくなって
います。既に、九州電力管内では2018年以降慢性的に
供給過大が生じており、輪番で太陽光発電所からの電気の
出力を一部停止している状況です。
◆不安定な再生可能エネルギーと付き合うために
日本は2050年カーボンニュートラルを目標としており、
今後も太陽光発電や風力発電といった不安定な再エネ発電の
増設は避けられません。この不安定な発電源を用いながら、
需要と供給のバランスを維持する方法が模索されています。
1つは送電網の増強です。ある地域で電力が不足または
過剰になった場合、他の地域と電力を融通し調整する
仕組みが構築されています。例えば、中部電力と東京電力
はもともと120万kWの融通が可能でしたが、現在は210万
kWに強化され、2027年度には300万kWまで増強される
見込みです。
もう1つが蓄電池の利用です。大容量蓄電池を設置し、
太陽光発電による発電量の多い時に充電、少ない時には
放電を行います。これにより電気の需要と供給を平均化し、
火力発電所の負担を減らそうというものです。九州や北海道
で実証事業が行われ、その有効性が確認されています。
送電網の増強も、大容量蓄電池も、予算や技術の制約
からまだ思うように拡大できていません。しかし世界が
脱炭素化に向かう以上、再生可能エネルギーの導入と系統
安定化の両立は避けて通れない問題です。東京を闇夜に
しないため、今後も再生可能エネルギーとの上手な付き
合い方が求められていきます。
参考:資源エネルギー庁「2022年3月の東日本における 電力需給ひっ迫に係る検証について」
https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/denryoku_gas/pdf/046_03_01.pdf
-----------------------------------------------------------
メルマガの配信解除方法は以下をご覧ください。
http://pdca.co.jp/info/magazine/
------------------------------------------------------------
※当メールは送信専用です。お問い合わせのある場合はお手数
ですが、以下のメールアドレスまでご連絡お願い致します。
info@pdca.co.jp
------------------------------------------------------------
株式会社 パデセア 代表取締役 黒柳要次
東京都千代田区岩本町2-7-13 内田ビル4階
TEL:03-5829-5963/FAX:03-5829-5964
http://www.pdca.co.jp
e-mail info@pdca.co.jp