◇◇◇パデセアメールマガジンVol.201◇◇◇「野生鳥獣による農業被害」
2022/06/07 (Tue) 13:00
◇◇◇パデセアメールマガジンVol.201◇◇◇
野生鳥獣による農業被害
~年間被害額150億円~
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https://ecohourei.jp/seminar-submit/
第32回eco検定 6/15より受付開始!ご自宅で受験可能!
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3月検定の問題も収録!
https://www.ecohourei.jp/textbook/#mondaishu
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特集:野生鳥獣による農業被害
~年間被害額150億円~
高度経済成長期に日本は多くの公害を経験しそれを克服
してきましたが、バブル崩壊後に急激に悪化した環境問題
として「獣害」があります。
獣害とは広義には野生動物により人の生活や産業に与え
られるあらゆる害を指しますが、特に日本で問題となって
いるのはシカ・サル・イノシシ等の動物による農業への
被害です。本来山の中に住んでいるこれらの動物が、農村
へと降りてきて農作物を食い荒らす事が増加。野生鳥獣に
よる農業被害額は、2010年度には実に239億円を記録して
います。獣害の原因と実態を見てみましょう。
◆獣害深刻化の原因
獣害増加の原因は複合的ですが、特に以下の点が指摘
されています。
・地方の高齢化などで耕作放棄地が増加し、動物が雑草を
食べたり身を隠したりできる場所が農村に多くなった
・地球温暖化により越冬しやすくなり、冬の間に死ぬ動物
が減り個体数が増えやすくなった
・気候変動による積雪量の減少により、足が短く雪を苦手
とするイノシシの生息範囲が拡大した
・食肉が安価になって野生動物を狩猟する必要が減った
・ニホンオオカミを絶滅させてしまったため、増えすぎた
シカやイノシシを捕食する肉食動物が存在しない
様々な事情が複合した結果、野生動物が「増えやすく、
減りにくい」状況が定着。環境省の推計(中央値)では、
シカ(エゾシカ除く)の生息数は1989年度の25万頭から
2014年度には255万頭、イノシシの生息数は1989年度の
19万頭から2010年度には146万頭と、異常に増加して
しまいました。
◆獣害はピークアウト傾向
拡大する獣害に歯止めをかけるため。2007年、「鳥獣
被害防止特措法」が成立。現場に最も近い行政である市町村
が、地域の実情に合わせて獣害対策を取る体制が整えられ
ました。
財政面では、市町村が被害防止計画に基づいて実施する
取組の事業費の5割~8割が国からの特別交付税により
まかなわれるなど、大幅な支援体制が構築されています。
長年課題となっていた捕獲等の対策人材の不足について
は、市町村が職員や民間人から「鳥獣被害対策実施隊」
を組織し、捕獲や防護柵の実施などの活動を行う制度を
設けました。民間から参加した隊員は公務員扱いとなり
報酬が支払われるほか、狩猟税の減免、ライフル銃所持
許可の緩和などの優遇措置が受けられます。
これに加え、2014年には「鳥獣保護法」が改正され
「鳥獣保護管理法」が成立。鳥獣の生息数を適性な水準
に減少させる「鳥獣の管理」が目的に加えられ、狩猟に
関する規制緩和などが行われました。
獣害対策の効果を3つの指標で見てみましょう。
<野生鳥獣の捕獲頭数>
野生鳥獣の捕獲頭数は急増しています。2007年度(H19)の
シカの捕獲頭数は年間約21万頭、イノシシは約23万頭で
した。2020年度にはシカが67万頭、イノシシは68万頭と、
いずれも約3倍となっています。
<シカ・イノシシの個体数>
捕獲強化が奏功し、シカ(エゾシカ除く)の個体数は
ピークだった2014年度の255万頭から2020年度には218
万頭に減少。イノシシは2010年度の146万頭から2020年
度は87万頭と、大幅に減少しています。
<野生鳥獣による農業被害額>
個体数の減少に加え、電気柵の普及、地道な追い払いなど
も効果を発揮し、野生鳥獣による農業被害額は大幅に減少
しました。2010年度の239億円をピークに年々減少し、
2018年度には158億円と、8年で33%もの減少に成功して
います。
ほんの十数年前までは打つ手なしと思われていた獣害は、
数年で大幅な改善に成功しました。適切な施策により、
困難な環境問題も改善に導くことが可能といえるでしょう。
また、捕獲した野生動物をジビエとして食材利用し、地域
活性化に活かす試みも行われています。
ただし、農業被害額の減少は2018年度以降足踏みして
おり、最新の統計である2020年度は161億円と微増して
います。さらなる獣害軽減のためには、更に踏み込んだ対策
が必要である事が伺えます。
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※当メールは送信専用です。お問い合わせのある場合はお手数
ですが、以下のメールアドレスまでご連絡お願い致します。
info@pdca.co.jp
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株式会社 パデセア 代表取締役 黒柳要次
東京都千代田区岩本町2-7-13 内田ビル4階
TEL:03-5829-5963/FAX:03-5829-5964
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~年間被害額150億円~
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してきましたが、バブル崩壊後に急激に悪化した環境問題
として「獣害」があります。
獣害とは広義には野生動物により人の生活や産業に与え
られるあらゆる害を指しますが、特に日本で問題となって
いるのはシカ・サル・イノシシ等の動物による農業への
被害です。本来山の中に住んでいるこれらの動物が、農村
へと降りてきて農作物を食い荒らす事が増加。野生鳥獣に
よる農業被害額は、2010年度には実に239億円を記録して
います。獣害の原因と実態を見てみましょう。
◆獣害深刻化の原因
獣害増加の原因は複合的ですが、特に以下の点が指摘
されています。
・地方の高齢化などで耕作放棄地が増加し、動物が雑草を
食べたり身を隠したりできる場所が農村に多くなった
・地球温暖化により越冬しやすくなり、冬の間に死ぬ動物
が減り個体数が増えやすくなった
・気候変動による積雪量の減少により、足が短く雪を苦手
とするイノシシの生息範囲が拡大した
・食肉が安価になって野生動物を狩猟する必要が減った
・ニホンオオカミを絶滅させてしまったため、増えすぎた
シカやイノシシを捕食する肉食動物が存在しない
様々な事情が複合した結果、野生動物が「増えやすく、
減りにくい」状況が定着。環境省の推計(中央値)では、
シカ(エゾシカ除く)の生息数は1989年度の25万頭から
2014年度には255万頭、イノシシの生息数は1989年度の
19万頭から2010年度には146万頭と、異常に増加して
しまいました。
◆獣害はピークアウト傾向
拡大する獣害に歯止めをかけるため。2007年、「鳥獣
被害防止特措法」が成立。現場に最も近い行政である市町村
が、地域の実情に合わせて獣害対策を取る体制が整えられ
ました。
財政面では、市町村が被害防止計画に基づいて実施する
取組の事業費の5割~8割が国からの特別交付税により
まかなわれるなど、大幅な支援体制が構築されています。
長年課題となっていた捕獲等の対策人材の不足について
は、市町村が職員や民間人から「鳥獣被害対策実施隊」
を組織し、捕獲や防護柵の実施などの活動を行う制度を
設けました。民間から参加した隊員は公務員扱いとなり
報酬が支払われるほか、狩猟税の減免、ライフル銃所持
許可の緩和などの優遇措置が受けられます。
これに加え、2014年には「鳥獣保護法」が改正され
「鳥獣保護管理法」が成立。鳥獣の生息数を適性な水準
に減少させる「鳥獣の管理」が目的に加えられ、狩猟に
関する規制緩和などが行われました。
獣害対策の効果を3つの指標で見てみましょう。
<野生鳥獣の捕獲頭数>
野生鳥獣の捕獲頭数は急増しています。2007年度(H19)の
シカの捕獲頭数は年間約21万頭、イノシシは約23万頭で
した。2020年度にはシカが67万頭、イノシシは68万頭と、
いずれも約3倍となっています。
<シカ・イノシシの個体数>
捕獲強化が奏功し、シカ(エゾシカ除く)の個体数は
ピークだった2014年度の255万頭から2020年度には218
万頭に減少。イノシシは2010年度の146万頭から2020年
度は87万頭と、大幅に減少しています。
<野生鳥獣による農業被害額>
個体数の減少に加え、電気柵の普及、地道な追い払いなど
も効果を発揮し、野生鳥獣による農業被害額は大幅に減少
しました。2010年度の239億円をピークに年々減少し、
2018年度には158億円と、8年で33%もの減少に成功して
います。
ほんの十数年前までは打つ手なしと思われていた獣害は、
数年で大幅な改善に成功しました。適切な施策により、
困難な環境問題も改善に導くことが可能といえるでしょう。
また、捕獲した野生動物をジビエとして食材利用し、地域
活性化に活かす試みも行われています。
ただし、農業被害額の減少は2018年度以降足踏みして
おり、最新の統計である2020年度は161億円と微増して
います。さらなる獣害軽減のためには、更に踏み込んだ対策
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