◇◇◇パデセアメールマガジンVol.207◇◇◇「COP27」
2022/12/05 (Mon) 12:00
◇◇◇パデセアメールマガジンVol.207◇◇◇
COP27閉幕
~「ロス&ダメージ」で大きな進展~
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https://www.ecohourei.jp/textbook/#mondaishu
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特集:COP27閉幕~「ロス&ダメージ」で大きな進展~
11月6日~20日にかけ、国連気候変動枠組条約第27回
締約国会議(COP27)がエジプトのシャルム・エル・
シェイクで開催されました。
今回の会議では温室効果ガスの削減についてはあまり前進
が見られなかった一方で、途上国の「ロス&ダメージ」に
対する資金援助が大きな議題となりました。
◆「ロス&ダメージ/損失と被害」とは?
気候変動には「緩和」と「適応」という2つの対処がある
と言われています。緩和は温室効果ガスの排出量を減らす
など、気候変動を押し留めようとする対策。適応は気候変動
により悪影響が発生することを前提に、その影響を減らそう
とする対策です。
ロス&ダメージ、あるいは「損失と被害」とは、気候変動
に適応できずに発生してしまった被害を指します。具体的
には、異常気象の被害、海面上昇による沿岸部の土地の消滅、
それらにより強いられる住民の移住、それによる地域コミュ
ニティの崩壊などが挙げられます。
気候変動枠組条約は緩和と適応を取り上げていますが、
実際に発生した損失と被害にどう対応するかが記載されて
いません。また、損失・被害は特に途上国で重大な影響を
与える一方、こうした国々の温室効果ガス排出量はわずか
です。そのため、島嶼国を中心とする途上国は、途上国で
発生したロス&ダメージに対し、温室効果ガスの主要な
発生源である先進国が資金面で支援する制度の創設を長年
にわたり主張してきました。
一方で、先進国はロス&ダメージを議題とする事を避け
てきました。気候変動の影響はあまりに大きく、一度ロス
&ダメージに対する資金援助の仕組みを作ると無制限に
責任を強いられかねないという警戒があるためです。ロス
&ダメージへの対策資金についてはパリ協定でも盛り込
まれず、長らく先送りが続けられてきました。
しかし、その間にも気候変動は着実に進行を進めて
いました。2022年には、パキスタンで国土の1/3が水没
したとも言われる大洪水が発生。インフラが脆弱な国では
気候変動が国家の存亡に関わるほどの損失と被害を生じ
うる事が浮き彫りになりました。気候変動はロス&
ダメージの問題をこれ以上先延ばしにできない状況まで
進行していたのです。
◆基金の設立が決定
ロス&ダメージを最も受けやすい地域であるアフリカで
開催された今回のCOPでは、初めてロス&ダメージのため
の資金が正式な議題となりました。資金の提供者は誰か、
提供先となる国々はどこかなど議論は紛糾しましたが、
最終的には「2023年のCOP28で、ロス&ダメージに
フォーカスした基金を設立する」事が決定しました。
資金の提供先となる「途上国の中でも特に脆弱な国々」
の範囲など、具体的な内容は今後の議論で固めるべき部分
が多く、今のところは「基金設立に向けた議論を始める
ことが決まった」段階に過ぎません。しかし、ロス&
ダメージ資金は気候変動枠組条約の締結前、実に1990年代
初頭から提起されていた実に30年越しの問題でした。環境
分野で続く「先進国vs途上国」の対立の解決に向け、世界
は大きな一歩を踏み出したといえます。
◆温室効果ガス削減は停滞
ロス&ダメージの議論が進展した一方で、COP全体の
総括となる全体決定についてはCOP26から大きな進歩は
見られませんでした。気温上昇については「1.5℃目標の
追求を決意」各国には「2030年削減目標の見直し・強化を
求める」など、COP26の全体決定とほぼ同じ文言が並んで
います。
パキスタンの大洪水は、気候変動が大きな被害を途上国
に強いる事を示し、ロス&ダメージ基金の設立の一因と
なりました。一方で、ロシアのウクライナ侵攻に伴う
エネルギー危機を背景に、各国でエネルギー源の確保が
重要課題となり、脱炭素化への機運は退潮しているように
見えます。一方、エネルギーの調達を特定の地域、国に頼る
リスクが浮き彫りになったとも言え、中長期的にはエネルギー
の自給自足となる持続可能なエネルギーへの転換が進みそう
です。COP27は、こうした難しい状況の中での国際情勢を
反映した結果になったと言えます。
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ですが、以下のメールアドレスまでご連絡お願い致します。
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株式会社 パデセア 代表取締役 黒柳要次
東京都千代田区岩本町2-7-13 内田ビル4階
TEL:03-5829-5963/FAX:03-5829-5964
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11月6日~20日にかけ、国連気候変動枠組条約第27回
締約国会議(COP27)がエジプトのシャルム・エル・
シェイクで開催されました。
今回の会議では温室効果ガスの削減についてはあまり前進
が見られなかった一方で、途上国の「ロス&ダメージ」に
対する資金援助が大きな議題となりました。
◆「ロス&ダメージ/損失と被害」とは?
気候変動には「緩和」と「適応」という2つの対処がある
と言われています。緩和は温室効果ガスの排出量を減らす
など、気候変動を押し留めようとする対策。適応は気候変動
により悪影響が発生することを前提に、その影響を減らそう
とする対策です。
ロス&ダメージ、あるいは「損失と被害」とは、気候変動
に適応できずに発生してしまった被害を指します。具体的
には、異常気象の被害、海面上昇による沿岸部の土地の消滅、
それらにより強いられる住民の移住、それによる地域コミュ
ニティの崩壊などが挙げられます。
気候変動枠組条約は緩和と適応を取り上げていますが、
実際に発生した損失と被害にどう対応するかが記載されて
いません。また、損失・被害は特に途上国で重大な影響を
与える一方、こうした国々の温室効果ガス排出量はわずか
です。そのため、島嶼国を中心とする途上国は、途上国で
発生したロス&ダメージに対し、温室効果ガスの主要な
発生源である先進国が資金面で支援する制度の創設を長年
にわたり主張してきました。
一方で、先進国はロス&ダメージを議題とする事を避け
てきました。気候変動の影響はあまりに大きく、一度ロス
&ダメージに対する資金援助の仕組みを作ると無制限に
責任を強いられかねないという警戒があるためです。ロス
&ダメージへの対策資金についてはパリ協定でも盛り込
まれず、長らく先送りが続けられてきました。
しかし、その間にも気候変動は着実に進行を進めて
いました。2022年には、パキスタンで国土の1/3が水没
したとも言われる大洪水が発生。インフラが脆弱な国では
気候変動が国家の存亡に関わるほどの損失と被害を生じ
うる事が浮き彫りになりました。気候変動はロス&
ダメージの問題をこれ以上先延ばしにできない状況まで
進行していたのです。
◆基金の設立が決定
ロス&ダメージを最も受けやすい地域であるアフリカで
開催された今回のCOPでは、初めてロス&ダメージのため
の資金が正式な議題となりました。資金の提供者は誰か、
提供先となる国々はどこかなど議論は紛糾しましたが、
最終的には「2023年のCOP28で、ロス&ダメージに
フォーカスした基金を設立する」事が決定しました。
資金の提供先となる「途上国の中でも特に脆弱な国々」
の範囲など、具体的な内容は今後の議論で固めるべき部分
が多く、今のところは「基金設立に向けた議論を始める
ことが決まった」段階に過ぎません。しかし、ロス&
ダメージ資金は気候変動枠組条約の締結前、実に1990年代
初頭から提起されていた実に30年越しの問題でした。環境
分野で続く「先進国vs途上国」の対立の解決に向け、世界
は大きな一歩を踏み出したといえます。
◆温室効果ガス削減は停滞
ロス&ダメージの議論が進展した一方で、COP全体の
総括となる全体決定についてはCOP26から大きな進歩は
見られませんでした。気温上昇については「1.5℃目標の
追求を決意」各国には「2030年削減目標の見直し・強化を
求める」など、COP26の全体決定とほぼ同じ文言が並んで
います。
パキスタンの大洪水は、気候変動が大きな被害を途上国
に強いる事を示し、ロス&ダメージ基金の設立の一因と
なりました。一方で、ロシアのウクライナ侵攻に伴う
エネルギー危機を背景に、各国でエネルギー源の確保が
重要課題となり、脱炭素化への機運は退潮しているように
見えます。一方、エネルギーの調達を特定の地域、国に頼る
リスクが浮き彫りになったとも言え、中長期的にはエネルギー
の自給自足となる持続可能なエネルギーへの転換が進みそう
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反映した結果になったと言えます。
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