◇◇◇パデセアメールマガジンVol.222◇◇◇「フライトシェイム」
2024/04/05 (Fri) 12:00
◇◇◇パデセアメールマガジンVol.222◇◇◇
飛び恥 ~フライトシェイム~
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「環境法令検定公式問題集 2024年春夏版」4月中旬発売予定!
3月検定の問題を収録、見直しに活用可能!
https://ecohourei.jp/textbook/#mondaishu
環境法令検定対策オンラインセミナー(環境法令実務セミナー)
2024年7月13日実施 只今受付中!
https://ecohourei.jp/seminar-submit/
eco検定最新テキスト対応の参考書&模擬問題
「eco検定ポイント集中レッスン」改定13版 発売中!
https://direct.gihyo.jp/view/item/000000003063
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特集:飛び恥~フライトシェイム~
フライトシェイム(Flight shame) は、気候変動の
抑制のため、飛行機に乗ることを「恥」とする運動です。
日本語ではしばしば「飛び恥」と訳されます。
この運動は、飛行機の利用が温室効果ガスの排出により
温暖化につながることを意識し、代替手段として鉄道など
他の移動手段を推奨しています。環境活動家のグレタ・
トゥーンベリ氏が、米国での国連サミットに参加する際に
飛行機での移動を避け、ヨットで大西洋を横断した事で
注目されるようになりました。最初にスウェーデン語で
「flygskam(フライトは恥)」という言葉が生まれ、
英語や他の言語に翻訳されて世界に広まっています。
◆飛行機と他の交通手段のCO2排出量の比較
飛行機は高速で遠距離を移動できる利便性がありますが、
そのエネルギー使用量・温室効果ガス排出量は公共交通機関
としてはかなり高いといえます。1人の人間を1km移動
させる際のCO2 排出量は以下の通りです。
(国土交通省、2019年)
鉄道: 17g
バス: 57 g
飛行機:98 g
自家用車:130 g
距離あたりの排出量は自家用車よりは下ですが、飛行機は
高速で長距離を移動するため、短時間で大量のCO2を排出
します。1人の人間がロンドンと香港を飛行機で往復すると
約29時間掛かりますが、その間に平均的なイギリス人が
年間に排出するCO2の1/4を排出するという計算もあります。
また、飛行機は自家用車と異なる課題があります。電動化
が非常に難しいのです。
◆電動飛行機はなぜない?
自家用車はハイブリッド化が進み、電気自動車も徐々に
広がりを見せています。ハイブリッド車ならば走行時の
CO2 排出量はガソリン車の2/3程度になり、太陽光発電と
電気自動車を組み合わせれば排出量を0にできます。
自家用車はこのように、工夫次第でCO2排出量を削減
できる交通手段です。飛行機も電動化すれば排出量を
減らせそうですが、なぜか電気で飛ぶ飛行機はまったく
見当たりません。
一般的な自動車は重量約1000kg、燃料は満タンまで
入れても約30kg程度であり、重量の約3%が燃料です。
しかし、飛行機は燃料が占める割合が大きく、離陸時重量
の20~30%は燃料が占めています。そして、ジェット燃料
1kgに相当するエネルギーを貯めるのに必要なリチウム
イオン電池の重量は約20kgにも達します。飛行機を電動化
しようとすると、まず巨大なバッテリーが必要となり、
機体重量が増え、それを飛ばすために更に大きなエネルギー
とバッテリーが必要となり…つまり離陸できません。
世界は2050年までに脱炭素社会に移行しなければならず、
そのためには化石燃料を電気に置き換えていく必要があり
ますが、飛行機はその中でも特に電動化が難しいものの1つ
です。
飛行機を低炭素化する現実的な方法として、バイオ航空燃料
(SAF/Sustainable Aviation Fuel)が挙げられます。世界
各国で開発・実用化が進められており、技術的には既に実用
段階にありますが、目下の所ジェット燃料より製造コストが
高いのが問題です。
将来的には、太陽光発電で得たエネルギーで人工光合成を
行い、大気中の二酸化炭素から炭化水素を生成、航空燃料を
作れるようになると言われています。
◆飛ぶべきか、飛ばざるべきか
結局のところ、私達は空を飛んで移動すべきなのでしょうか。
日本は鉄道が発達した国であり、多くの主要都市間を
世界有数の高速鉄道である新幹線で移動可能です。一方、
鉄道には「4時間の壁」があり、鉄道での移動時間が4時間
を超えると飛行機での移動が増えるといわれています。環境
を意識するならば、4時間以上掛かる地点へも鉄道移動を
行う事が考えられます。
温室効果ガス排出量算定の国際基準であるGHG
プロトコルでは、Scope3のカテゴリー6において、
従業員の出張に伴う温室効果ガス排出量を算定するよう
求めています。この算定が行われると、出張は鉄道が推奨
されるかもしれません。一方、航空会社も手をこまねいて
いる訳にはいかないため、SAFの使用を積極的に進める
でしょう。
また、日本は島国であり、私達の多くはヨットで大西洋を
横断するほどの時間はないため、外国との往来にはほぼ
飛行機が必須です。外国でビジネスを行ったり、新たな
見聞を得ることは、国内では得られない体験です。世界を
俯瞰的に考え、地球のために何ができるか考えるきっかけ
にもなるでしょう。
飛行の環境負荷は、今はまだ大きいと言えますが、飛行
でしか得られない価値もまた大きく、トレードオフの関係
にあると言えます。まさしく「飛ぶのは恥だが役に立つ」
のです。
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メルマガの配信解除方法は以下をご覧ください。
http://pdca.co.jp/info/magazine/
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※当メールは送信専用です。お問い合わせのある場合はお手数
ですが、以下のメールアドレスまでご連絡お願い致します。
info@pdca.co.jp
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株式会社 パデセア 代表取締役 黒柳要次
東京都千代田区岩本町2-7-13 内田ビル4階
TEL:03-5829-5963
http://www.pdca.co.jp
e-mail info@pdca.co.jp
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特集:飛び恥~フライトシェイム~
フライトシェイム(Flight shame) は、気候変動の
抑制のため、飛行機に乗ることを「恥」とする運動です。
日本語ではしばしば「飛び恥」と訳されます。
この運動は、飛行機の利用が温室効果ガスの排出により
温暖化につながることを意識し、代替手段として鉄道など
他の移動手段を推奨しています。環境活動家のグレタ・
トゥーンベリ氏が、米国での国連サミットに参加する際に
飛行機での移動を避け、ヨットで大西洋を横断した事で
注目されるようになりました。最初にスウェーデン語で
「flygskam(フライトは恥)」という言葉が生まれ、
英語や他の言語に翻訳されて世界に広まっています。
◆飛行機と他の交通手段のCO2排出量の比較
飛行機は高速で遠距離を移動できる利便性がありますが、
そのエネルギー使用量・温室効果ガス排出量は公共交通機関
としてはかなり高いといえます。1人の人間を1km移動
させる際のCO2 排出量は以下の通りです。
(国土交通省、2019年)
鉄道: 17g
バス: 57 g
飛行機:98 g
自家用車:130 g
距離あたりの排出量は自家用車よりは下ですが、飛行機は
高速で長距離を移動するため、短時間で大量のCO2を排出
します。1人の人間がロンドンと香港を飛行機で往復すると
約29時間掛かりますが、その間に平均的なイギリス人が
年間に排出するCO2の1/4を排出するという計算もあります。
また、飛行機は自家用車と異なる課題があります。電動化
が非常に難しいのです。
◆電動飛行機はなぜない?
自家用車はハイブリッド化が進み、電気自動車も徐々に
広がりを見せています。ハイブリッド車ならば走行時の
CO2 排出量はガソリン車の2/3程度になり、太陽光発電と
電気自動車を組み合わせれば排出量を0にできます。
自家用車はこのように、工夫次第でCO2排出量を削減
できる交通手段です。飛行機も電動化すれば排出量を
減らせそうですが、なぜか電気で飛ぶ飛行機はまったく
見当たりません。
一般的な自動車は重量約1000kg、燃料は満タンまで
入れても約30kg程度であり、重量の約3%が燃料です。
しかし、飛行機は燃料が占める割合が大きく、離陸時重量
の20~30%は燃料が占めています。そして、ジェット燃料
1kgに相当するエネルギーを貯めるのに必要なリチウム
イオン電池の重量は約20kgにも達します。飛行機を電動化
しようとすると、まず巨大なバッテリーが必要となり、
機体重量が増え、それを飛ばすために更に大きなエネルギー
とバッテリーが必要となり…つまり離陸できません。
世界は2050年までに脱炭素社会に移行しなければならず、
そのためには化石燃料を電気に置き換えていく必要があり
ますが、飛行機はその中でも特に電動化が難しいものの1つ
です。
飛行機を低炭素化する現実的な方法として、バイオ航空燃料
(SAF/Sustainable Aviation Fuel)が挙げられます。世界
各国で開発・実用化が進められており、技術的には既に実用
段階にありますが、目下の所ジェット燃料より製造コストが
高いのが問題です。
将来的には、太陽光発電で得たエネルギーで人工光合成を
行い、大気中の二酸化炭素から炭化水素を生成、航空燃料を
作れるようになると言われています。
◆飛ぶべきか、飛ばざるべきか
結局のところ、私達は空を飛んで移動すべきなのでしょうか。
日本は鉄道が発達した国であり、多くの主要都市間を
世界有数の高速鉄道である新幹線で移動可能です。一方、
鉄道には「4時間の壁」があり、鉄道での移動時間が4時間
を超えると飛行機での移動が増えるといわれています。環境
を意識するならば、4時間以上掛かる地点へも鉄道移動を
行う事が考えられます。
温室効果ガス排出量算定の国際基準であるGHG
プロトコルでは、Scope3のカテゴリー6において、
従業員の出張に伴う温室効果ガス排出量を算定するよう
求めています。この算定が行われると、出張は鉄道が推奨
されるかもしれません。一方、航空会社も手をこまねいて
いる訳にはいかないため、SAFの使用を積極的に進める
でしょう。
また、日本は島国であり、私達の多くはヨットで大西洋を
横断するほどの時間はないため、外国との往来にはほぼ
飛行機が必須です。外国でビジネスを行ったり、新たな
見聞を得ることは、国内では得られない体験です。世界を
俯瞰的に考え、地球のために何ができるか考えるきっかけ
にもなるでしょう。
飛行の環境負荷は、今はまだ大きいと言えますが、飛行
でしか得られない価値もまた大きく、トレードオフの関係
にあると言えます。まさしく「飛ぶのは恥だが役に立つ」
のです。
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