◇◇◇パデセアメールマガジンVol.227◇◇◇「レジリエンス」
2024/09/05 (Thu) 12:00
◇◇◇パデセアメールマガジンVol.227◇◇◇
「レジリエンス」って何だろう
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2024年9月 第17回環境法令検定 受付中!
https://ecohourei.jp/submit/
「環境法令検定公式問題集 2024年春夏版」発売中!
pdf版のページ数を圧縮し、印刷して使いやすくなりました!
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特集:「レジリエンス」ってなんだろう
「レジリエンス」という言葉を聞いたことはある
でしょうか。防災や環境、SDGsをはじめ、近年様々な
分野で使われるようになった概念です。レジリエンスは
従来の日本語にない概念であり、それゆえに英語のまま
使われる事が多く、ますます難解になっています。重要
らしいけれどよく分からない言葉「レジリエンス」について
考えてみましょう。
◆レジリエンスなポール(くい)って、どんなポール?
レジリエンス(resilience)の本来の意味は、物質の弾力性、
つまり「外からの衝撃を吸収して変化した後、元に戻ろうと
する性質」を意味する物理学用語です。これが「変化に対処
する能力」と解釈され、現在は広い分野で用いられています。
強靭性、回復力、復元力などと訳されることもありますが、
どの訳もレジリエンスの概念を忠実には表現できていません。
レジリエンスの概念を理解するために、道路脇に立って
いるポール(くい)を想像してみましょう。まずは鉄の
ポールです。非常に強靭で頼りがいがあります。これに衝撃
を与えるとどうなるでしょうか。ある程度の衝撃までは耐え
ましたが、自動車が突っ込むとポキリと折れてしまいました。
もう二度と元には戻りません。
次に、弾力性があるゴム製の柔らかいポールを想像して
みましょう。ゴムポールは柔軟で、人の手で簡単に折り
曲げることができますが、手を離すと元通りまっすぐに
もどります。自動車が突っ込んできました。危ない!しかし
ゴムポールはぐにゃりと曲がり、自動車が通り過ぎると
元通りまっすぐに戻りました。
硬いポールは外圧に対して強い抵抗力を持ちますが、一度
変化してしまうと修復が困難です。ゴムのポールは外圧に
より形状が変化するものの、柔軟にもとの形に戻ることが
できます。レジリエンスとは、このゴムポールのような
概念です。
◆様々なレジリエンス
ゴムポールのイメージを踏まえ、様々な「レジリエンス」
を見てみましょう。
SDGsの目標13「気候変動に具体的な対策を」のターゲット
13.1には、「すべての国々において、気候変動に起因する
危険や自然災害に対するレジリエンスおよび適応力を強化
する」とあります。気候変動による危険や災害を防止する
ために、堤防の建設などハード面の対策が行われています
が、危険・災害を完全になくすことは不可能です。
したがって、自然災害が起きた場合に生活や経済への被害
を最小限に抑え、災害前の水準に戻る力を備えておく事も
求められます。災害前の状態がまっすぐなゴムのポール、
災害が起きた状態が曲がったゴムのポールと考えて
みましょう。ゴムポールは災害をものともせず元に戻り
ました。これがレジリエンスです。
企業にもレジリエンスが求められています。近年、企業
は自社の気候関連リスク・機会を評価し、経営戦略へ反映し、
財務上の影響を把握・開示する事が求められています。
この開示の基準となっている「TCFD最終報告書」では、
「組織戦略のレジリエンス」が開示項目の1つとされて
います。気温上昇が1.5℃の場合、2.0℃の場合…といった
シナリオ分析によって複数の未来を想定し、そのどれでも
自社が存続可能であることを示す事が求められています。
環境や社会の変化に合わせて柔軟に形を変えながら事業を
継続できること、これが企業のレジリエンスです。
自然環境にもレジリエンスの概念が使われます。多くの
生き物からなる生態系は、気候変動、人間による開発、
自然災害などの圧力にさらされても、ある程度までは生態系
を回復する力が働き維持されます。これをレジリエンスと
表現します。しかし、生息地が人間の開発でバラバラに分断
されるなど、あまりに強い圧力を受けると、生態系の
レジリエンスが低下し、生物多様性が失われたり、全く
異なる生態系になってしまったりします。
気候変動という不確定性のある社会において、レジリエンス
は様々な分野で重要度を増しています。レジリエンスという
言葉が登場し、その解釈に迷ったら、頭の中でゴムのポール
を想像してみてください。
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メルマガの配信解除方法は以下をご覧ください。
http://pdca.co.jp/info/magazine/
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※当メールは送信専用です。お問い合わせのある場合はお手数
ですが、以下のメールアドレスまでご連絡お願い致します。
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株式会社 パデセア 代表取締役 黒柳要次
東京都千代田区岩本町2-7-13 内田ビル4階
TEL:03-5829-5963
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でしょうか。防災や環境、SDGsをはじめ、近年様々な
分野で使われるようになった概念です。レジリエンスは
従来の日本語にない概念であり、それゆえに英語のまま
使われる事が多く、ますます難解になっています。重要
らしいけれどよく分からない言葉「レジリエンス」について
考えてみましょう。
◆レジリエンスなポール(くい)って、どんなポール?
レジリエンス(resilience)の本来の意味は、物質の弾力性、
つまり「外からの衝撃を吸収して変化した後、元に戻ろうと
する性質」を意味する物理学用語です。これが「変化に対処
する能力」と解釈され、現在は広い分野で用いられています。
強靭性、回復力、復元力などと訳されることもありますが、
どの訳もレジリエンスの概念を忠実には表現できていません。
レジリエンスの概念を理解するために、道路脇に立って
いるポール(くい)を想像してみましょう。まずは鉄の
ポールです。非常に強靭で頼りがいがあります。これに衝撃
を与えるとどうなるでしょうか。ある程度の衝撃までは耐え
ましたが、自動車が突っ込むとポキリと折れてしまいました。
もう二度と元には戻りません。
次に、弾力性があるゴム製の柔らかいポールを想像して
みましょう。ゴムポールは柔軟で、人の手で簡単に折り
曲げることができますが、手を離すと元通りまっすぐに
もどります。自動車が突っ込んできました。危ない!しかし
ゴムポールはぐにゃりと曲がり、自動車が通り過ぎると
元通りまっすぐに戻りました。
硬いポールは外圧に対して強い抵抗力を持ちますが、一度
変化してしまうと修復が困難です。ゴムのポールは外圧に
より形状が変化するものの、柔軟にもとの形に戻ることが
できます。レジリエンスとは、このゴムポールのような
概念です。
◆様々なレジリエンス
ゴムポールのイメージを踏まえ、様々な「レジリエンス」
を見てみましょう。
SDGsの目標13「気候変動に具体的な対策を」のターゲット
13.1には、「すべての国々において、気候変動に起因する
危険や自然災害に対するレジリエンスおよび適応力を強化
する」とあります。気候変動による危険や災害を防止する
ために、堤防の建設などハード面の対策が行われています
が、危険・災害を完全になくすことは不可能です。
したがって、自然災害が起きた場合に生活や経済への被害
を最小限に抑え、災害前の水準に戻る力を備えておく事も
求められます。災害前の状態がまっすぐなゴムのポール、
災害が起きた状態が曲がったゴムのポールと考えて
みましょう。ゴムポールは災害をものともせず元に戻り
ました。これがレジリエンスです。
企業にもレジリエンスが求められています。近年、企業
は自社の気候関連リスク・機会を評価し、経営戦略へ反映し、
財務上の影響を把握・開示する事が求められています。
この開示の基準となっている「TCFD最終報告書」では、
「組織戦略のレジリエンス」が開示項目の1つとされて
います。気温上昇が1.5℃の場合、2.0℃の場合…といった
シナリオ分析によって複数の未来を想定し、そのどれでも
自社が存続可能であることを示す事が求められています。
環境や社会の変化に合わせて柔軟に形を変えながら事業を
継続できること、これが企業のレジリエンスです。
自然環境にもレジリエンスの概念が使われます。多くの
生き物からなる生態系は、気候変動、人間による開発、
自然災害などの圧力にさらされても、ある程度までは生態系
を回復する力が働き維持されます。これをレジリエンスと
表現します。しかし、生息地が人間の開発でバラバラに分断
されるなど、あまりに強い圧力を受けると、生態系の
レジリエンスが低下し、生物多様性が失われたり、全く
異なる生態系になってしまったりします。
気候変動という不確定性のある社会において、レジリエンス
は様々な分野で重要度を増しています。レジリエンスという
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