◇パデセアメールマガジンVol.231◇「都市油田」
2025/01/06 (Mon) 12:00
◇パデセアメールマガジンVol.231◇
都市油田~新たな油田、台所で発見 ~
------------------------------------------------------------
環境法令検定対策オンラインセミナー(環境法令実務セミナー)
2025年1月18日実施 申込みは1/14まで!
https://ecohourei.jp/seminar-submit/
「環境法令検定公式問題集 2024~2025年秋冬版」発売中!
9月環境法令検定の問題と正答を収録!
https://ecohourei.jp/textbook/#mondaishu
直前確認チェックシート&模擬問題で集中学習
「eco検定ポイント集中レッスン」改定13版 発売中!
https://direct.gihyo.jp/view/item/000000003063
------------------------------------------------------------
特集:都市油田~新たな油田、台所で発見 ~
あけましておめでとうございます。本年もパデセアメール
マガジンでは、環境に関する様々な情報を提供してまいります。
新年第一弾は、景気の良いお話から始めましょう。何しろ皆様の
家の台所に「油田」が埋まっているというのですから―
------------------------------------------------------------
1.都市油田とはなにか?
多くの人々が暮らす都市には色々なものが埋まっています。
水道管、ガス管、地下鉄、遺跡、地下水脈。そして近年、都市に
埋没していた新たな資源「油田」を掘り起こす試みが盛んです。
「都市油田」とは、都市の地中から発見された油田…ではなく、
都市を中心とした人々の食生活の中から発生した廃油を回収し、
再利用して新たな燃料等を生み出すことです。廃電子機器を回収
して貴金属をリサイクルする「都市鉱山」にちなみ、こう呼ばれる
ようになりました。
------------------------------------------------------------
2,なぜ今、都市油田なのか
廃食用油の回収と再利用は、決して新しい技術・発想ではあり
ません。滋賀県東近江市の「菜の花エコプロジェクト」は、1981年
から廃食用油を石鹸にリサイクルしており、1996年からはディーゼル
燃料へのリサイクルを実施しています。食品加工業者や飲食業者から
排出された油も広くリサイクルされており、約6割が飼料に使用
され、残りは脂肪酸や塗料の材料等として利用されてきました。
ではなぜ今「都市油田」と呼ばれ注目されているのか。それは
本物の油田と同様、廃油が高値で売買されるようになったためです。
背景として、非石油由来の航空機燃料「SAF」の需要が高まって
いる事があります。当メールマガジン2024年4月号
(https://g.bmb.jp/bm/p/bn/list.php?i=pdca&no=all&m=85)でも
紹介しましたが、航空機は化石燃料を大量に消費する上に、重量の
制限から電動化も難しく、環境に悪い交通手段であると批判されて
います。航空業界では、こうした批判への対処として、SAF(Susta
-inable aviation fuel/持続可能な航空燃料)の導入を進めて
います。化石燃料と異なり、植物性原料から作られたSAFは、その
植物が成長する過程で吸収した二酸化炭素を大気中に放出するので、
気候変動への影響が小さいのが特徴です。
SAFは藻類、木くず、サトウキビの搾りかす、古紙なども原料に
できますが、効率的なのは元々「油」である食用油を加工する
方法です。廃食用油はSAF生産で先行するシンガポールへの輸出品
としての需要が拡大しています。貿易統計によれば、廃食用油を
中心とする「動植物性油およびろう」の輸出量は、2006年には
2400トンでしたが、2023年には12万トンまで拡大しています。
需要の拡大により廃油の取引価格は急騰。都市部では、飲食店が
回収業者のために屋外に出していた廃油が、廃油泥棒に盗まれて
しまう事件まで発生しています。
------------------------------------------------------------
3.あなたの家も都市油田
廃油獲得競争が加熱する中、新たな油田として家庭が注目されて
います。先述した東近江市のほか、札幌市など、元々廃油を回収・
再生利用している地域は存在しましたが、廃油の回収に企業が乗り
出しています。主に実施しているのは、元々牛乳パックやプラス
チックトレーの回収を行っていたスーパーマーケットです。現在は
都市部の一部店舗に留まっていますが、皆様もご自宅の周囲で、
廃油の回収を行っている店舗がないか探してみるとよいでしょう。
ただ、航空燃料の旺盛な需要に対して、人類が排出する食用油は
あまりに少量です。
国は「2030年までに、日本の航空会社が使用する燃料の10%を
SAF化する」との目標を設定するなど、SAF導入を促進しています。
2030年に国内のSAFの需要は172万kL、およそ140万トンを見込んで
います。一方、事業者から回収される廃食用油は年間40万トン
程度で、家庭から排出される廃食用油は10万トン程度と見込まれて
おり、合計しても50万トンしかありません。仮に全量をSAFに転換
できたとしても、目標の1/3しか満たせないのです。目標達成の
ためには、先述した藻類などから作り出すSAFの実用化が欠かせ
ません。
高い需要と足りない供給。都市油田の発掘ブームは、まだまだ
続きそうです。
------------------------------------------------------------
メルマガの配信解除方法は以下をご覧ください。
http://pdca.co.jp/info/magazine/
------------------------------------------------------------
※当メールは送信専用です。お問い合わせのある場合はお手数
ですが、以下のメールアドレスまでご連絡お願い致します。
info@pdca.co.jp
------------------------------------------------------------
株式会社 パデセア 代表取締役 黒柳要次
東京都千代田区岩本町2-7-13 内田ビル4階
TEL:03-5829-5963
http://www.pdca.co.jp
e-mail info@pdca.co.jp
都市油田~新たな油田、台所で発見 ~
------------------------------------------------------------
環境法令検定対策オンラインセミナー(環境法令実務セミナー)
2025年1月18日実施 申込みは1/14まで!
https://ecohourei.jp/seminar-submit/
「環境法令検定公式問題集 2024~2025年秋冬版」発売中!
9月環境法令検定の問題と正答を収録!
https://ecohourei.jp/textbook/#mondaishu
直前確認チェックシート&模擬問題で集中学習
「eco検定ポイント集中レッスン」改定13版 発売中!
https://direct.gihyo.jp/view/item/000000003063
------------------------------------------------------------
特集:都市油田~新たな油田、台所で発見 ~
あけましておめでとうございます。本年もパデセアメール
マガジンでは、環境に関する様々な情報を提供してまいります。
新年第一弾は、景気の良いお話から始めましょう。何しろ皆様の
家の台所に「油田」が埋まっているというのですから―
------------------------------------------------------------
1.都市油田とはなにか?
多くの人々が暮らす都市には色々なものが埋まっています。
水道管、ガス管、地下鉄、遺跡、地下水脈。そして近年、都市に
埋没していた新たな資源「油田」を掘り起こす試みが盛んです。
「都市油田」とは、都市の地中から発見された油田…ではなく、
都市を中心とした人々の食生活の中から発生した廃油を回収し、
再利用して新たな燃料等を生み出すことです。廃電子機器を回収
して貴金属をリサイクルする「都市鉱山」にちなみ、こう呼ばれる
ようになりました。
------------------------------------------------------------
2,なぜ今、都市油田なのか
廃食用油の回収と再利用は、決して新しい技術・発想ではあり
ません。滋賀県東近江市の「菜の花エコプロジェクト」は、1981年
から廃食用油を石鹸にリサイクルしており、1996年からはディーゼル
燃料へのリサイクルを実施しています。食品加工業者や飲食業者から
排出された油も広くリサイクルされており、約6割が飼料に使用
され、残りは脂肪酸や塗料の材料等として利用されてきました。
ではなぜ今「都市油田」と呼ばれ注目されているのか。それは
本物の油田と同様、廃油が高値で売買されるようになったためです。
背景として、非石油由来の航空機燃料「SAF」の需要が高まって
いる事があります。当メールマガジン2024年4月号
(https://g.bmb.jp/bm/p/bn/list.php?i=pdca&no=all&m=85)でも
紹介しましたが、航空機は化石燃料を大量に消費する上に、重量の
制限から電動化も難しく、環境に悪い交通手段であると批判されて
います。航空業界では、こうした批判への対処として、SAF(Susta
-inable aviation fuel/持続可能な航空燃料)の導入を進めて
います。化石燃料と異なり、植物性原料から作られたSAFは、その
植物が成長する過程で吸収した二酸化炭素を大気中に放出するので、
気候変動への影響が小さいのが特徴です。
SAFは藻類、木くず、サトウキビの搾りかす、古紙なども原料に
できますが、効率的なのは元々「油」である食用油を加工する
方法です。廃食用油はSAF生産で先行するシンガポールへの輸出品
としての需要が拡大しています。貿易統計によれば、廃食用油を
中心とする「動植物性油およびろう」の輸出量は、2006年には
2400トンでしたが、2023年には12万トンまで拡大しています。
需要の拡大により廃油の取引価格は急騰。都市部では、飲食店が
回収業者のために屋外に出していた廃油が、廃油泥棒に盗まれて
しまう事件まで発生しています。
------------------------------------------------------------
3.あなたの家も都市油田
廃油獲得競争が加熱する中、新たな油田として家庭が注目されて
います。先述した東近江市のほか、札幌市など、元々廃油を回収・
再生利用している地域は存在しましたが、廃油の回収に企業が乗り
出しています。主に実施しているのは、元々牛乳パックやプラス
チックトレーの回収を行っていたスーパーマーケットです。現在は
都市部の一部店舗に留まっていますが、皆様もご自宅の周囲で、
廃油の回収を行っている店舗がないか探してみるとよいでしょう。
ただ、航空燃料の旺盛な需要に対して、人類が排出する食用油は
あまりに少量です。
国は「2030年までに、日本の航空会社が使用する燃料の10%を
SAF化する」との目標を設定するなど、SAF導入を促進しています。
2030年に国内のSAFの需要は172万kL、およそ140万トンを見込んで
います。一方、事業者から回収される廃食用油は年間40万トン
程度で、家庭から排出される廃食用油は10万トン程度と見込まれて
おり、合計しても50万トンしかありません。仮に全量をSAFに転換
できたとしても、目標の1/3しか満たせないのです。目標達成の
ためには、先述した藻類などから作り出すSAFの実用化が欠かせ
ません。
高い需要と足りない供給。都市油田の発掘ブームは、まだまだ
続きそうです。
------------------------------------------------------------
メルマガの配信解除方法は以下をご覧ください。
http://pdca.co.jp/info/magazine/
------------------------------------------------------------
※当メールは送信専用です。お問い合わせのある場合はお手数
ですが、以下のメールアドレスまでご連絡お願い致します。
info@pdca.co.jp
------------------------------------------------------------
株式会社 パデセア 代表取締役 黒柳要次
東京都千代田区岩本町2-7-13 内田ビル4階
TEL:03-5829-5963
http://www.pdca.co.jp
e-mail info@pdca.co.jp