◇パデセアメールマガジンVol.233◇温室効果ガス排出量 2040年に73%削減へ
2025/03/05 (Wed) 12:00
◇パデセアメールマガジンVol.233◇温室効果ガス排出量 2040年に73%削減へ
~新NDCとエネルギー基本計画・温暖化対策計画改定~
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次回eco検定は改定10版テキストから出題されます。
https://pub.jmam.co.jp/book/b655678.html
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特集:温室効果ガス排出量 2040年に73%削減へ
~新NDCとエネルギー基本計画・温暖化対策計画改定~
1. NDCの改定
2025年2月18日、日本は新たなNDC(パリ協定に基づく温室効果
ガスの削減目標)を公表し、気候変動枠組条約事務局へと提出
しました。その内容は、温室効果ガス(GHG)排出量を2035年
までに60%削減、2040年までに73%削減するというものです。
これまでの目標である「2030年までに46%削減」からさらに踏み
込んだ引き上げです(いずれも2013年比)。これにより、日本は
一層の脱炭素化を進め、2050年のカーボンニュートラル達成を
目指します。
NDCはあくまで「目標」であり、目標を達成するためには別途
その道筋を考えなければなりません。同じ2月18日に、国は
「道筋」に当たるエネルギー基本計画と温暖化対策計画を改定
しました。
2. 第7次エネルギー基本計画
エネルギー基本計画は、エネルギー政策の基本的な方向性を
示すために政府が作成する計画です。2003年に初めて制定され、
概ね3年毎に改定を重ねてきました。
今回のエネルギー基本計画では、DX、GXの進展に伴い今後
電力需要が増加し、それに見合った脱炭素電源を確保できるか
が産業競争力に直結すると分析。再エネや原子力など、脱炭素
効果の高い電源を最大限活用するとしています。
<原子力発電>
注目すべきは、原子力の存在感が増している点です。「再エネ
か原子力かではなく、両者をともに最大限活用していく事が重要」
と位置づけし、従来記載されていた「可能な限り原発依存度を
低減する」との文言は削除されました。
次世代革新炉と呼ばれる新型の原子炉(革新軽水炉・小型
軽水炉・高速炉・高温ガス炉・核融合炉)の研究開発を進め、
原子力発電所の敷地内での建て替えによって、次世代炉を設置
していく方針が示されています。
<再生可能エネルギー>
2040年にGHG73%削減の実現を考えた時、主力電源となるのは
再生可能エネルギーです。再エネの拡大を進める一方、地元の
理解を得る活動や、太陽光パネルのリサイクルの強化を行う事
が強調されています。
・太陽光発電: 軽量・薄型のペロブスカイト太陽電池の早期の
社会実装と低価格化を進めます。かつて従来型の太陽電池で
世界最高レベルの技術を持ちながら、他国との競争に敗れた
過去を教訓に、ペロブスカイト太陽電池の強靭な国内生産体制
を確立するとしています。
・風力発電: 洋上風力発電を再エネ主力電源化の「切り札」と
位置づけ、2030年までに10GW、2040年までに30~45GWの発電量
を目指します。
・電力市場への統合:再生可能エネルギーの導入余地が大きい
地方と需要地をつなぐ地域間連系線の整備の促進や、蓄電池の
普及促進など、地域や時間による偏差が大きい再エネ電気の
電力市場への統合を進めます。
3. 温暖化対策計画の改定
温室効果ガス排出抑制に向けた国の総合計画である地球温暖化
対策計画も、NDCの改定に合わせて改定されました。同計画は
国の施策から市民生活まで幅広い分野を扱っていますが、特に
産業・事業者に関する施策に多くのページが割かれています。
一部をピックアップしてみましょう。
・産業部門の脱炭素化: 工場等での先端設備への更新支援、
中小企業の省エネ支援により、産業部門の脱炭素化を進めます。
・業種間連携省エネルギーの促進:工場で発生する余剰熱を
熱導管等で他事業所へ融通し冷暖房等に使用するなど、複数の
工場・事業者の連携による省エネを促進します。
・脱炭素物流の推進: 荷主と物流事業者の連携による共同
輸配送等の促進などを通じ、輸送効率・積載効率を改善し、
物流体系全体のグリーン化を図ります。
・建築物の省エネ性能向上: 断熱性能の高いビルの普及や、
照明・空調等の運転を最適化するBEMS導入を促進し、建築物の
エネルギー効率を向上させます。
地球温暖化対策計画は、事業者の役割を重視した内容と
なっています。特に「第2節 地球温暖化対策・施策」は、
事業者が排出削減のためにどんな対策を行えるか、国がどの
動きへの支援を検討しているかのカタログとも言うべき内容と
なっています。ご自身の関わる業種でどのような手法があるか、
一度ご覧になってみると良いでしょう。
◆参考資料
第7次エネルギー基本計画
https://www.enecho.meti.go.jp/category/others/basic_plan/pdf/20250218_01.pdf
地球温暖化対策計画(令和7年2月)
https://www.env.go.jp/content/000291669.pdf
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メルマガの配信解除方法は以下をご覧ください。
http://pdca.co.jp/info/magazine/
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※当メールは送信専用です。お問い合わせのある場合はお手数
ですが、以下のメールアドレスまでご連絡お願い致します。
info@pdca.co.jp
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株式会社 パデセア 代表取締役 黒柳要次
東京都千代田区岩本町2-7-13 内田ビル4階
TEL:03-5829-5963
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~新NDCとエネルギー基本計画・温暖化対策計画改定~
1. NDCの改定
2025年2月18日、日本は新たなNDC(パリ協定に基づく温室効果
ガスの削減目標)を公表し、気候変動枠組条約事務局へと提出
しました。その内容は、温室効果ガス(GHG)排出量を2035年
までに60%削減、2040年までに73%削減するというものです。
これまでの目標である「2030年までに46%削減」からさらに踏み
込んだ引き上げです(いずれも2013年比)。これにより、日本は
一層の脱炭素化を進め、2050年のカーボンニュートラル達成を
目指します。
NDCはあくまで「目標」であり、目標を達成するためには別途
その道筋を考えなければなりません。同じ2月18日に、国は
「道筋」に当たるエネルギー基本計画と温暖化対策計画を改定
しました。
2. 第7次エネルギー基本計画
エネルギー基本計画は、エネルギー政策の基本的な方向性を
示すために政府が作成する計画です。2003年に初めて制定され、
概ね3年毎に改定を重ねてきました。
今回のエネルギー基本計画では、DX、GXの進展に伴い今後
電力需要が増加し、それに見合った脱炭素電源を確保できるか
が産業競争力に直結すると分析。再エネや原子力など、脱炭素
効果の高い電源を最大限活用するとしています。
<原子力発電>
注目すべきは、原子力の存在感が増している点です。「再エネ
か原子力かではなく、両者をともに最大限活用していく事が重要」
と位置づけし、従来記載されていた「可能な限り原発依存度を
低減する」との文言は削除されました。
次世代革新炉と呼ばれる新型の原子炉(革新軽水炉・小型
軽水炉・高速炉・高温ガス炉・核融合炉)の研究開発を進め、
原子力発電所の敷地内での建て替えによって、次世代炉を設置
していく方針が示されています。
<再生可能エネルギー>
2040年にGHG73%削減の実現を考えた時、主力電源となるのは
再生可能エネルギーです。再エネの拡大を進める一方、地元の
理解を得る活動や、太陽光パネルのリサイクルの強化を行う事
が強調されています。
・太陽光発電: 軽量・薄型のペロブスカイト太陽電池の早期の
社会実装と低価格化を進めます。かつて従来型の太陽電池で
世界最高レベルの技術を持ちながら、他国との競争に敗れた
過去を教訓に、ペロブスカイト太陽電池の強靭な国内生産体制
を確立するとしています。
・風力発電: 洋上風力発電を再エネ主力電源化の「切り札」と
位置づけ、2030年までに10GW、2040年までに30~45GWの発電量
を目指します。
・電力市場への統合:再生可能エネルギーの導入余地が大きい
地方と需要地をつなぐ地域間連系線の整備の促進や、蓄電池の
普及促進など、地域や時間による偏差が大きい再エネ電気の
電力市場への統合を進めます。
3. 温暖化対策計画の改定
温室効果ガス排出抑制に向けた国の総合計画である地球温暖化
対策計画も、NDCの改定に合わせて改定されました。同計画は
国の施策から市民生活まで幅広い分野を扱っていますが、特に
産業・事業者に関する施策に多くのページが割かれています。
一部をピックアップしてみましょう。
・産業部門の脱炭素化: 工場等での先端設備への更新支援、
中小企業の省エネ支援により、産業部門の脱炭素化を進めます。
・業種間連携省エネルギーの促進:工場で発生する余剰熱を
熱導管等で他事業所へ融通し冷暖房等に使用するなど、複数の
工場・事業者の連携による省エネを促進します。
・脱炭素物流の推進: 荷主と物流事業者の連携による共同
輸配送等の促進などを通じ、輸送効率・積載効率を改善し、
物流体系全体のグリーン化を図ります。
・建築物の省エネ性能向上: 断熱性能の高いビルの普及や、
照明・空調等の運転を最適化するBEMS導入を促進し、建築物の
エネルギー効率を向上させます。
地球温暖化対策計画は、事業者の役割を重視した内容と
なっています。特に「第2節 地球温暖化対策・施策」は、
事業者が排出削減のためにどんな対策を行えるか、国がどの
動きへの支援を検討しているかのカタログとも言うべき内容と
なっています。ご自身の関わる業種でどのような手法があるか、
一度ご覧になってみると良いでしょう。
◆参考資料
第7次エネルギー基本計画
https://www.enecho.meti.go.jp/category/others/basic_plan/pdf/20250218_01.pdf
地球温暖化対策計画(令和7年2月)
https://www.env.go.jp/content/000291669.pdf
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