◇パデセアメールマガジンVol.234◇「ネイチャーポジティブ」
2025/04/05 (Sat) 12:00
◇パデセアメールマガジンVol.234◇
ネイチャーポジティブ~自然がポジティブって、どういうこと?~
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「環境法令検定過去問題集 2025年春夏版」発売!
3月環境法令検定の問題と正答を収録!
https://ecohourei.jp/textbook/#mondaishu
環境法令検定対策オンラインセミナー(環境法令実務セミナー)
2025年7月5日実施 只今受付中!
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eco検定公式テキスト 改定10版発売!
次回eco検定は改定10版テキストから出題されます。
https://pub.jmam.co.jp/book/b655678.html
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特集:ネイチャーポジティブ~自然がポジティブって、どういうこと?~
ネイチャーポジティブ~自然がポジティブって、どういうこと?~
「ネイチャーポジティブ」はここ数年で世間に現れた概念で、
初めて耳にした方も多いのではないでしょうか。今回は人と自然の
関係を改める新概念「ネイチャーポジティブ」を深堀りします。
2月に発売された新たなeco検定公式テキストにも追加されています。
1.ネイチャーポジティブって、自然が前向き?
ネイチャーポジティブ (Nature Positive)における「ポジティブ」
は、一般的な「前向きな気持ち」の意味ではありません。英語の
positiveには幅広い意味があり、ここでは「自然環境に対して
プラスの影響を与える」「積極的に回復・再生を進める」といった
ニュアンスで使われています。
令和6年版 環境・循環型社会・生物多様性白書では「ネイチャー
ポジティブ:自然再興」とは、「自然を回復軌道に乗せるため、
生物多様性の損失を止め、反転させる」ことと定義されています。
従来のように自然保護だけを行うのではなく、社会・経済全体を
生物多様性の保全に貢献するよう変革させていく考え方です。
2.広がるネイチャーポジティブ
ネイチャーポジティブの概念は、2021年のG7サミットをきっかけ
として広まっていきました。
<G7・2030年自然協約>
2021年に英国で開催されたG7サミットで採択された文書です。
2030年までのネイチャーポジティブ実現が表明され、ネイチャー
ポジティブについて国際的に認知が広まりました。
<昆明・モントリオール生物多様性枠組>
2022年の生物多様性条約COP15で採択されたこの枠組みは、G7の
目標であった「2030年までのネイチャーポジティブ実現」を、
生物多様性条約に加盟する200近い国・地域の目標へと拡大しました。
<生物多様性国家戦略2023-2030>
昆明・モントリオール生物多様性枠組に対応する形で策定された
日本の国家戦略です。ネイチャーポジティブの実現を2030年に
向けた国家の目標として位置づけ、そのための基本戦略や行動計画
を掲載しています。
3.ネイチャーポジティブ経営・ネイチャーポジティブ経済
近年、企業等の事業活動は様々な形で生物多様性に依存しており、
生物多様性を適切に保全・管理していくことが事業の持続可能性を
高めるとの考えが広まっています。安定した水の供給、食用作物の
受粉、土砂崩れの防止など、事業活動は様々な価値を生み出す自然
(自然資本)に依存しており、これらが崩れると事業が持続でき
なくなります。このため、企業の経営、ひいては経済自体を
ネイチャーポジティブに資するものとしようとの考えが出てきました。
<ネイチャーポジティブ経営>
民間企業が、自社の価値創造プロセスに自然の保全の概念を
重要課題(マテリアリティ)として位置づける経営です。
<ネイチャーポジティブ経済>
経済活動を自然環境と調和させることで、長期的な成長を
目指す考え方です。企業がネイチャーポジティブ経営を行って
負荷の最小化と製品・サービスを通じた自然への貢献を図り、
そうした企業の取組を消費者や市場等が評価することで、
社会・経済における資金の流れが変化した経済です。
<ネイチャーポジティブ経済移行戦略>
2024年3月に日本政府が発表した、ネイチャーポジティブ経済
実現のための戦略です。企業がネイチャーポジティブ経営へ移行
する必要性と、それにより得られるビジネス機会、国の支援など
をまとめ、ネイチャーポジティブ経済への移行を後押しするもの
です。
<TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)>
企業が自然資本に与える影響を評価し、情報を開示する方法を
提言した組織です。開示した情報は投資家の参考とされ、ネイチャー
ポジティブ経営を行っている企業への投資を促進します。
4.ネイチャーポジティブの課題
「2030年ネイチャーポジティブ」は、気候変動分野における
「2050年カーボンニュートラル」に相当する、世界的な目標と
なりつつあります。一方で、ネイチャーポジティブはカーボン
ニュートラルと比べ「何を達成すればネイチャーポジティブと
言えるのか」という指標が分かりにくい、設定しにくいという
課題があります。例えばシンプルに「森林面積」を指標にすると、
単一の樹木による生物多様性に乏しい森を増やしても「生物
多様性が回復した」事になってしまいます。
2025年3月現在、国際環境団体らによって指標づくりが進め
られています。ここで実効性があり扱いやすい指標を打ち
出せるかが、ネイチャーポジティブが掛け声に終わるか、意義
ある概念となるかを左右するでしょう。
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メルマガの配信解除方法は以下をご覧ください。
http://pdca.co.jp/info/magazine/
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※当メールは送信専用です。お問い合わせのある場合はお手数
ですが、以下のメールアドレスまでご連絡お願い致します。
info@pdca.co.jp
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株式会社 パデセア 代表取締役 黒柳要次
東京都千代田区岩本町2-7-13 内田ビル4階
TEL:03-5829-5963
http://www.pdca.co.jp
e-mail info@pdca.co.jp
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次回eco検定は改定10版テキストから出題されます。
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特集:ネイチャーポジティブ~自然がポジティブって、どういうこと?~
ネイチャーポジティブ~自然がポジティブって、どういうこと?~
「ネイチャーポジティブ」はここ数年で世間に現れた概念で、
初めて耳にした方も多いのではないでしょうか。今回は人と自然の
関係を改める新概念「ネイチャーポジティブ」を深堀りします。
2月に発売された新たなeco検定公式テキストにも追加されています。
1.ネイチャーポジティブって、自然が前向き?
ネイチャーポジティブ (Nature Positive)における「ポジティブ」
は、一般的な「前向きな気持ち」の意味ではありません。英語の
positiveには幅広い意味があり、ここでは「自然環境に対して
プラスの影響を与える」「積極的に回復・再生を進める」といった
ニュアンスで使われています。
令和6年版 環境・循環型社会・生物多様性白書では「ネイチャー
ポジティブ:自然再興」とは、「自然を回復軌道に乗せるため、
生物多様性の損失を止め、反転させる」ことと定義されています。
従来のように自然保護だけを行うのではなく、社会・経済全体を
生物多様性の保全に貢献するよう変革させていく考え方です。
2.広がるネイチャーポジティブ
ネイチャーポジティブの概念は、2021年のG7サミットをきっかけ
として広まっていきました。
<G7・2030年自然協約>
2021年に英国で開催されたG7サミットで採択された文書です。
2030年までのネイチャーポジティブ実現が表明され、ネイチャー
ポジティブについて国際的に認知が広まりました。
<昆明・モントリオール生物多様性枠組>
2022年の生物多様性条約COP15で採択されたこの枠組みは、G7の
目標であった「2030年までのネイチャーポジティブ実現」を、
生物多様性条約に加盟する200近い国・地域の目標へと拡大しました。
<生物多様性国家戦略2023-2030>
昆明・モントリオール生物多様性枠組に対応する形で策定された
日本の国家戦略です。ネイチャーポジティブの実現を2030年に
向けた国家の目標として位置づけ、そのための基本戦略や行動計画
を掲載しています。
3.ネイチャーポジティブ経営・ネイチャーポジティブ経済
近年、企業等の事業活動は様々な形で生物多様性に依存しており、
生物多様性を適切に保全・管理していくことが事業の持続可能性を
高めるとの考えが広まっています。安定した水の供給、食用作物の
受粉、土砂崩れの防止など、事業活動は様々な価値を生み出す自然
(自然資本)に依存しており、これらが崩れると事業が持続でき
なくなります。このため、企業の経営、ひいては経済自体を
ネイチャーポジティブに資するものとしようとの考えが出てきました。
<ネイチャーポジティブ経営>
民間企業が、自社の価値創造プロセスに自然の保全の概念を
重要課題(マテリアリティ)として位置づける経営です。
<ネイチャーポジティブ経済>
経済活動を自然環境と調和させることで、長期的な成長を
目指す考え方です。企業がネイチャーポジティブ経営を行って
負荷の最小化と製品・サービスを通じた自然への貢献を図り、
そうした企業の取組を消費者や市場等が評価することで、
社会・経済における資金の流れが変化した経済です。
<ネイチャーポジティブ経済移行戦略>
2024年3月に日本政府が発表した、ネイチャーポジティブ経済
実現のための戦略です。企業がネイチャーポジティブ経営へ移行
する必要性と、それにより得られるビジネス機会、国の支援など
をまとめ、ネイチャーポジティブ経済への移行を後押しするもの
です。
<TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)>
企業が自然資本に与える影響を評価し、情報を開示する方法を
提言した組織です。開示した情報は投資家の参考とされ、ネイチャー
ポジティブ経営を行っている企業への投資を促進します。
4.ネイチャーポジティブの課題
「2030年ネイチャーポジティブ」は、気候変動分野における
「2050年カーボンニュートラル」に相当する、世界的な目標と
なりつつあります。一方で、ネイチャーポジティブはカーボン
ニュートラルと比べ「何を達成すればネイチャーポジティブと
言えるのか」という指標が分かりにくい、設定しにくいという
課題があります。例えばシンプルに「森林面積」を指標にすると、
単一の樹木による生物多様性に乏しい森を増やしても「生物
多様性が回復した」事になってしまいます。
2025年3月現在、国際環境団体らによって指標づくりが進め
られています。ここで実効性があり扱いやすい指標を打ち
出せるかが、ネイチャーポジティブが掛け声に終わるか、意義
ある概念となるかを左右するでしょう。
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