◇パデセアメールマガジンVol.241◇ 「COP30」
2025/12/05 (Fri) 12:00
◇パデセアメールマガジンVol.241◇
COP30 ~国家の不在、民間の存在感~
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9月環境法令検定の問題と正答を収録!
https://ecohourei.jp/textbook/#mondaishu
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2026年1月17日実施 只今受付中!
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特集:COP30 ~国家の不在、民間の存在感~
2025年11月10日から22日まで、ブラジル・アマゾン河畔の都市
ベレンで国連気候変動枠組条約第30回締約国会議(COP30)が開催
されました。
気候変動枠組条約締約国会議(以下、COP)は、京都議定書やパリ
協定など、私たちの生活やビジネスにも大きな影響を及ぼす国際合意
を形成してきた重要な会議です。
議長国ブラジルは、これまでの「目標・合意」中心の国際交渉から
一歩進め、実際の脱炭素化への移行を促す「実施のCOP」を掲げ
ました。数値目標だけでなく、具体的な計画・投資・行動を重視する
との姿勢です。では今回のCOP30では何が決まり、何が決められ
なかったのでしょうか。
◆TFFF ― 森林を“守る価値”に変える新たな資金メカニズム
COP30開幕に先立つ11月6日、ブラジル主導で立ち上げられた基金
「Tropical Forests Forever Facility(TFFF)」が注目を集め
ました。TFFFは、これまでの「寄付」ではなく「投資」によって
熱帯雨林保護を進める新たな資金スキームです。「熱帯雨林を伐採
して売るより、守ることで価値を生む」という画期的な仕組みです。
TFFFはまず各国から250億ドルの拠出を募り、さらに機関投資家
などから1,000億ドル規模の投資を呼び込みます。世界銀行を通じ
て、化石燃料関連を除く新興国政府・企業の取り組みや、環境配慮
型の製品へ投資を行います。運用益は出資国・投資家へのリターン
に加え、森林保全を達成した国への成果報酬として分配されます。
森林保全状況は客観的な衛星モニタリングによって評価される
仕組みです。
従来、環境保護資金の多くは先進国政府から途上国政府へと供与
されてきました。しかし、米国をはじめ内向き政策をとる先進国が
増えるなか、「政府主導の国際支援」は縮小傾向にあります。TFFF
は「収益性が低い」とされてきた森林保護に民間資金を引き寄せる、
新たな可能性として位置づけられています。さらにブラジルや
インドネシアなど森林大国自身が資金拠出を表明しており、南南協力
の新しいモデルとしても注目されます。
◆化石燃料脱却の攻防 ― 合意形成の限界とわずかな前進
今回のCOPでは、「化石燃料からの脱却」をどこまで明確に示すか
が最大の焦点でした。議長国ブラジルは化石燃料廃止に向けたロード
マップ作成を提案し、80カ国以上が支持を表明しました。しかし、
産油国を中心に強い反対があり、最終合意では「化石燃料からの脱却」
という文言そのものが盛り込まれない結果となりました。
また、気候変動に脆弱な国々に向けた「適応」および被害対応の
資金支援については、従来比「3倍」を目指す方向性が示されました。
ただし、当初案の「2030年までに3倍」という明確な目標は、「2035
年までに3倍を目指す努力を促す」という表現に後退しており、拘束
力の弱さが指摘されています。
◆国家の不在、民間の存在感 ― 新たな「多極型気候ガバナンス」
米国政府は今回のCOPに代表団を派遣せず、国としての関与の
低下が改めて象徴的に示されました。しかし一方で、州政府、
地方自治体、大手企業、投資家など、米国の「非国家主体」は
例年と変わらず積極的に参加し、脱炭素投資や再エネ調達の
具体的な取り組みをアピールしています。
この構図は、TFFFのように政府間協力だけでなく、民間資金・
自治体連携・企業行動といった多層的な仕組みが気候対策を
動かす時代へ移行していることを象徴しています。国家が足踏み
をしても、その他の主体が動けば気候行動は前に進むという
“多極型ガバナンス”が明確になったCOPだったとも言えるでしょう。
次回のCOP31は2026年、トルコで開催される予定です。
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メルマガの配信解除方法は以下をご覧ください。
http://pdca.co.jp/info/magazine/
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※当メールは送信専用です。お問い合わせのある場合はお手数
ですが、以下のメールアドレスまでご連絡お願い致します。
info@pdca.co.jp
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株式会社 パデセア 環境法令検定事務局長
黒柳和志
東京都千代田区岩本町2-7-13 内田ビル4階
TEL:03-5829-5963
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特集:COP30 ~国家の不在、民間の存在感~
2025年11月10日から22日まで、ブラジル・アマゾン河畔の都市
ベレンで国連気候変動枠組条約第30回締約国会議(COP30)が開催
されました。
気候変動枠組条約締約国会議(以下、COP)は、京都議定書やパリ
協定など、私たちの生活やビジネスにも大きな影響を及ぼす国際合意
を形成してきた重要な会議です。
議長国ブラジルは、これまでの「目標・合意」中心の国際交渉から
一歩進め、実際の脱炭素化への移行を促す「実施のCOP」を掲げ
ました。数値目標だけでなく、具体的な計画・投資・行動を重視する
との姿勢です。では今回のCOP30では何が決まり、何が決められ
なかったのでしょうか。
◆TFFF ― 森林を“守る価値”に変える新たな資金メカニズム
COP30開幕に先立つ11月6日、ブラジル主導で立ち上げられた基金
「Tropical Forests Forever Facility(TFFF)」が注目を集め
ました。TFFFは、これまでの「寄付」ではなく「投資」によって
熱帯雨林保護を進める新たな資金スキームです。「熱帯雨林を伐採
して売るより、守ることで価値を生む」という画期的な仕組みです。
TFFFはまず各国から250億ドルの拠出を募り、さらに機関投資家
などから1,000億ドル規模の投資を呼び込みます。世界銀行を通じ
て、化石燃料関連を除く新興国政府・企業の取り組みや、環境配慮
型の製品へ投資を行います。運用益は出資国・投資家へのリターン
に加え、森林保全を達成した国への成果報酬として分配されます。
森林保全状況は客観的な衛星モニタリングによって評価される
仕組みです。
従来、環境保護資金の多くは先進国政府から途上国政府へと供与
されてきました。しかし、米国をはじめ内向き政策をとる先進国が
増えるなか、「政府主導の国際支援」は縮小傾向にあります。TFFF
は「収益性が低い」とされてきた森林保護に民間資金を引き寄せる、
新たな可能性として位置づけられています。さらにブラジルや
インドネシアなど森林大国自身が資金拠出を表明しており、南南協力
の新しいモデルとしても注目されます。
◆化石燃料脱却の攻防 ― 合意形成の限界とわずかな前進
今回のCOPでは、「化石燃料からの脱却」をどこまで明確に示すか
が最大の焦点でした。議長国ブラジルは化石燃料廃止に向けたロード
マップ作成を提案し、80カ国以上が支持を表明しました。しかし、
産油国を中心に強い反対があり、最終合意では「化石燃料からの脱却」
という文言そのものが盛り込まれない結果となりました。
また、気候変動に脆弱な国々に向けた「適応」および被害対応の
資金支援については、従来比「3倍」を目指す方向性が示されました。
ただし、当初案の「2030年までに3倍」という明確な目標は、「2035
年までに3倍を目指す努力を促す」という表現に後退しており、拘束
力の弱さが指摘されています。
◆国家の不在、民間の存在感 ― 新たな「多極型気候ガバナンス」
米国政府は今回のCOPに代表団を派遣せず、国としての関与の
低下が改めて象徴的に示されました。しかし一方で、州政府、
地方自治体、大手企業、投資家など、米国の「非国家主体」は
例年と変わらず積極的に参加し、脱炭素投資や再エネ調達の
具体的な取り組みをアピールしています。
この構図は、TFFFのように政府間協力だけでなく、民間資金・
自治体連携・企業行動といった多層的な仕組みが気候対策を
動かす時代へ移行していることを象徴しています。国家が足踏み
をしても、その他の主体が動けば気候行動は前に進むという
“多極型ガバナンス”が明確になったCOPだったとも言えるでしょう。
次回のCOP31は2026年、トルコで開催される予定です。
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