パデセアメールマガジンvol.15-排出量取引制度について-
2008/04/02 (Wed) 14:35
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○○○ パデセアメールマガジンVol.15 ○○○
排出量取引制度について
-日本でも導入論議の高まり-
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は巻末をご覧ください。今回のテーマは「排出量取引制度について」です。
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地球温暖化問題が主要議題となる7月の北海道洞爺湖サミットに向けて、日本
においても温室効果ガスの国内排出量取引制度(キャップ・アンド・トレード)
の導入について本格的な検討が始りました。この制度の導入についてはこれま
で産業界や経済産業省は企業の国際的な競争力をそぐとして反対してきました。
しかし欧州連合(EU)では既に2005年から域内取引制度が導入されています。
また、米国・カナダ(州レベル)やニュージーランド・オーストラリアでの
導入計画などにも広がっており、国内(域内)排出量取引は世界的な潮流に
なっています。実は、日本でも2005年度から国内排出量制度は運用されています。
といってもEUのように義務型の制度ではなく、企業の自主参加による「自主
参加型国内排出量取引制度」です。これは環境省の事業であり、制度運用の
知見・経験の蓄積を目的としたものです。
1.排出量取引とは
温室効果ガスの削減を目的として、国や企業などに温室効果ガスの排出枠を
割り当て、排出枠を超えて排出してしまった国や企業などが、排出枠より実際
の排出量が少ないところから排出枠を買うことができる制度です。
2.排出量取引制度の種類
環境省の資料によると次のように分類しています。
(1)参加形態による分類
・自主参加型排出量取引制度:企業や国などが、自主的に排出削減目標を
設定し、その達成のために排出枠の取引をおこなうもの
(例:環境省自主参加型国内排出量取引制度など)
・参加義務型排出量取引制度:国・地方自治体などが法律・条約などに基づいて、
企業などに所定の排出枠を配分し、その達成のために排出枠の取引をおこな
うもの
(例:京都議定書の下での国際排出量取引制度、EU排出量取引制度など)
(2)対象範囲による分類
・国際排出量取引制度:世界レベルで各国が国際間で排出枠の取引を行う
(例:京都議定書の下での国際排出量取引制度)
・域内排出量取引制度:ある特定の域内の各国・企業などが、その域内で排出枠
の取引を行う
(例:EU排出量取引制度など)
・国内排出量取引制度:特定国内のみの企業などが、その国内で排出枠の取引
を行う
(例:環境省自主参加型国内排出量取引制度など)
・社内排出量取引制度:特定の企業内の各部門・部署が、その企業内で排出枠
を取引するケース
3.排出枠の決め方
国内排出量取引制度の最大の焦点は、排出枠の上限(キャップ)をどう公平
に割り当てるかにあります。国際市場創設に向けたルール作りが動き出してい
ます。以下にその現状を見てみましょう。
(1)グランドファザリング(実績排出量配分)方式
2005年度から導入した欧州連合(EU)は、過去の実績をもとに排出枠を無償で
割り当てる「グランドファザリング(実績排出量配分)」方式を採用しました。
環境省が運用している「自主参加型国内排出量取引制度」も同じ方式です。
この方式では、過去の平均排出量をもとに排出枠を配分するため、枠の算出は
比較的容易ですが、過去の削減努力を反映するのが難しく、努力を怠ってきた
企業の方が配分枠が大きくなってしまう。また、新規参入の企業の枠をどのよ
うに決めるかも課題となります。
(2) オークション方式
EUはこの欠点を解消しようと、2013年以降は公開入札で企業が排出枠を購入
する「オークション方式」を標準的な割り当て方式とする改定案を発表しまし
た。この方式では、企業がお金を出して排出枠を購入するとなると、本当に必
要と考える排出枠だけを購入することになります。また公開入札だから透明性
が高く、割り当てる時の恣意性も排除できるとしています。EUでは、政府は
排出枠を売却することから得る歳入の2割は技術開発や温暖化対策、労働環境
の改善、免税などに使用したいとしています。
(3)ベンチマーク方式
「オークション方式」は、必要な排出枠をすべて購入する必要があり、企業に
初期投資が必要となり、企業の負担は大きくなると日本の産業界は警戒してい
ます。そこで、日本政府は研究を進めようとしているのが「ベンチマーク方式」
です。業種ごとに、一定の経済活動当たりのガス排出量の平均値を参考に基準
を作り、排出枠を無償で配分する方式です。省エネが進んだ企業は余剰排出枠
ができ、売れば収入が得られることになり、また無償なので企業の費用負担も
オークション方式に比べて軽いとされています。一方、基準作りには相当の手
間がかかるという難点もあります。
どの方式が良いのか。これらの長短を比べて公平で効果的な方式を見出すこと
が必要です。3月28日に閣議決定した「改定京都議定書目標達成計画」には、
国内排出量取引制度については「具体案の評価、導入の妥当性を含め、総合的
に検討していくべき課題である」と踏み込んだ表現になっています。
日本が議長国をつとめる7月の洞爺湖サミットでは、日本がリーダーシップを
発揮できるよう、議論が深まっていくことが期待されます。
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★エコ検定対策セミナー公開コース開催受付開始しました
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昨年第3回目の試験前に、3回(約165名)のセミナーを開催し、好評を頂きました。
今年は、第4回の試験に向けて今までの対策セミナーのほかに模擬試験を中心と
した直前対策セミナー(半日)を実施します。
・対策セミナー (1日コース)開催日:5月17日(土)・6月18日(水)
・直前対策セミナー(半日コース)開催日:7月5日(土)
詳細は、下記をご参照ください。
http://www.pdca.co.jp/ecoken/seminar/index.html
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★エコ検定通信教育仮申し込み受付中
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2008年度試験にむけて、エコ検定の通信教育は現在改訂中です。
お待たせして申し訳ありませんが、4月20日以降の教材発送で現在申込の仮受付
中です。
詳細は、下記をご参照ください。
http://www.pdca.co.jp/ecoken/correspondence.html
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★Eラーニング、書籍「eco検定ポイント集中レッスン」改訂中
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弊社執筆の参考書「eco検定ポイント集中レッスン」およびEラーニングを現在改
訂中です。参考書は、4月28日に店頭販売の予定です。
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株式会社 パデセア 代表取締役 黒柳要次
東京都中央区新川1-22-12ニッテイビル4F
TEL 03-5541-6281 FAX 03-5541-1166
http://www.pdca.co.jp/ email:info@pdca.co.jp
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排出量取引制度について
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においても温室効果ガスの国内排出量取引制度(キャップ・アンド・トレード)
の導入について本格的な検討が始りました。この制度の導入についてはこれま
で産業界や経済産業省は企業の国際的な競争力をそぐとして反対してきました。
しかし欧州連合(EU)では既に2005年から域内取引制度が導入されています。
また、米国・カナダ(州レベル)やニュージーランド・オーストラリアでの
導入計画などにも広がっており、国内(域内)排出量取引は世界的な潮流に
なっています。実は、日本でも2005年度から国内排出量制度は運用されています。
といってもEUのように義務型の制度ではなく、企業の自主参加による「自主
参加型国内排出量取引制度」です。これは環境省の事業であり、制度運用の
知見・経験の蓄積を目的としたものです。
1.排出量取引とは
温室効果ガスの削減を目的として、国や企業などに温室効果ガスの排出枠を
割り当て、排出枠を超えて排出してしまった国や企業などが、排出枠より実際
の排出量が少ないところから排出枠を買うことができる制度です。
2.排出量取引制度の種類
環境省の資料によると次のように分類しています。
(1)参加形態による分類
・自主参加型排出量取引制度:企業や国などが、自主的に排出削減目標を
設定し、その達成のために排出枠の取引をおこなうもの
(例:環境省自主参加型国内排出量取引制度など)
・参加義務型排出量取引制度:国・地方自治体などが法律・条約などに基づいて、
企業などに所定の排出枠を配分し、その達成のために排出枠の取引をおこな
うもの
(例:京都議定書の下での国際排出量取引制度、EU排出量取引制度など)
(2)対象範囲による分類
・国際排出量取引制度:世界レベルで各国が国際間で排出枠の取引を行う
(例:京都議定書の下での国際排出量取引制度)
・域内排出量取引制度:ある特定の域内の各国・企業などが、その域内で排出枠
の取引を行う
(例:EU排出量取引制度など)
・国内排出量取引制度:特定国内のみの企業などが、その国内で排出枠の取引
を行う
(例:環境省自主参加型国内排出量取引制度など)
・社内排出量取引制度:特定の企業内の各部門・部署が、その企業内で排出枠
を取引するケース
3.排出枠の決め方
国内排出量取引制度の最大の焦点は、排出枠の上限(キャップ)をどう公平
に割り当てるかにあります。国際市場創設に向けたルール作りが動き出してい
ます。以下にその現状を見てみましょう。
(1)グランドファザリング(実績排出量配分)方式
2005年度から導入した欧州連合(EU)は、過去の実績をもとに排出枠を無償で
割り当てる「グランドファザリング(実績排出量配分)」方式を採用しました。
環境省が運用している「自主参加型国内排出量取引制度」も同じ方式です。
この方式では、過去の平均排出量をもとに排出枠を配分するため、枠の算出は
比較的容易ですが、過去の削減努力を反映するのが難しく、努力を怠ってきた
企業の方が配分枠が大きくなってしまう。また、新規参入の企業の枠をどのよ
うに決めるかも課題となります。
(2) オークション方式
EUはこの欠点を解消しようと、2013年以降は公開入札で企業が排出枠を購入
する「オークション方式」を標準的な割り当て方式とする改定案を発表しまし
た。この方式では、企業がお金を出して排出枠を購入するとなると、本当に必
要と考える排出枠だけを購入することになります。また公開入札だから透明性
が高く、割り当てる時の恣意性も排除できるとしています。EUでは、政府は
排出枠を売却することから得る歳入の2割は技術開発や温暖化対策、労働環境
の改善、免税などに使用したいとしています。
(3)ベンチマーク方式
「オークション方式」は、必要な排出枠をすべて購入する必要があり、企業に
初期投資が必要となり、企業の負担は大きくなると日本の産業界は警戒してい
ます。そこで、日本政府は研究を進めようとしているのが「ベンチマーク方式」
です。業種ごとに、一定の経済活動当たりのガス排出量の平均値を参考に基準
を作り、排出枠を無償で配分する方式です。省エネが進んだ企業は余剰排出枠
ができ、売れば収入が得られることになり、また無償なので企業の費用負担も
オークション方式に比べて軽いとされています。一方、基準作りには相当の手
間がかかるという難点もあります。
どの方式が良いのか。これらの長短を比べて公平で効果的な方式を見出すこと
が必要です。3月28日に閣議決定した「改定京都議定書目標達成計画」には、
国内排出量取引制度については「具体案の評価、導入の妥当性を含め、総合的
に検討していくべき課題である」と踏み込んだ表現になっています。
日本が議長国をつとめる7月の洞爺湖サミットでは、日本がリーダーシップを
発揮できるよう、議論が深まっていくことが期待されます。
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★エコ検定対策セミナー公開コース開催受付開始しました
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昨年第3回目の試験前に、3回(約165名)のセミナーを開催し、好評を頂きました。
今年は、第4回の試験に向けて今までの対策セミナーのほかに模擬試験を中心と
した直前対策セミナー(半日)を実施します。
・対策セミナー (1日コース)開催日:5月17日(土)・6月18日(水)
・直前対策セミナー(半日コース)開催日:7月5日(土)
詳細は、下記をご参照ください。
http://www.pdca.co.jp/ecoken/seminar/index.html
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★エコ検定通信教育仮申し込み受付中
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2008年度試験にむけて、エコ検定の通信教育は現在改訂中です。
お待たせして申し訳ありませんが、4月20日以降の教材発送で現在申込の仮受付
中です。
詳細は、下記をご参照ください。
http://www.pdca.co.jp/ecoken/correspondence.html
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★Eラーニング、書籍「eco検定ポイント集中レッスン」改訂中
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弊社執筆の参考書「eco検定ポイント集中レッスン」およびEラーニングを現在改
訂中です。参考書は、4月28日に店頭販売の予定です。
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株式会社 パデセア 代表取締役 黒柳要次
東京都中央区新川1-22-12ニッテイビル4F
TEL 03-5541-6281 FAX 03-5541-1166
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